前編
ハァ……ハァ……
なんだってこんな時に限っていつもの動きをしねえんだ《虚人》どもは……
持久戦に持ち込むとかあいつらの動きじゃねえだろ……
「……ザッ…………たい……ふ……う……」
おい4番隊! 応答おわっ!?
クソッ! 今度は粒子矢斉射かよ!
1から3番隊! カウント後、塔壁まで後退して通路に防御展開!
「しかし……」
損壊した通路は使わない。6本も通路がありゃ1本は生きてるだろ。東側から見て最初の生きている通路に入れ。それからプラン8を実行。いいな!?
「了解」
カウント、3、2、1、ゴッ!
……は?
「通路前、《虚人》数体展開!」
どこから……
クソッ! 全員戻れ! 防御壁に戻って――――
「やめっ……いや……ああああぁぁぁぁ」
やめ……おい……
あ……ああ……
ぼ……防御壁に戻って……貼り付き迎撃を……
「残存個体数7。生存5名。臨長、指示を!」
…………
「臨長っ!」
……1体ずつ識別タグを付けろ。隊員番号の若い順に各員1体ずつ担当しろ。俺が3体引き受ける。
「そ、それでは臨長が――――」
時間はない! 巻き込み防止のために散るぞ! カウントなしだ、ゴッ!
《虚化》だけはなんとしても避けろよ!
「先に砕いちまえば問題ないですよっ!」
……そうだな。
各員、死ねそうなら死ね!――――――――
ハァ……ハァ……
残存個体数……1……生存……1……
俺だけじゃないか……
あいつら……
……ん?
な……残存2……!?
どこだ!? どこに新手が……
あれは……《虚人》じゃない……?
お前……なんでそっちにいる!?――――――――