だって、気になるんだもの
縁を、 繋いでいた。
デスターだけが覚えている。
いつか有った、 確かな絆。
それを、 彼は今も大事にしていた。
そしてまた、 縁を繋いだ。
昔のように並べなくとも、 今度は守る者として。
それ以上の何も期待はしないし、 これ以上幸せな事は無いのだから、 彼としては満足だった。
強いて言うならば、 今度はきちんと見送る側で在りたいと願うくらいだ。
だったのだが。
「恋してるの?」
「……、 …………」
彼の仕事場に現れたリアクトが、 開口一番にそう問う。
問われた彼は言葉の意味を理解するまで数秒を要した後、 疲れた様に問い返した。
「……は?」
「だから。 キラに。 貴方が」
輝く瞳で尋ねる彼女は、 好奇心駄々漏れの様子で距離をつめた。
ずい。 迫る顔は見上げたまま、 けれど満面の笑みだ。
余談だが、 最近の彼はリアクトのこのテンションが怖く思えて、 反射的に顔を背けてしまっていた。
今日もそんな調子で顔を背けてはみたが、 空気がざわつくのも同時に感じていた。
「でも、 年齢差が気になるところ? 外見だけなら十歳くらい差があるものね」
年齢どころか、 気になるところは無限とあるか。
そんな事を呟きながら、 リアクトは晴れやかに続ける。
「あ。 でも、 デスターって……意外とロリ」
「黙れ」
彼女の言葉を遮り、 不機嫌そうに彼は言った。
ついでに体も離すと、 デスターはまた視線を反らす。
「リアクト、 お前俺の邪魔するだけの余裕あるのかよ」
「失礼ね。 事実関係が確認できたら帰るわよ。 怒られたくないし」
「……じゃ、 手遅れだな」
「何?」
「後ろ」
そこで始めて気がついたのか、 彼女は固まってしまう。
そんなリアクトの肩にそっと手を置き、 微笑んで居たのはシャールだった。
「人の仕事の邪魔をするのはいけませんね」
至って穏やかな優しい声音だが、 目は笑っていない。
この異質さを感じるのか、 場を満たす空気は更にざわついた。
「お邪魔しました、 デスター。 リアクトは責任持って僕が叱っておきますので」
「ああ……そうしてくれ。 ついでに妄想癖の矯正も頼む」
「それは無理かも知れません」
固まったまま動かないリアクトを引きずりながら、 シャールは退場する。
一人残ったデスターは盛大に溜め息を吐くと、 目を閉じた。
その後、 リアクトがこっぴどく叱られたのは彼の知らない話。
こんな感じで、三人は仲良し(笑)




