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暗雲








 進め、 進め。


 ただ、 己の信じる道を只管に。



 ただ、 己の信じるものの為に。










 只管に、 只管に、 進んでいけ。















 デスターに付いて、 長い廊下を歩く。

 キラから見れば全て一緒に見える扉だったが、 彼は目的の場所に着いた様で足を止めた。

 ノブに手を掛け、 扉を開け放つ。


「……外から見たのと、 部屋の広さが合わない気がするんだけど」

「便宜上扉があるだけだからな」


 通された部屋は、 ただ白く広大であった。

 壁まで白いのか、 それとも単純に果てが見えないのか。

 物珍しげに見渡すキラを、 デスターは閉めたばかりの扉に寄り掛かりながら見ていた。


「気が済んだか?」

「え、 あ、 ……うん。 ごめん」

「何故謝る? 準備が良いなら始めるぞ」


 キラは慌てて鞘から剣を抜き出した。

 彼女の剣は、 両手で扱うような大きな物だった。

 それを片手で軽々と抜き出し、 そして、 デスターを見やる。


「なんだ?」

「始める、 って言ったよな」

「言ったな」


 けれど、 やはり扉から動く気は無いらしい。

 変わりに軽く右手を掲げた。


「練習相手用意してやるから、 慣らすにはアレで十分だろう」


 言って、 キラの前方に魔方陣を描き出す。


「‘来い、 木偶人形’」


 からん、 からん。

 木の軽い音がする。

 糸に釣られる操り人形が如く、 それは魔方陣から現れふよりと浮いた。


「……アレが、 相手?」

「舐めてると怪我するぞ。 死なない様に調整してやろうか?」


 普段ならさらりと流れていったであろうこの挑発は、 今この空間に居る彼女には非常に効果的だった様子。


「必要ない! ……人形倒したら次はデスターだからな!」

「倒したらリクエスト聞いてやるよ」


 くつくつと笑う彼の台詞を聞き終わる前に駆け出していく。

 走り出すと、 それまで静かにしていた人形は動き出した。

 からん、 と音がする。

 勇ましく戦いに行く彼女の背を見ながら、 気付かれない様にまた笑った。
























 女は思う。


 「平和な世界になど、 本当は成らないのかも知れない」……と。


 けれど、 神は「皆が仲良く、 愛されている世界は作れるのだ」と無邪気に信じて居た。

 神の世界では差別は無く、 争いも無く、 平等で。

 只管、 優しい世界が描かれている。


 女は、 言う。


「神様がそうと言うなら、 出来るんでしょうね」


 だから「大丈夫」と笑った。






 けれど、 ある男は感じていた。


 「神の描く夢は、 子宮の中でこれから生まれいでる筈の子が見る物語」だと。


 現実を知らない。 だから、 何故争うのか分からない。

 ずっと、 見ていた。

 彼等は理想から外れたモノを見る度嘆いて、 泣いた。

 わんわんと頭に響く鳴き声を聞くのは飽きてしまった。


 男は、 言う。


「アレは子供だよ。 本当の神なら、 もっと自由に出来るだろう」


 だから「壊そう」と嗤った。





















 がららっ。

 音を発てて人形が崩れていったのを見届けて、 やっと終了となった。

 既に人形は木の断片と化し、 山を形成している。


「……終わり、 か?」

「人形の相手も飽きただろ」

「……こんなに沢山居るなんて聞いてない」

「言ってないからな。 実戦でご丁寧に一体一で仕掛けてくる奴なんて早々居ないだろ」


 言いながら、 デスターは指を鳴らした。

 途端に魔法陣も、 木の山も消えていく。

 反論の言葉を失ったキラは、 大きく深呼吸をした。

 何せ時間にして一時間は全力で動き回っていたのだ。

 漸く、 少し息をついた。

 体が疲れを認識した様で、 その場にしゃがみこむ。

 流れ落ちる汗が、 ぽたり、 と床に落ちた。


「休むか?」

「……いい」

「じゃあ、 続投だな。 リクエスト通り相手してやるよ」


 やっと扉から離れ、 歩み寄る。

 だが、 相手をすると言う割りに、 武器らしき物を構える様子は無い。

 見上げながら、 キラはおずおずと尋ねた。


「流石に丸腰なんて事、 無いよな?」

「それでも構わないんだけどな」


 物理的に傷なんか滅多に付かないし。

 そう涼しい顔で言いのけるデスターを、 困ったようにキラは見た。


「…………いや、 構うし」

「……。 分かったよ。 じゃあ、 此れで」


 彼が右手を軽く振ると、 其処に剣が現われる。

 そうして手にしたのは、 キラが持つ様な両刃の物ではなかった。

 片刃のソレは、 刀、 と呼ばれていた物に非常に良く似ていた。


「お前に合わせて、 剣状の物にしてみた」

「……」


 物語でしか見た事が無いような代物である。

 キラは立ち上がると、 興味深そうに刀を見詰めていた。

 その様子をおかしそうに見ながら、 ルールが説明される。


「方法は何でも良い。 俺に攻撃を当てたらお前の勝ちな」

「……」

「いくぞ。 掛かって来い」

「……うん。 じゃあ」


 一呼吸置いて、 キラは言う。


「遠慮なく!」


 言うと、 走り出すのは同時だった。

 散々人形を倒した後だと言うのに、 彼女の動きは予想外に早い。

 ざん、 と音を発てて降り下ろされる剣を受け止めると、 彼の腕に振動が伝わる。


「そんなデカイ剣持ってるのに、 早いな。 仕掛けがあるのか?」

「重さが変わる様に、 術を掛けてる」

「ああ、 成る程。 だからお前のその腕で、 そんな剣を振り回せる訳か」

「……馬鹿にしてる?」


 受け止められた剣を即座に引戻し、 一度距離を取る。

 怪訝な顔で向かうキラに、 デスターはいや、 と続けた。


「これでも、 褒めてるつもりだ」

「……そりゃ、 どうも!」


 ぶん、 と、 大きく薙ぎ払うキラの攻撃を、 デスターは軽くかわしていく。

 剣は持っているが、 凪ぐ為に使うだけで攻撃はしない。

 それを暫く続けて、 キラはふと、 立ち止まった。


「デスター」

「何だ」

「それ、 本気?」


 睨む目に、 にっと意地悪く笑ってデスターは返した。


「ウォーミングアップって奴だ」

「じゃあ、 これから本気で。 加減されても嬉しくないし、 練習にならない」


 再度剣を構えなおすキラの目は真剣だ。

 それに応え、 デスターは改めて剣を構えた。

 切っ先は真っ直ぐキラに向けられ、 隙等見られない。


「……見たことない型」

「だろうな。 随分と古いものだから。 ……ほら、 行くぞ」


 ふ、 と笑った気がした。


















 アジェル達はティスラティアを抜け、 現在はエルフ領へと向かっていた。

 これまでに通り抜けた街は、 何処も自衛の為に門を閉ざしてしまっていた。

 近隣の村の者を招集したりもしたのだろうか。

 もぬけの殻になった村も見たし、 襲われた後だったのだろうか。

 死体ばかりの場所も、 見た。

 けれど、 合間で怪我人を見れば治療をしたし、 死者は可能な限り弔った。

 そんな状況を目の当たりにしながら進む一行。

 だが移動の途中で大した攻撃もされずに済んで居たのは、 ある種、 奇跡と言える。

 ヴァルトの魔力を元とし、 悪魔ビィは悪戯に殺戮を繰り返していたからだ。

 そうして。 時は、 キールがアルミスを出てから、 もう二ヶ月が経過しようとしていた。


 移動の最中に、 アジェルはハーティにも経緯を少し説明していた。

 同行者がもう一人居るが、 今は合流できない事。

 目的地はディフィアで、 行く理由としては「仕事で」とだけ伝えてある。

 事実、 キールは仕事で調査に向かう訳で、 アジェルもそれに便乗しての説明だ。


「やっぱり、 馬で移動すると早いねー」


 呑気に言うアジェルは、 ハーティと一緒に馬に揺られていた。

 最後に立ち寄った街はまだ平和で、 防寒具等の必要な物を揃えたのだが。

 その際に、 馬を二頭譲って貰ったのだ。

 広がる草原の向こうには谷があり、 その先には森が広がっていた。

 近隣には十年前の戦争の引き金になった人里があったはずだが、 今はその面影はない。


「アジェル様……」

「なあに?」


 ティスラティアで再会してからと言う物、 アジェルは少しずつハーティと打ち解けつつあった。

 以前の様につんけんした態度は改め、 今ではぎこちなさが残るにしろ、 仲良くさえなり掛けていた。

 そんな変化を嬉しそうに見ながら、 キールは保護者感覚で同行していた。


「エルフ領から先なのですが……」

「うん」

「危険な予感がします。 ……魔が渦巻いている」


 遠くを見つめるハーティに習って、 アジェルもエルフ領である森を見つめた。

 微かに見えた靄に目を凝らし「確かに」とアジェルも同意した。

 暫く進んでいると、 谷に向かう為の細い道があり、 両脇を高い土壁が固めている。

 道自体は短く、 間もなく抜けるかという時だろうか。


「二人とも、 静かに」


 馬を止め、 キールがそう言った。

 その場で二人に馬から下りる様に言い、 真っ直ぐ前を見詰める。

 構造上、 時折曲がり角があるようで、 既に数回そんな場所があった。

 視線の先には既に通り過ぎたその場所達と似たような曲がり角があり、 向こう側が見えない様になっている。


「何か居るみたいだ」

「……何かって」


 乗ってきた馬を放してやると、 彼は彼女等よりも前に出る。

 二人を庇う様に立つキールが、 その場所に向かって声を掛けた。


「其処に居るのは、 誰かな?」


 途端、 異質な雰囲気が場に滲み始める。

 隠す事を止めたソレは、 呼ばれるままに姿を現して見せた。

 ずるり、 と身体を滑り込ませて立ちふさがる。


「……ひっ」


 ハーティの顔が青ざめる。

 アジェルのマントの裾を握り締め、 後ろに隠れる様にソレを見た。


「あれは……」


 アジェルは、 ソレを見て一瞬動きを止める。


「ああ、 君は……ビィ、 か」


 キールだけが普通に、 ソレに話しかける。

 ソレは黒い霧を噴出しながら、 成形していく。

 暫く続くと、 大きな猫のような物体となった。


「よく覚えてたネ。 偉いえらい」

「……次は本体とか言わなかったかな?それともそれが本体なのかい?」

「今日会ったのは、 偶然ダヨ」


 ふふ、 と笑う声が、 楽しげだ。


「キール。 あれと知り合い?」


 アジェルが呆然とした様子でそう尋ねる。

 様子が可笑しいのを気にしてはいたが、 尋ねられるまま彼は答えた。


「アルミスで、 ちょっと」

「……そう」

「こんなに早く出会えるなんて、 思って無かったんだけどね」

「楽シミにして貰えていたナンテ、 光栄ダナ」

「……楽しみだったさ」


 会話こそ親しげだが、 キールの顔は真剣そのもの。

 空気はびりびりと痛い。

 殺気に満ちたそれは、 ハーティには耐え難いようだ。

 怖がって震える身体を叱咤するように、 きつく拳を握り、 様子を見守る。

 アジェルは、 彼等が臨戦態勢なのを見ながら、 周りに意識を集中していた。

 ざわざわと、 異質な気配は増えていく。

 ビィと呼ばれたモノから噴出していた霧が、 小さな塊となって蠢くのが見えた。

 だが突然、 大きな音がして彼女の視線はキールへと戻る。


「……焦らなくても、 相手はしてあげるのに」

「焦らされるのは、 嫌いナンダ」


 爪を受け止めながら、 キールがちらりと彼女等を見た。

 力比べをするには、 分が悪い。

 存分に戦うにも、 狭すぎる。


「君達は下がってて」

「……何かあったのね?」

「まあね」

「わかった。 ……今日は、 譲るわ?」

「……」

「ハーティ様は、 私から離れないように」

「……はい」


 距離をとる彼女等を、 ビィが見ていた。

 にぃ、 と笑うと一度キールと離れ、 爪で虚空を凪ぐ。


「オイデ」


 しゅうしゅうと、 音がする。

 黒く蠢く霧たちが、 形を成していく。


「……アジェル様」

「……」


 距離を詰める為、 ビィに向かったキールと彼女等の間。

 視界をさえぎり、 それは現れる。

 形は小型のドラゴンかトカゲが近いだろうか。

 彼女等よりも少し大きいくらいのそれが三体、 目の前に現れた。


「アジェル!」

「大丈夫。 貴方はそいつだけ見てて」


 会話する余裕は無い。

 ビィは猫が玩具で遊ぶが如く、 爪を彼に向かって繰り出していた。

 変わらず攻防戦を続けるキールにアジェルが言い放つと、 にこりと笑ってドラゴン達を見た。


「私、 疲れる事嫌いなのよね」


 威嚇するように見てくるドラゴン達を見ながら、 アジェルは印を結ぶ。

 結ばれた印は足元に魔方陣となって広がり、 光を放つ。

 ドラゴンがそれを目印に炎を放つが、 それは彼女等の元にまで届かない。

 詠唱中に発動する簡易の結界のせいだ。

 その中心でアジェルは、 更に複雑な印を更に二度結んだ。


『大地の守人。 風の民。 我は、 汝等が主アジェル・ディーティなり。 この声が聞こえるならば、 我が呼び掛けに応え、 現われ出でよ』


 印が結び終わる。

 魔法陣の中で開かれた眼は、 前方を見据える。

 彼女は笑さえ浮かべて、 彼等の名を呼んだ。


『アース。 ウインド。 来なさい!』


 印はそれぞれに輝き、 彼等が姿を現した。


「……召喚、 術?」


ハーティは驚いた様にアジェルを見詰めていた。


「こんにちは、 マスター。 お久しぶりですね」

「うん。 久しぶり」


 にこりと笑ってアースが言うと、 ウインドは目の前のドラゴンを睨みつけながら剣を抜いた。

 彼女が携えるのは、 細身の片手剣。 レイピアと言う奴だ。


「アレを抹消すれば良いか?」

「ええ」

「……了解した。 行くぞ、 アース」

「良いよ。 援護は任せて」

「頼む」


 彼等の会話はそれで終わりだ。

 アースが弓を構え、 ウインドが動き出す。

 矢は雨の様に降り注いで、 ドラゴン達の頭上から確実に刺さっていく。

 怯んだ拍子に、 レイピアが確実に急所を突いて行った。

 元より生き物で無かったためか、 血は流ずに霧散していく。

 流れる様な連携技で塵と化すまで、 時間にして一分と言ったところ。

 呆気なく、 戦闘は終了した。


「……なっ」

「……しまっ!」


 だが、 戦闘終了と同時に彼等は姿は掻き消え、 ビィは楽しげに笑った。


「え」


 キールと戦っていた場所から一度姿を消し、 少し離れたアジェルの目の前に出現した。

 にたりと笑う顔に、 アジェルが凍りつく。

 召喚した彼等が消えてしまった事。 そして、 目の前に突如現われたビィに、 アジェルは目を見開いた。


「強い、 魔力を、 持ってイるんだネ」

「!」


爪が、 アジェルの喉元に当てられる。


「君の力、 くれなイ?」

「っ」

「あの子ダケじゃ、 足りなくテ」

「アジェル!」


 走り出すが、 少しの距離とは言え到達まで数秒の間が生まれる。

 悔しげに顔を歪めるキールの前で、 アジェルはぎゅっと目を瞑った。

 ビィの爪が喉を切り裂こうとしたその瞬間、 ばち!っと音がして、 閃光が皆の視力を奪う。


「……止めなさい」


 ハーティが震える声で、 そう告げた。

 つ、 とアジェルの首元から一筋の血が流れるが、 それだけだ。

 光が彼女の身体を覆うようにして、 守っている。

 ハーティが咄嗟に使った魔術だった。

 意外なところからの反撃に怯んだビィ。

 その後ろから、 キールが斬りかかる。

 外してしまいはしたが、 後退していくビィとアジェルの間に入り、 盾になるように立ちはだかる。


「……何、 ユーダの巫女なのカイ」


 そんな中、 ビィはハーティを見つめ嫌そうに顔を歪めた。


「……でも生きてイタんだ?」

「…………」

「嫌いダカラ、 殺しちゃおうと思ったノに」

「……どういう……事、 ですか」


 けれど問いは無視して、 爪をぺろりと舐めた。

 そうして、 けらけらと笑いながらビィはアジェルを指差す。


「その子、 最高の餌になる。 君達、 邪魔ダネ」

「……なっ」

「青い子が欲しいナ」

「…………」

「まあ、 いいや。 しるしは、 付いた。 次は、 君を貰いに来るヨ。 ……待っていてネ?青の君」


 あはは、 と愉快そうに笑って、 彼の姿は消えてしまう。

 取り残された三人が、 複雑そうに顔を見合わせるが。

 敵が居なくなった事で緊張が解け、 まずハーティがその場にぺたりと座り込んだ。


「なんなのですか……あの者は」

「……あれは、 今回の戦いの首謀者、 らしいですよ」


 やれやれと剣を仕舞いながらキールが問いに答えると、 アジェルはそれを受けて更に続けた。


「そして。 先の戦いの、 首謀者でもある」

「……え?」

「……直接見たのは、 初めてだけど。 間違いないわ」


 呟いたアジェルは、 険しい顔つきで遠くを見つめていた。

 暗雲立ち込める、 南の先を。






















「強制的に、 引き戻された?」


 シャールは、 自室でウインドとアースに挟まれ困ったように首を傾げていた。


「マスターに召喚されて行って、 敵は倒したんだ」

「そしたら、 黒い奴が出てきてな。 私達を、 その場から強制的に追いやった」

「……黒い奴?」

「エルフの森で、 私とフェイが戦った異型と似通った物を持つものだ」

「そして、 今回の元凶らしい。 ……マスターは大丈夫かな……」


 心配だ、 戻りたい。

 そう言うニュアンスで吐き出された溜息が、 そのまま消えてしまう。

 召喚されて出て行かない限り、 彼等は力を使う事は出来ない。


「見過ごすなんて、 まだ出来ないでしょうね……」


 シャールが、 不安げに目を閉じる。


「何も無ければ良いのですが」

「……マスターが暴走する事は無いだろう。 アイツが居たから」

「アイツ?」


 はて、 とシャールが首を傾げた。

 名前が思い出せずうんうん唸るウインドを見ながら、 アースがぽんと手を打う仕草をした。


「キール君、 じゃなかったかな。 名前」

「ああ。 じゃあ、 大丈夫ですね。 無事に会えた様で良かった」


 ほっと胸を撫で下ろしながらも、 シャールは二人を見る。


「……でも、 この行く先が心配ですね。 どうなっていくのか、 最早誰もわからなくなっている……」


 言いながら、 彼は少し身体に違和感を感じていた。

 眩暈を覚える様な、 ……そんな、 感覚。


「……シャール? お前も大丈夫か?」


 眉根を寄せて尋ねるウインドに、 大丈夫ですと笑って、 その会話は終了した。


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