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8 修学旅行が終わって

次話投稿まで期間が長く空いてしまったことを、深くお詫び申し上げます。

修学旅行後の千佳と怜の話からお楽しみください。

今後も『忘れられない約束』をよろしくお願いします。

 修学旅行は楽しい思い出で終わった。東京で新しい発見があったし、怜との距離を縮めることもできた。

 でも、修学旅行前から目標としていた上条さんとの距離を縮めることは……ちょっと残念だけど、できなかったと思う。

 水族館、動物園、いろんな所を巡って、その都度上条さんを誘ったけれど、進展は無し。もう最後のほうは声をかけられる前に逃げられてしまった。怜も疲れきっていたし、私もあまり余計なことはできなかった。

 こんな風に書いちゃうと修学旅行は上条さんのことばかり考えていたみたいだけど、初日のミュージカルや二日目のテーマパークでは怜と楽しい時を過ごすことができて、本当に楽しかった。


 そんな修学旅行が終わってしまうと、ちょっとテンションは下がってしまうわけで。


 修学旅行が終わって、振り替え休日後の火曜日と水曜日の二日間、怜は学校を休んだ。

「ちょっとの間、学校休むかもしれないから……千佳は先に学校行っててね」

 修学旅行最終日に、怜から言われた言葉がずっと引っかかっていた。思い返してみると、あの日は朝からあまり顔色が良くなかった。

 体が弱い怜のことだし、私は心配で仕方なかった。次も休んだら、先生に怜の住所を教えてもらって、お見舞いに行こうかとも考えていた。


 でも怜は木曜日には学校に来た。

 私より少し遅れて、朝の教室にやってきた怜。

「おはよー、千佳!」

怜はいつもの元気な姿を見せてくれた。

「怜……心配したよ。私、今日お見舞いに行こうかとも思ってたの」

「大袈裟だよぉ、もう千佳は心配性だなぁ」

 怜はそう言って笑ったけど、私は笑うことが出来なかった。


 修学旅行のホテルで聞いた、怜の病気の話。

 幼い頃から患っている、運動もなかなかできなくて、入退院を繰り返してきたほど、重い心臓病。

 そんな話を聞いた後で学校を休まれたら、心配せずにいられるわけがない。


 でも、私が難しい顔してちゃ……だめだよね。

「よかった。怜が元気そうで、安心した」

 私はそう言って、笑顔を〝作った〟。

「千佳……。な、なんか照れくさいなぁ、もう!」

 怜は笑い飛ばしてごまかそうとしていたけれど、顔が赤くなっていたのがはっきりと分かった。

 どうして二日間休んだのかは、怖くて聞けなかった。


 放課後。怜から意外な提案があった、

「ねぇ千佳、今日暇? 暇だよね。じゃあ私の家においでよ」

「え、え、えぇ?」

 突然過ぎるお誘いに、動揺することしかできなかった。

「今日の朝、お見舞いに行こうとしてた、とか言ってたし。実は私も今度家に呼ぼう、って前から思ってたんだよねぇ」

 確かにお見舞いには行こうとしてたけど、怜のほうから誘われると途端に緊張してしまう。

 今まで友達の家に行くことに抵抗なんてなかったのに、どうしてだろう。

「えっと……いいのかな?」

「うん! いいに決まってるじゃん」

 私の問いかけに怜は即答だった。

「じゃ、行こ!」

「え、ちょ、ちょっと待ってよ!」

 私の手を取って、早足で教室を出ようとする怜。私はそのまま抵抗できずに、怜とともに教室を後にした。

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