食べます?食べましょう、食べますよね?
皆さんドーナツはお好きですか?
甘くて美味しいドーナツは心が満たされますよね。
今回はそんなドーナツのお話。
皆様どうぞお楽しみください。
俺は学校の通学路をトボトボと帰っていた。今日も学校で怒られてしまったのだ。理由は宿題の提出期限を守らないのが2週間連続で続いたから。
「仕方ねぇじゃん…宿題なんて、面白くもなんともねぇんだし。」
家に帰ると、母ちゃんが顔を真っ赤にしてバタバタとやって来た。
「あんた、また宿題やらなかったの?!いい加減にしないと、ゲーム取り上げるよ!」
チッ、帰ってきて疲れてんのにいきなりなんだよ…てか、あのクソ教師また連絡いれたのか。
もうなにもかもイライラしていた俺は大きな声で言い返した。
「うるっせぇんだよ!クソババア!いちいち口出ししてくるんじゃねぇよ!」
そしてなにか叫んでいる母ちゃんを無視して帰ってきたばかりにも関わらず、外に飛び出した。さっきまでの疲れや夏の暑さなんかは怒りで吹き飛んでしまっていた。
(あー何もかもつまんねぇ!うるさく口出ししてくる大人なんて大っ嫌いだ!)
気分が落ち着かないまま歩いていると、見覚えのない道に来ていた。
ただの住宅街に見えなくもない。けれど、よく犬の散歩をしている大人や学校帰りであろう高校生のお兄さんなんかもいない。それどころか、道路に車が全く走っていない。
「…なんだよ、ここ…。」
なんとなく不気味だと感じたけどかまわず歩き続けた。
すると、声をかけられた。
「ねね、お兄さんドーナツ食べます?」
急に話しかけられたので俺は驚いて後ろを振り向いた。
そこには、リアルなウサギの被り物をして紫のマントをした小学校低学年くらいの子供がいた。
カゴのなかには、狐色をしてアイシングがかかったこんがり揚がったドーナツが入っていた。
美味しそうな甘い匂いにゴクリと喉が鳴る。
そんな俺を見てその子供はグイっとカゴを差し出してきた。
「食べます?食べましょう、食べますよね?」
なんだか勢いがすごいが、腹も減っているし1つ貰うことにした。
「ありがと…」
お礼を言って一口かじる。カリカリサクサクで美味しい。中はモチモチしていて弾力がある。
今度はもっと大きくかぶりついてみた。
ドロッ…
中から何か出てきた。中には黒いジャムが入っている。フルーツのような匂いで、甘ったるい。やけに舌に絡みつくようだ。
食べていると、妙に変な感覚になってきた。思い出される。今日怒られた先生の怒声、そんな俺をゴミでも見るような目で見つめるクラスメート。帰ってきた俺を労う事もなく説教をしようとした母親。
あんな場所…あんな場所…あんなバショ…
耳元で、子供が囁いた。
「帰りたくもないよね」
ボーッとする俺に、子供は丸ごとカゴを渡した。
「さぁ、次は君の番。やっと交代できるんだ。売れるように頑張ってね」
私は今日友達と喧嘩して家に帰ってきた。そしたらお父さんが、「宿題を終わらせてから遊びに行ったんだろうな?」とか不機嫌そうに声をかけてくる。もちろんやっている訳ない。無視したら「その態度はなんだ!」って…
もう嫌になって私は家を飛び出した。
(お昼もそっちのけで遊んでたからお腹すいたな…)
地面を見ながら歩いていたからか、知らない場所に来てしまった。
困っていると声が聞こえた。
(ねぇ、そこにいるお嬢さん、ドーナツ食べない?)
顔を上げる。
ウサギの被り物をした男の子が、ドーナツのカゴを差し出していた。
「ねぇ、お嬢さん。ドーナツ食べます?」
「え…?」
不自然な現象に何も言えずにいると、男の子は言った。
「食べます?食べましょう、食べますよね?」
いかがでしたか?甘〜いドーナツのお話は、お楽しみいただけたでしょうか?
また次のお話でお会いしましょう。
あなたの帰り道にも、カゴを持った少年は現れるかもしれません。




