プロローグ
空は「青」という色らしい。
地面は「緑」という色らしい。
飯は本来「宝石」のように輝いているらしい。
大きく息を吸っても吐き気を催すような気分にならないらしい。
俺の知っている世界では考えられない景色が「上」には広がっているらしい。
『オルトーーーてめぇに賭けてんだ!!勝たねぇと俺が殺す!!』
『単純に死ね!!オルト!!』
「あいつら好き勝手いいやがって!!」
「落ち着けオルト。外野ごときの言葉で集中力を切らすな。勝てない闘戯じゃない。」
「わかってるよ。」
俺。オルト・ランディスが今戦っているこの場所は25階で構成される地下闘技場の一角。
この世界をみな総称して「下」と呼んでいる。
血・吐瀉物・錆びた鉄のにおいが混ざり合い、石が積まれた壁にはカビが生え、男どもの怒号が響きあっている地獄。
俺含めこの場で戦う「闘戯者」は地下闘技場の「上」の世界の奴らに娯楽として使われている。単純に人の生死を楽しむ見物客もいれば、賭け事に使う奴もいる。
もっとも娯楽趣味のやつだけじゃない気もするが...
闘戯者の出自は様々だが、単に上の奴らに使われるためだけに戦っているのではない。
各階の代表者ともいえる「ランカー」を目指している。
ランカーになればなに不自由のない生活ができ、専用の部屋が用意され、周りからは羨望の目で見られる。さらに、1階ランカーにもなればどんなことも叶えてくれるというのだから、皆1階ランカーを目指し戦っているということだ。
それこそ俺も「上」の世界に出るために1階ランカーを目指している。
だが、そうも簡単にいかない世界だ。
この「下」の世界には戦いを有利に進める「スキル」を持つものと持たないものとがいる。さらに強力なスキルを持つものは軒並み10階以上の上位ランカーときたものだ。スキルを持たない俺が1階ランカーになる可能性は限りなく低い。てか、ない。
ただ、1階ランカーになれそうな気がする。これは、満身でも、自意識過剰でも何でもない。
単純に俺は「強い」
腕っぷしがじゃない、「心」が死ぬほど強い。
こんな腐った世界で野垂れ死ぬのなんてまっぴらごめんだ。それに負けてらんねぇだろ。「上」に連れてくって決めたんだ。
決めたからには男に二言はねえ。
勝つんだ。勝って勝って勝って勝ちまくる。
バンッ!!!
なんて喋ってたらセコンドから背中叩かれて喝入れられたぜ。
「オルト。頼むぞ。」
「あ?だれに向かって口聞いてんだ。ぶっとばすぞ。」
「あぁ...そうだな!!」
全員ぶっ倒して「上」に行く。ついでに上の奴も腹立つからぶっとばす。
託された想いを背負う、「オルト・ランディス」として。




