第54話:新しい環境と新たな問題
「――ああぁぁぁぁ~……疲れた」
朝一で行われた顔合わせや模擬戦を終えると、ボルズとブラックはアスとラスに伝えることがあると言って、四人でその場を離れた。
俺はルミナと共に彼女を部屋まで送り届け、そのまま自室に戻ってきている。
まだお昼を少し回った時間だが、既に疲労困憊の状態になっていた。
「自分で決めたこととはいえ、まさか一日に二度も模擬戦をすることになるとは思わなかったな」
アスとラスとの模擬戦は予定していたが、ルミナとの模擬戦は予定外だった。
それに、ルミナが俺の想定以上に強く、本気で負けるかと思ったほどだ。
初見だったから勝てたものの、マジで次は負けるかもしれないな。
「……次にルミナと模擬戦をする時は、絶対にアスとラスも巻き込もう」
そうすれば、少なくとも負けることはないと思いたい。
最悪、アスとラスのせいにすればいいしな。
……いや、それはさすがにダメか。二人に悪いし。
「それにしても、勇ボコで英雄が勇者を裏切るなんてシナリオ、なかったんだけどなぁ」
ルミナが魔王軍にやってきたことで、俺は勇ボコの記憶を思い返していく。
俺の知らない隠しシナリオがあったのだろうか? それは勇者視点なのか、それとも魔王視点なのか?
それとも、そんなシナリオはなく、俺が勇ボコのストーリーを捻じ曲げたことで起きている、イレギュラーに事態なのだろうか。
俺一人で考えたところで答えが出ないことは分かっている。
それでも俺は、俺自身が起こしてしまった現状を考えてしまう。
「イボエルもレイドも生きている。そして、敵だったルミナが勇者の元を離れて、魔王軍に来てしまった。この状況が、今後の戦争にどう影響を及ぼすんだ?」
間違いなく、魔王軍の戦力は増強されている。
それに対して、王国軍はルミナが抜けたことで大きな戦力低下を余儀なくされているだろう。
今頃はルミナを探して王国中を捜索しているかもしれない。
「……まさか、魔族領まで捜索の手を伸ばすなんてことはないよな?」
もしもそんなことがあれば、ルミナの時とは違いお互いに武器を抜き、戦うことになるだろう。
そうなれば、三度目の戦争が勃発することになるかもしれない。
それはもう、勇ボコのストーリーには一切ない戦争となり、俺の知識だけでは対処が難しくなるだろう。
「そうなると……怖いな」
今までは俺の知識を活かして勝利を手にすることができていた。
しかし、ストーリーにない戦争となれば、俺は無力な人間に成り下がってしまう。
できることと言えば、影魔法で戦場を行き来し、死四天将をサポートすることくらいだろうか。
ルミナに頼ることもできるが、それをアリスディアや死四天将が許しはしないだろう。
捕虜になっているとはいえ、まだ完全に信頼を得られたわけではない。
もしも戦場に駆り出し、ルミナが裏切ったとなれば、それは内部から軍を切り崩されることになるからだ。
そんな博打みたいなことは、俺もごめん被りたい。
だとすれば、戦争を起こさせないことが大事になるかもしれないな。
「……これは近いうちに、王国へ出向いて状況を確認しないといけないな」
元々、先の戦争を終えたあとから一度へ出向かないといけないと思っていたのだ。
ならば、レイディスの状況と勇者たちの状況、二つを同時に確認できるんだから一石二鳥かもしれないな。
「死四天将の予定を聞いて、俺の代わりにルミナを見張ってくれるタイミングで王国に向かうかな」
ルミナがいる以上、俺だけのタイミングで王国へ向かうことはできない。
早いところルミナへの悪感情をなくしてもらい、俺が自由に動けるようにすることも必要になるか。
「……まだまだやることが多いなぁ」
小さくため息をつきながらそう口にすると、お昼寝をしようかとベッドへ足を向ける。
――コンコン。
すると扉がノックされ、俺は首を傾げながらそちらに向いた。
「はーい」
返事をしながら扉を開くと、そこにはアリスディアが立っていた。
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