第44話:アリスディアへの報告
「――即刻! 死刑に処しなさい!」
「ちょっと待て! なんでそうなるんだよ!」
魔王会議の前。
俺は報告もかねて事前にアリスディアの部屋を訪れたのだが、事情を説明すると彼女から即座にそう言い放たれた。
「王国側の英雄なのよ! 剣聖ルミナ! 殺しておけば大きく戦力を削げるじゃないのよ!」
「それはそうだけど、今は敵対する意思がないんだ! それなら、本人の意思を改めて確認して、こちら側に引き入れた方がいいだろう!」
「無理よ! だって彼女は多くの魔王軍を殺しているわ! シャドウの時とは違うのよ!」
確かに、ルミナは戦争において多くの王国軍を斬り殺している。
それは対峙したイボエルとレイドもよく分かっていることだろう。
魔王会議でも、おそらく二人からは大きな反発があるかもしれない。
だけど――
「ここでルミナを処刑してしまったら、アリスディアが願う未来は、俺たちが願う未来はどうなるんだよ!」
「うっ!?」
俺がそう口にすると、アリスディアは苦しそうに唸りながら口をつぐんだ。
「……どうしても、処刑にはしないのね?」
「アリスディアがどうしてもって言うなら、俺は止められない。だけど、未来のことを願うなら、やらない方がいいと俺は思う」
「……未来……私たちの、未来……ふふ……」
……あ、あれ? 今の会話の中で、どこか嬉しそうに笑う要素なんてあったか?
「ど、どうしたんだ、アリスディア?」
「え? ううん、なんでもないわ! ……ごほん! 分かった、シャドウの言う通りにするわ」
「本当か! ありがとう!」
「ただし! 条件があるわ!」
「……条件?」
まあ、あれだけ処刑にこだわっていたアリスディアだ、条件があるのは当然だろう。
俺はどのような条件を言い渡されるのか、緊張の面持ちで言葉を待つ。
「絶対に! ルミナと二人きりに! ならないこと!」
「…………え? そ、それだけか?」
「それだけって、当然でしょう!」
「……あ、うん。それくらいでいいなら、全然構わないけど?」
なんていうか、もっと魔族と人間の共生のために働けと言われるのかと思っていたが、単にルミナと二人で行動するなってことなら問題はない。
というか、俺もルミナと二人だけで行動はしたくないからな。
話がしたいとは言われたけど、それが本当なのかは正直なところ、分からない。
勇ボコのルミナは嘘がつけるような性格ではなかったか、この世界の勇ボコは色々と変わってきている。……主に俺のせいで。
というわけで、信じてはいるが信じ切れていない、という矛盾な感情が俺の中で渦巻いているのだ。
「ルミナと話をするのも、誰かと一緒であれば問題はないと思うしね」
「話ですって?」
「あぁ、いや、ルミナが言ったんだよ。魔王軍まで来た目的が、俺と話をしたいってさ」
「……やっぱり処刑が一番かしら?」
「なんでだよ! それくらいで即処刑はダメだろう! せめて話くらいは聞いてやらないと!」
一応、俺って参謀の役割も担っているわけだし、今後も対話を求められる場面が増えてくるだろう。
これはその練習、くらいに思っておけばどうとでもなる。
「……それなら! シャドウとルミナが話をする時には、私が必ず同席するわ!」
「それはダメだ」
「なんでよ!」
「アリスディアは魔王だ。ルミナの言葉が仮に嘘であったなら、何が起きるか分からない。そんな場所に同席させるわけにはいかないだろう」
「それは! ……うぅぅ」
自らの立場を理解したのか、アリスディアは悔しそうな表情を浮かべている。
「まあ、まずは魔王会議で死四天将と話し合おう。それで、俺とルミナが話をする必要があれば、そこに死四天将の誰かを同席させれば問題はないはずだ」
「……分かったわ」
「……もしかして、拗ねてる?」
「拗ねてない! もう、シャドウのバカ!」
……俺、なんで怒られているんだ?
とはいえアリスディアへの報告は終わり、しばらくして魔王会議が始まった。
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