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「私は、あなたの婚約者のアギロじゃない」

私は車に備え付けの通信機越しに本当を吐く。

姉の手術が終わった。

ヒレナガゴイのようなドレスを着せられて私は車に座っていた。真っ白な白無垢とマーメイドドレスが混ざったようなデザインの生贄の衣装は、非常に動きづらい。 そして、ベールをかぶっているから見えづらい。











昔の人はいいなあと羨むことが私は多い。

例えば体。

肌の色や骨格が違うだけで、みんな暖かな血肉の通った肉体をしていた。

けれど今は、金属や埋め込まれたエンジンを冷やすための冷却液が通った冷たい体の人が多い。

人間が逃げこんだ月の裏側。

冷たい宇宙の月の裏側で人間の体と心は冷たくなった。

宇宙に出た人類は、生きるために必要な人の形を取りづらくなった。

人の形を補助するために、機械と融合することが多くなった。

私とて、エンジンはないにせよ。

運良く左手と右足が機械肢ですんで運が良かった。

この世界では、暖かい体の人間であるほどステータスが高い。

機械の体積が多いほど、人は人ではなく機械として扱われる。

機械が少ないことがステータスで、私の一族は指一本分くらいが機械であることが当たり前。

だから、私の扱いはよくなかった。

機械で頑丈とはいえ、危険な雑用や仕事をよく押し付けられた。

それでも、私の扱いはいい方だ。

名前さえ与えられず、道具として壊れていった知り合いを何人も見てきた。

「カグヤはわたしの大切なお人形です。雑に扱うことはやめてください」

私の姉、アギロはよく私を抱きしめて、周りのものに睨みをきかせていた。

アギロはこの月の裏側で珍しくどこも機械ではない。

完璧な人間だった。

彼女はこの月の裏側での最高の権力者の一人だ。

彼女のおかげで、私は命令されることはあれど、命を落とすほどのことは、経験していない。

私の任務はよく、荒廃した地球にアップロードして、いろんな情報をダウンロードしていた。

ナノロボットの暴走により、機械融合生物が当たり前の世界とかした地球は、他の人や機械にとって精神にくるものが多いらしい。

私は何も問題はないが、むしろ楽しい。

ロケットで意識を移した人形を送り、探索する。

月の世界の私の体は寝てばかりだ。

地球の偽物の体の私は、大きな生き物と戦ったり、泳いでみたり、人間であることを隠して、機械融合知的生命体との交流をしていた。

「カグヤ、お願いもう地球にアップロードしちゃダメ。妾は戦争に反対したのじゃぞ」

アギロは悲しそう顔をして抱きしめた。

なんでも、月と地球で戦争が起るらしい。

地球や月で何か問題が起こればもう、月に帰らなくなるかもしれないからと反対された。

探索をもっとしたかったし、いつも手伝ってくれた知的生命体にもお礼を言っていない。

後悔が残るが、姉の残して探索するのも気が引けた。

仕方がない。


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