90 超美形の彼
「前に使用人の解雇と雇用について話しただろう?」
「はい」
「ちょうど今日、新たに雇い入れた者が揃った。入って来い」
そういえば……そんな話もしていましたね。結局わたしは一人しか決めなかった。悩んだ人もいたけれど、その人達はお姉様に紹介することにしたので、今はフランクスの屋敷で働いていると思う。
覚えのない気配が屋敷内にあるなぁ、くらいにしか思っていなかったけど新しい使用人だったらしい。
「お初にお目にかかります。侍女長に就任致しました、ロゼと申します。新たにここで働くこととなった使用人を代表し、ご挨拶させていただきます」
「彼女は皇族専属でも働くことができる実力者だ。好きなように接すると良い」
「はじめまして、リーシャです。よろしくお願いしますね」
皇族専属ってすごいですね。公爵家も良いけど、それなら皇城で働く方が絶対にお給料は良いと思う。そりゃあフェルリアも公爵家ですから好待遇でしょうけど。
旦那様の言葉で彼女達が下がると、今度は覚えのある気配がこの部屋に向かってくるのを感じた。出迎えるべく扉の方に移動すると旦那様の許可を得て部屋の中に入ってくる。
「久しぶりね、ルヴィ」
「お久しぶりです、リーシャ様。再びお目に掛かれて光栄です。まさか僕がリーシャ様にお仕えすることになるとは思ってもみませんでした。人生何があるか分かりませんね!」
「そうね。相変わらず元気そうで何よりだわ」
まともに挨拶をしたかと思えば、すぐにいつものペースに戻った。彼はわたしが雇うことを決めた人物。わたしが仕事中に出会った暗殺者みたいな人というのは彼のことだったんだよね。旦那様には言いませんけど。
「はじめまして。フェルリア公爵様ですよね?」
「ああ。リーシャ、彼が知り合いだと言っていた者か?」
「そうですよ。この人は誰に対しても遠慮というものを知りませんので、旦那様も雑に扱って良いですからね」
「ちょっとリーシャ様! それは酷くないですか!?」
「丁寧に扱われたいならもう少しまともな性格になってから言いなさいよ」
彼は男性にも女性にも見える顔立ちをしているけれど正真正銘男性。顔の造形の美しさを際立てるエメラルドの瞳を持っていて、黒羽色に緑のメッシュという少し珍しい色の髪を頭の後ろで一つに束ねている。びっくりするくらい綺麗なんだよね、彼。何だかわたしの周りって、顔だけは良い人が多くないですか?
どうせなら性格も良くあってほしいのですが……彼らにそれを求めてはいけないですよね。非常に、非常に残念です。
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