77 過去のわたし……哀れだね?
「リサちゃん、許可をいただいてきたわよ」
「陛下は何かおっしゃっていましたか?」
「武器を所持している者がいるのは確認済みで、あえて泳がせていたそうよ。どうやら貴族ではないらしいわ」
やっぱり……貴族らしい服装だし、見覚えのある人だったけど骨格などから得られる情報が僅かに違った。誰かが変装しているみたいだね。本物は合意の上なのか、それとも完全に無関係なのかも後で調べないと。
改めて思う。ロードの任務だけでも多すぎるのに、領地まで一人で切り盛りしていたわたしはすごい。今だから分かるけど、自分の時間なんて一切なかったよね。あれだけ忙しくしていたのだから、身なりに気を遣う暇なんてなくて当然だわ……
「……哀愁が漂っているリサちゃんは珍しいわね。どうしたの?」
「過去の自分を哀れんでいたんです」
「ああ……リサちゃんの場合はご家族との折り合いも悪かったものね。現フランクス伯爵であるソフィアとも見事にすれ違っていたし」
「あら? レタお姉様はわたしとお姉様の関係性を知っていたのですか?」
昔はお姉様のお話もしていたけど、お姉様と出会って二年後くらいにはそれもなくなった。世間では不仲だと囁かれているはずなんだけど、旦那様のように一部の人はわたし達がお互いに嫌っていたわけではないと知っていたらしい。
「見る人が見れば分かるわよ、あれくらい。特にソフィアの方は分かりやすかったわ。夜会に来ては男性を見極めている様子だったけれど、彼女には仲の良い婚約者がいるのよ? 普通に考えておかしいでしょう」
常にリサちゃんのことを想って行動しているのが丸分かりで、どんな見方をすれば不仲だと言えるのか逆に不思議だったわ、と続ける。さも当然といった感じでおっしゃいますけど……それは大多数の貴族は見る目がないのだと言っているようなものではありません? そんなことないですか?
まあわたしも分かっていましたけどね。だって家族として一番近くにいたのですから。しかも自分のことなのですし、気付いて当然というものでしょう。あれで本気で虐げていたつもりなのだから、お姉様は可愛いし優しいなと思う。あの両親から生まれて良くあんなに素敵な性格に育ちましたよね。奇跡だと思いますよ。
わたしが男性だったら間違いなく求婚するくらい。お義兄様はあんな素敵な女性と結婚できるから少し羨ましいな、って思います。わたしはあの旦那様ですからね?
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