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【第1章完結】公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~  作者: 山咲莉亜
第一章 白銀の龍と漆黒の剣 ──交わる二色の光──

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72 視線が痛いです

「……なぜそんなに疲れ切った顔なんだ?」

「リジーが『せっかく健康的で本来の美しい姿に戻ったのですから、いつも以上に着飾りましょう!』、と……午前中はユリウス公爵の仕事、午後からはずっと夜会の準備! 顔以外もしっかり疲れているので早めに帰りません?」

「始まる前からそんな感じで大丈夫なのか?」


 大丈夫だったら旦那様に弱音を吐いたりしません。だから呆れた顔をしないでください。公爵としての仕事はお父様に押し付けられていた仕事と似ているからまだ良いんですよ。問題は一生懸命楽しそうに磨かれたことです。もう良いと言っているのにずっと楽しそうで、わたしの言うことを聞いてくれないリジーが悪いです。まあ、綺麗になったとは思いますよ? 髪の毛は良い香り、お肌は艶々ですし。でもその代償があまりにも大きすぎると思うんですよね。


 貴族の女性はすごいですね。わたしと違ってこれが当たり前の生活をしているのですから……


「これだけでも十分にわたしが疲れる理由にはなっていますが、一番は……」


 言葉を止めて周囲を見回す。ほんの少し視線を向けただけなのに、目が合った人がたくさんいる。そう、なぜか皇城に着いて会場に入った時から異常に視線を浴びているんだよね。今までこうして注目を浴びることは少なかったから、どうすれば良いのか分からない。わたしは空気扱い、あるいは嘲笑の視線しか知らない女なのです。


 注目の原因は恐らくわたしの隣にいる旦那様。旦那様がいるから、二重の意味で注目を浴びている。一つは言うまでもなく旦那様が見目麗しい公爵様だから。もう一つは旦那様と結婚してお互いに初めて公の場に出てきたから。

 どういうわけか恋愛結婚ってことになってるから、聞きたいことが色々あるんだろうね。女性からの嫉妬と羨望の眼差しが痛い。ユリウス公爵になったからというのもあるかもしれないね。わたしも人気者になりましたねぇ……


「陛下……お願いですから早く会場入りしてください……」

「君じゃなかったら不敬罪になりそうだな。皇帝は後から入場するものだというのに。だがそろそろじゃないか?」


 身分の低い人から順に会場入りするから、早くしろと言うのはその人を目下扱いしているようなもの。もちろんそんなつもりはないですし、隣にいる旦那様にしか聞こえないくらいの声で言いましたから、旦那様が陛下に報告しない限り不敬罪にはなりません。大丈夫です。バレなければ良いんですよ。


「あ、来られましたね」

「おい、大丈夫なのか? 今能力を使っただろう」

「誰かに見られたら大変だから左目だけ手で隠したんです。大丈夫じゃなかったら使ってません」


 輝き方は全然違うけど、色は左目しか変わらない。だから金色になってしまう左だけ隠していれば意外と人が多い場所でも能力を使えるんです。旦那様だってそれくらいのことは分かっているでしょうに。

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