71 可愛いリジーと急な任務
「んん~っ!」
「今度はどうされました?」
「……本当に、なんでわたしがこんなことをしているのかな? わたしは離婚するまでの三年間、ゆっくり過ごそうと思っていたのに」
わたしが今一番納得できないのはなぜか執務机に向かっていることです。なぜ目の前に書類の山があるのでしょう?
「休みたいです」
「そうですね、たまには休憩してください」
……え? リジーが優しいんだけど。にっこり笑顔で頑張ってくださいって言われるかと思った。
「……そんなに意外そうな顔をしないでください。今日は夜会がありますし、あまり無理をしてほしくないと思って言っただけです」
あら……リジーが可愛い。ちょっと耳が赤くなってて可愛い! はい、癒されました。まあわたしの方が年下なんですけど、そこは気にしないでください? 年上の相手に可愛いと思うことだって普通にあるでしょう? 照れてるリジーはレアですよ!
「心配してくれてありがとう。忙しくはあるけど、今日の夜会はお姉様に会えるから楽しみでもあるんだよ? 邪魔な人達が消えたから堂々とお姉様に話しかけられる……! 幸せ!」
「はいはい、リーシャ様は本当にソフィア様のことが大好きですね」
「当たり前だよ」
「旦那様と似た何かを感じるとおっしゃっていたと思うのですが……気のせいだったようですね」
うん、やめて? それはまた仲良くなれた証拠とも言えるけど、悲しくなるからやめよう? わたしの周りにいる方って人をからかうのが好きだったり、わたしからするとちょっと厄介な性格をしている人が多いんだよね。その筆頭は思い出したくなくても頭に自然と浮かんでくる人ですけど。……あ、駄目。思い出したら怒りが。
「ま、まあ今はそんなことどうでも……陛下の伝書鳩?」
「何かあったのでしょうか?」
僅かに湧いてきた怒りをごまかすように話していると、突然部屋の窓が叩かれた。皇帝陛下が従えている伝書鳩だ。緊急事態や任務の知らせをしてくれる、とても賢い鳩。
その鳩が持ってきてくれた手紙に目を通すと、思わず大きなため息が出た。
「……今日の夜会で護衛を頼まれたわ。事情などは書かれていないけどね」
「貴族全員参加の夜会ですから、一応警戒しているだけという可能性もありますね」
「うん。承知致しました、と」
一言だけ書き記し、鳩に持たせるとすぐに帰って行った。護衛をするにしてもしないにしても、いつもと同じように社交をするだけだから大した手間ではない。堂々と護衛できる立場ではないから、わたしの任務は普段より警戒を強めて見張っておくことくらいかな。
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