62 フラグ回収
お母様の話はもう何年も他の人の口から聞いていなかったから本当に嬉しかったのですよ。だからちょっと泣きそうになりながら深く頭を下げていると、少し慌てながら頭を上げてほしいと言われた。
わたし、本当に本当にお母様のことが大好きだったから。こんなことで泣くのかと言われると何も言い返せないんですけど……
「それでアルヴィン、どうやってリーシャさんと知り合ったの? こんな可愛らしい子、絶対に手放しては駄目よ?」
「色々ありまして。もちろんリーシャを手放す気はありませんよ、母上」
さすが嫌味と皮肉が恋人で人をからかうのが大好きな旦那様。嘘を吐くのもお得意だったんですね! 良く堂々と『手放す気はない』などと言えたものです。一周回って感心ですよね、ここまで堂々と嘘を吐いているのを見ると。
「それなら良いわ。リーシャさん、あなたのことは以前から気になっていたのですよ。私のことは好きなように呼んでくださいね」
「ではお義母様と呼ばせていただきますね。敬語も不要ですよ。お義母様はわたしのことをご存知だったのですか?」
「たまに夜会に参加しているのを見たことがあるくらいだけれど、エミリアさんの娘なだけあって本当に綺麗な子だなと思っていたの。誰もしっかり見ていなかったから人気があるとは言えなかったけれど、顔のパーツは正直異常なほど整っていると思っていたわ」
それは嬉しいですけど……異常なほど整っている、とは……? 中々聞かない褒め言葉ですね。それとやっぱり嫁姑問題を気にするような方ではなさそう。年下のわたしから見ても若々しくて可愛らしい顔立ちだけど、意外とクール系? あとマイペースそうな方ですね。口数はわたしに対してだけ多い気がするんですけど、気のせいですか?
それから、『アルヴィンも容姿は整っているけれど、中身は旦那様に似てくれなかったから真っ黒なのよね。おかげで全てが胡散臭く見えてしまうわ……』なんて、そんなこと言わないでくださいまし。辛辣だけど母親なだけあって的確ですし、苦いお顔の旦那様が面白すぎるので……!
「ありがとうございます。よろしければ今度お茶でもしませんか?」
「本当? リーシャさんが良いと言ってくれるのなら私からお願いしたいくらいだわ」
取りあえず、事前情報と違ったので旦那様の足をグリグリと踏みつけつつ、笑顔でお話しする。お義母様とはすごく気が合いそうで嬉しいです。途中でチラッと旦那様の顔を見ると、恐ろしい笑みを浮かべた人と目が合った。そんなに痛かったですかね。怖いのでもっと穏やかでいてくださいよ。
「ではまた後日、皇都の屋敷で。楽しみにして……」
「?」
あーあ、旦那様。本当に面倒なことになってしまいましたよ。誰ですか、何か起こってもおかしくないなんて言ったのは! ……わたしですね、はい。すみません。
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