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6 やはり家族は変わらない

 それから少し話をして『ではまた明日』と別れた。公爵様が帰った後はお父様達に質問攻めされたけど、契約結婚のことは言っていない。お父様は借金を返してくれるならと喜んで了承した。お継母様は『公爵様の結婚相手はソフィアにこそ相応しいのにどうしてあなたなんかが!』とかなんとか言っていたかな。興味がなくてあまり覚えていないんですけど、そんな感じのことを言っていた気がします。


 でも、『そう言われましても、結婚を申し込まれた理由なんてわたしにも分かりません。お継母様が直接聞いてみてはいかがでしょう?』と伝えてみた。わたしとしても話せないことがあるので、知りたいことがあるなら本人に直接聞けと、公爵様に丸投げした形ですね。これくらいの意趣返しは許されると思いますよ。


 お姉様はというと、お継母様のように騒ぐか罵倒されるかと思っていたら意外に落ち着いており、『そう』とだけ言っていた。つまり、フェルリア公爵様はお姉様の判断基準に()()()()()のだろう。お継母様のことも何とかしてくれるようだったのでその場はお姉様にお任せし、わたしは退室した。お姉様は意外と不思議なところが多い。攻撃力の高い嫌味を言ってきたかと思えば、どうでも良さそうにしている時もある。

 いずれにせよ、お父様やお継母様よりは全然マシだけどね。それに腹違いでも姉だから、お継母様は論外として、実の父親であるお父様より大切に思っている。わたしは大好きなお母様を平気で裏切ったお父様が大嫌いだから。


「それで、私はお供してもよろしいのでしょうか?」

「逆に問うけど、一緒に来てくれないの?」


 わたしとしては付いて来てもらわないと困る。リジーはわたしがロードだと知る、数少ない内の一人でもあるのだから。

 もし来るなと言ったとしても、リジーは無理にでも付いて来ようとするでしょう。最悪、公爵家に雇われてまで私の傍にいようとすると思う。


「いえ、リーシャ様に駄目と言われても付いて行くつもりでしたよ。私よりリーシャ様のお役に立てる者はいないと自負しておりますからね」


 やっぱりそうだった。思った通りのことを言っているなと、少し笑ってしまった。たしかにリジーがいれば何でもできると思う。本当に有能で自慢の侍女だわ。


 そうと決まれば後は早かった。わたしが最後の仕事として書類の引き継ぎなどをしている間にリジーは必要なものをまとめてくれている。


 リーシャのように仕事が早く優秀な主人の従者は、同じく仕事ができて優秀な人物なのだろう。優秀な人間は仕える相手を選べると言うが、全くその通りでしかない。


「三年後にはここに戻ってくるし、それまでにお父様達をどうするかも考えないといけないわ。借金の件は解決したし、陛下が協力してくださるかな?」

「リーシャ様のお願いでしたら喜んで聞いてくださるのではありませんか? 元々正統な後継者はリーシャ様ですし、ここ数年領地運営をしてきたのは誰か、口にこそ出されませんが多くの人が知っておられますからね」


 それは皇族だけではなく貴族のことも言っているんだろうね。わたしの有り余っていた私財やここ数年の給料まで使わせるとは、一体どれだけ贅沢して領地を放置すれば気が済むのか。おかげ様で今のわたしは一文無しですよ。人のお金を勝手に使わないでいただきたいですね。


 出所を聞かれてもロードの任務でいただいている給料だとは言えないからずっと黙っていた。だけどあの人達は本当に好き勝手しすぎです。


「まあしばらくはゆっくりできそうだし、だらだらして体を休めようかな」

「お疲れなのは分かりますし、体を休めることに関しては賛成ですが……リーシャ様に『だらだら』なんて、そんなことできますか?」

「ロードの任務はちゃんとするよ?」


 そういうことではなくてですね……と額に手を当てて苦い顔をするリジーだが、リーシャにはハッキリ言った方が良い。リジーが言いたいことが分からなかったから、どういうこと? と聞くと、『その時になってみれば分かるんじゃないですか?』とのことだ。質問にはしっかり答えてほしいよね。

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