45 お姉様再来
「────リーシャ様、シエルです。少々お時間いただいてもよろしいでしょうか」
「すみません旦那様、ちょっと行ってきますね」
「ああ」
跡取りのことで悩みつつ、旦那様とお話ししているとシエル様に呼ばれた。旦那様に用事があるならいつも通りだけど、わたしに用事って何の話だろうね?
「シエル様、どうかなさいまして?」
「お時間取らせてしまって申し訳ありません。私からは何か用事があるわけではないのですが……」
「え?」
「……ごめんなさい、私が無理を言って通していただいたの。リーシャは絶対に誤解していると思ったから」
「…………」
そう言ってシエル様の後ろから顔を見せたのはお姉様。もう帰っていると思ったんだけど……
驚いたけどお姉様らしくはある。喧嘩とは少し違うけど、こういうことは後になればなるほど、面倒なことになってしまいますから。お姉様とは関係ない話になってからの旦那様はいつも通りだったのが助かった。今なら少しは冷静でいられると思いますし。
「どうなさいますか?」
「お通ししてください。お姉様、わたしの部屋で構いませんよね?」
「ええ。ご迷惑をおかけしまして、申し訳ございませんでした」
「いえ、お気になさらず」
こうしてわたしと旦那様、後ろに控えるのはリジーとシエル様、そして正面座るのはお姉様、という不思議な光景ができ上がった。でもお姉様、わたしに対しては緊張気味なのに旦那様に対しては特に気に留めていなさそうなのはなぜですか? 普通は逆だと思いますけど……
「リーシャ」
「何ですか。お姉様はわたしのことが嫌いなのでしょう? 嫌いな相手と無理して話すことはないと思いますけど」
「……正直に言っても良いかしら? 公爵様、お見苦しいところをお見せするかもしれませんけれど、どうかお見逃しください」
「好きに話せ」
あのー、わたしの意見は聞かないの? 良いかしら、と聞かれたことに対してわたしはまだ答えていませんけど……?
「では遠慮なく。……リーシャ。あなた、人の話を最後まで聞こうとは思わなくて? 勝手に悲しむのは良いけれど、私の言いたいことくらい最後まで言わせてほしいわ!」
「……ん? え、あ、はい」
ビシッ! と扇の先を突き付けられる。あまりに急な展開で追いつけないんですけど、それはわたしだけじゃない……ですよね……? 旦那様は澄ました顔ですが肩が震えていますし、シエル様は勢い良く顔を逸らしたのを見てしまいましたが……わたしだけではありませんよね?
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