40 姉妹
「この封筒……いえ、封蝋に刻まれた家紋だけど、これは一体どういうこと? フェルリア公爵家のものではないわよね」
「お姉様なら分かっているのではありませんか? 薄々勘付いていらっしゃると思っていたのですけど……」
「「ロードの家紋」」
信じられない、信じたくない、とでも言いたげな顔で封筒を見せてきたお姉様。わざわざ持ってきてくださったらしい。わたしとお姉様の言葉が重なった時、お姉様は目を見開いて俯いた。
「そう……そうよね。だって皇家の家紋が入っているもの……」
「驚きました?」
「当たり前でしょう。あなたの言う通り、ロードなのかもしれないとは思っていたわ。それでも驚くわよ」
「ずっと疑問に思っていました。なぜお姉様はわたしがロードである可能性を考えていたのですか? そんな素振りは見せていないつもりでしたけど。お父様達は夢にも思っていないでしょうし」
訓練している姿を見られた……ということは絶対にないでしょうね。だって地下で訓練する時以外は必ず周囲を視ているし。
「特に理由はないわ。強いて言うなら社交の場でのあなたに対する態度が、皇族の皆様や重鎮の方々だけ特別に見えたから。親密そうでありながら緊張感を感じたわ。あなたが緊張感を持っているのではなく、周囲の方々があなたに対して、ね」
「そうですか? わたしは緊張感なんて感じたことありませんけど……」
「心配いらないわ。リーシャのことをずっと見ていた私くらいしか気付かな……っな、なんでもないわ」
しっかり聞きましたけどね。というか……
「いつか聞こうと思っていました。お姉様ってわたしのこと、妹として好きですよね?」
「そ、そんなわけないでしょう! あれだけ嫌がらせをされておいて、良くそんな馬鹿なことが言えるわね!」
「お姉様って中途半端なんですよ。嫌がらせらしい嫌がらせをされた覚えはありませんし、お父様やお継母様がわたしを罵倒していたら自分が後できつく言っておくからと宥めているくせに、その後何か言われたことは一度もありませんでした。あるとしたら心配してくださっているような言葉くらいですかね? 社交界でわたしの悪い噂が流れていたら話を逸らす形で広まらないようにしてくださっていましたし」
必要最低限しか使っていないと言っていた社交費も、わたしを少しでも早く家から出すために結婚相手を探していた。もちろん全てがそうではないけれど。
「いつだってお姉様はわたしのために動いてくださっていました。これはわたしの勘違いなどではないと確信しています」
「なぜそう思うの?」
「だってわたしとお姉様は片方しか血が繋がっていないとはいえ、姉妹……でしょう? 中途半端な態度なら尚更、伝わってくるものはあります」
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