38 お姉様とのお茶会
「こんにちは、お姉様。遅くなってごめんなさい」
「構いませんわ。本日はご招待いただきありがとうございます」
「お姉様、わたしに敬語を使う必要はありませんよ。今まで通りでお願いします」
「……分かったわ」
フェルリア公爵家の立派な庭園。今日、わたしとお姉様はお茶会という名目で様々なことを話し合う。この様子だとお姉様もわたしに言いたいことや聞きたいことがたくさんありそうだから、わたしの用件は早めに終わらせようかな。
「世間話から始める間柄でもありませんので早速。単刀直入に言います。フランクス伯爵家の継承権をわたしに返してください」
「それは私が決めることではないわ。それにリーシャは嫁いだのだから継承権も何もないのではなくて?」
「返してくださいと言いましたけど、正統な継承者はこのわたしです。お父様も一時的に預かっているだけに過ぎません。お姉様が承諾してくださればすぐにでも代替わりできます」
まず話はそこから。お願いしているけど、了承以外の言葉を受け取るつもりはない。だってお姉様がこの話を承諾してくれないと話が進まないし。
「わたしの独断で決めることはできないわ。当主の決定ではないなら皇帝陛下だってお許しにならないでしょうし」
「わたしはお父様や皇帝陛下の話をしているのではありません。お二方の意見は不要です。お姉様さえ了承してくだされば良いのです」
「……分かったわよ。あなたも言っていたけれど、正統な跡取りはリーシャだもの」
「ありがとうございます。リジー、皇帝陛下に伝言をお願い。『伯爵家の現当主はリーシャです。リーシャ・ロード・フランクスの名において、フランクス伯爵家の新当主がソフィア・フランクスになったことを報告致します』、と。これだけ言えばご理解いただけると思うわ」
「かしこまりました」
それだけ言うとリジーは消えていった。それを聞いて焦りだしたのはお姉様。まあそうだよね。何のために承諾したのかって話になるからね。
でもわたし、伯爵家は継がないと婚姻の儀の時には決めていたから。
「ど、どういうこと? 現当主はお父様だし、新しい当主が私って……それなら継承権をあなたに返す必要はなかったのではなくて?」
「皇帝陛下はわたしが当主だったのだと言えばその通りだと頷いてくださると思います。皇帝陛下がその通りだと言っているのに口を出せる貴族はいません。そうでなくとも領地を管理していたのがわたしだということは知らない人の方が少ないですし、口を出す以前に信じる方がほとんどでしょう」
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