32 ソフィア・フランクス
『略啓 お姉様
先日はわたしの婚姻の儀にご列席いただきありがとうございました。お姉様に来ていただけて嬉しかったです。早速本題に入りますが、長いと面倒でしょうから簡潔に。
披露宴の時にお話ししたように、お姉様とお茶会をしたいと思っています。お姉様のご都合を考慮できず申し訳ありませんが、明後日の午後、皇都のフェルリア公爵邸でお待ちしております。内密にお話ししたいことがありますので、お父様とお継母様にはわたしと会うこと、内緒でお願いしますね。
では、お姉様とお話しできる日を楽しみにしておりますわ。 リーシャ・ロード・フェルリア』
「あの子、一体何を考えているの……?」
フランクス伯爵家。リーシャの義姉ソフィアは封蝋として印された紋章──皇家の家紋を守るように巻き付いている、白銀の鱗を持つ龍を見詰めながら呟いた。
◇
「リーシャ様、よろしかったのですか?」
「ええ。お姉様は恐らく、わたしがロードの一人であることに気が付いているからね。それにこうして本名を書いておけば、お姉様は何が何でもお父様達に内緒で会いに来てくださるでしょう。ロードの言葉を無碍にはできないのだからね」
たとえわたしがロードであることに勘付いていなかったとしても、これがわたしの本名だと信じなかったとしても、万が一を考えてあの手紙の内容をお父様達に話したりはしない。お姉様はそういう人だとわたしは知っている。社交界の華であるお姉様を妬んで『容姿だけ』とか『どうせ頭は悪い』なんてことを言う人もいるけど、あの両親と違ってお姉様は馬鹿じゃない。目的があればそんな風に言われていることすら利用するような人だし、慎重なお姉様は信頼できる。
わたしがリジーや皇帝陛下、皇族の皆様の他に心から信用できる極僅かな人でもある。片方しか血が繋がっていなくても、嫌われていても、わたしはお姉様のことが好きだしね。
「リーシャ様がそうおっしゃるのでしたら私に異論はないです。リーシャ様と同じく、私もあの屋敷にいる人の中でソフィアお嬢様だけは信用できますから」
「わたしのことは信用していないの?」
「リーシャ様のことは言うまでもなく信用していますよ。それに、命に代えてもお守りしたい大事な方です」
「あら嬉しい」
今の時点ではわたしがリジーを守る側だろうけど、いずれ能力を使っていないわたしと同等くらいには強くなるかもしれない。特殊能力を使っているわたしには絶対に敵わないだろうけど、それでもこれからもっと強くなると思うよ。
「リジーの気持ちも再確認したことだし、行きましょうか」
──いざ、戦場へ!
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