30 大嫌いと興味がないと、それから
「わたしのことはもう良いです。旦那様も今日はこの屋敷にいらっしゃるのでしたよね?」
「今日は、というよりしばらくの間は屋敷での書類仕事になるな。ロードの任務はあるかもしれないが、社交も必要最低限しかしない」
「それは知っています。社交界ではあまり見かけなかったので」
「そういう君だって同じようなものだろう?」
「わたしは領地経営で役に立つ情報を集められそうな時は参加していましたよ。今となっては関係ないことなので、今後は旦那様と同じく最低限しかしない予定ですが」
貴族は噂好きの人が多いから色々と得られるものがあるんですよ。そうじゃなくても条件が合いそうな領主を見つけては契約を持ち掛けていましたし。幸い、この国は皇族の皆様が良い方々なので貴族も悪い人ばかりではありませんし、わたしが一人で領地を管理していたのはほとんどの人が知っていたため、同情して契約してくれる人もいました。もちろん条件はありますけど。で、わたしはその気持ちに付け込んでいたってわけです。利用できるものは何でも利用しないともったいないでしょう?
とはいえ、良い人ばかりでないのは確かですから、わたしのことであることないこと噂する人もいましたけどね。でも噂だけで済むなら可愛いものだと思いません? 領地を奪おうとしたり、没落させようと考える人も当然いましたので。
そんなことは絶対にさせなかったし、そんな馬鹿なことを考える人達は返り討ちにしてやりましたけど!
「でも明後日は社交しますよ。あ、社交ではないかな……? まあ何でも良いですよね。昨日言ったようにお姉様とお茶会をしますけど、構いませんでしょう?」
「ああ、好きにしろ。だが君と彼女は仲が悪かったのでは?」
「どうでしょうね。お父様のことは大嫌いですし、お継母様には興味がないので、そちらは不仲と言えるかも知れません。でもお姉様は同い年なのもあって、昔は仲が良かったのですよ」
悪いのはわたしの父親と継母。あの二人に比べたらお姉様がわたしに言ってきた言葉の数々は全然、全く、微塵も悪いとは思えない。
「お姉様、わたしに関してはどこまでも中途半端なんですよ」
「リーシャ様、それはどういう意味ですか?」
「知りたいですか? シエル様」
「いえ、やっぱり大丈夫です」
それは残念。シエル様で遊ばせてもらうチャンスだと思ったのに。そんなに怯えた顔をしなくても、取って食べたりはしないですよ? いや、怯えているというより引いてるのかな? これからどんどんわたしに対して遠慮がなくなっていきそうな気がしますね。今はまだ少しだけ遠慮しているみたいですけど、いつまでその調子でいられるか楽しみです。
「……捕食者のような笑顔、ですね……」
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