28 意外な一面
まだ外が暗い内にリジーと走って屋敷に帰り、汗を流してあたかも今朝の準備が終わったばかりというような顔をしてダイニングに向かった。リジーも慣れているからか上手く疲労を隠している。わたしは補佐だったし、敵を倒したりはリジーがしていたのであまり疲れていない。
ただ、今から精神的に疲れることになるかもしれないけどね。だって朝食ですよ? 当然旦那様も一緒。ここまで言えば分かりますよね。
そう! きっとまた意地悪なことをされると思うのです! 人を玩具か何かだとでも思ってそうな人ですからね!
そういえば、旦那様のお仕事は基本屋敷での書類仕事らしい。ロードの仕事があるから自由が利くようにしているのだろうけど、それを知らない人は国境警備が仕事だからだと思っているはず。フェルリア公爵家は国の剣と盾ということになっていますから。真っ赤な嘘ですけどね。でもそれらしい仕事もあると聞いた。だから怪しまれていないんだろうね。
「……リジー、何だかすごく違和感を感じるのだけど」
「いつもの嫌がらせがないからでは?」
「あ、それだわ。……この話で思い出したけどリジー。あなた、どうして旦那様に嫌がらせのこと報告したの?」
「聞かなくても分かっておられるのでは?」
「分かってるよ? でも放っておいて良かったのに」
「いつかリーシャ様の任務にも影響が出るようになったら大変でしょう? 怪我でもされたらどうするのですか?」
それを言われたらなにも言い返せない。リジーの言う通りだからね。
まあすでに終わった話だし、リジーに文句を言っても仕方ないか。わたしのことを思っての行動だし。解雇する使用人も他で雇ってもらえるよう推薦書を書くと聞いてる。
「おはようございます」
「…………」
「旦那様?」
「おはようございます、リーシャ様。アルヴィン様は少々……いえ、かなり朝が弱いのでいつも通りに見えても聞こえていないと思います。寝ぼけているような感じでしょうか?」
旦那様は朝が弱い……? ……そんなことあります? この方、三日くらい不眠不休でもピンピンしていそうじゃないですか。それとこれとは話が別かもしれないけど、意外なんてものじゃない。普段とのギャップが激しすぎません!?
「……それならまだ寝ていたら良かったのでは? 無理して朝食に来なくても良いと思うのだけど」
「いつの間にか覚醒していて、ご本人は朝が弱いという自覚がないので……」
「それは……苦労しそうだね?」
「ええ……」
シエル様が不憫だわ。たしかに良く見ると瞬きの回数が多いくてぼんやりしている。意外だけど弱みを握れた気分だわ。旦那様に何か仕掛ける時は寝起きが良いかも知れない。
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