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3 大切な話

「それで、大切な話というのは?」


 朝食後、わたしの私室に集まっているのはリジーとルヴィの二人だけ。人払いしてほしいとのことで、使用人も外に出している。相変わらず緊張してる様子で現れた彼に座るよう促せば、覚悟を決めたような顔で席に着いてわたしと目を合わせた。


「僕の素性についてです。僕がリーシャ様の元で働くことになって三ヶ月ほど経過しました。ですがリーシャ様はまだ僕の正体を調べられていないように思います」

「ええ。何か事情があるのは分かるし、信用に足る人物であれば調べる必要はないからね」

「このタイミングにした理由は特にありません。でもずっと僕から話すのを待ってくださっていましたし、もうこれ以上先延ばしにするのは良くないと考えました」


 本来なら最初から調べられていても不思議ではなかったので、と告げる彼はもう穏やかな顔をしている。こうして見ると『何か隠している』というような雰囲気がすごいわね。只者じゃないのが伝わってくる。男性にも女性にも見える、中世的な容姿が余計にミステリアスな雰囲気を醸し出しているのもあるかもしれない。果たしてわたしの予想はどれほど当たっているのか。


「無理に話す必要はないよ?」

「別に、何か嫌な思い出があるとかそういうわけではありませんので大丈夫です。ただ基本的には他人に話さない方がいいというだけの話で、絶対に話すなと言われているわけでもないです」

「リジーに聞かれても問題ないの?」

「はい。まあ素性を話すと言っても一言で終わります。僕は……僕の正体は────」

「…………」


 ルヴィの正体、それは何となく予想していたものとそう外れていなかった。予想が付いていた理由は以前、お母様と面識があるというような話をしていたから。そしてわたしもお母様と一緒にどこかで会ったことがあるような気がしていたから。

 お母様は任務以外だと基本的にベッドの中にいたから、わたしと一緒にいる時に顔を合わせた人となると、どんな人だったかまでは記憶になくても想像くらいはつく。


 そのことを彼に話してみると、『覚えてたんだ……』と驚いたような、でも少し嬉しそうに笑っていた。どうやらわたし達の初対面、少なくとも七年以上は前の話だったらしい。

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