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136 大好きなお二人の

「お姉様、お義兄様、ご結婚おめでとうございます!」

「ありがとう」

「フェルリア公爵、公爵夫人。本日はお忙しい中、ご列席いただきありがとうございます」


 無事に挙式が終わり、各自挨拶回りなどをする披露宴の時間になった。ありがたいことにお二人は一番最初にわたし達のところに来てくださったので、形式的なお祝いの言葉を口にした後で思い切り抱き着かせてもらいました。許してください、今日ばかりは我慢できなかったのですよ。


「こちらこそ、ご招待いただきありがとうございます」

「お義兄様、わたしは公爵夫人になりましたけど、今まで通りに接してくださいね」

「分かった。それじゃあ、これからは義家族としてよろしくね、リーシャさん」

「はい!」


 どうしましょう、嬉しすぎるのですが。口角が上がるのを抑えきれません。大好きな人が大好きな人と幸せそうにしている姿を見て、嬉しくない人がいますか? はしたないと思われない程度には抑えていますが、本当にわたしまで幸せでどうにかなりそうです。


 それにしてもお似合いですよね。何気ない仕草や行動一つからお互いが相手を想っているのが伝わってきます。


「機嫌がいいな、リーシャ。そんなに嬉しいか?」

「ええ、もちろんです。大好きなお二人が幸せそうにしている姿が見れて嬉しいのもありますし、わたしは何度もお二人から相談を受けていましたから、ようやくここまで来たのかと感慨深くなりました。いつでも泣けるくらいには嬉しいです」

「そうか。それは良かったな」

「はい」


 そういう旦那様も、少しだけ笑顔が柔らかいですよ。あの旦那様が僅かでも柔らかい笑顔を見せるなんてこと普通はないでしょうし、この雰囲気に感化されたのかもしれませんね。


「お姉様にお義兄様、お二人は今幸せですか?」

「……もちろん。愛する人と新しい一歩を踏み出せるからね」

「私も同じく。それに、あなたも言っていたけれど、こうして幸せな婚姻の儀を迎えられたのはリーシャがたくさん相談に乗って、背中を押してくれたからよ。あなたがいなかったら私達の関係も絶対に今とは違ったわ」


 お二人は一瞬顔を見合わせて微笑み、わたしの質問に答えてくださった。


 素直に嬉しいですね、こんな風に言っていただけると。お義兄様はわたしが結婚する直前でも相談に乗ったりしていました。お姉様に関しては不仲でしたが、十歳から十二歳くらいまでは仲が良かったのでその時に話を聞いたりしていたのですよ。お二人はその頃から交流がありましたからね。


「だからね、リーシャ。私が一番感謝しているのはあなたよ。今まで支えてくれてありがとう。ずっとずっと、愛しているわ。これからもよろしくね」

「はい、もちろんです……けど、そんなことを言われると泣いてしまいます……子供の結婚式で感謝を伝えられた親はこんな気分なのでしょうか……」


 主役が笑っているのに涙を見せるわけにはいかないと思って俯くと、ふわりと誰かに抱きしめられた。顔を上げると、目の前にいたのは泣きながら笑みを浮かべるお姉様。

 ……お姉様、一瞬の間で泣かないでください。ちょっとびっくりしましたよ。お義兄様、助けてください。優しい笑顔を見せなくて良いのでわたしに代わって抱きしめてあげてくださいな。旦那様、いつものように何か言ってくださいよ。今なら何を言っても許しますから……

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