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135 愛する姉と義兄へ

 ◇


 ノア侯爵家次期当主ラファエル・ノアと、フランクス伯爵家当主ソフィア・フランクスの婚姻の儀が始まった。婚姻の儀は午後の二時くらいまであるけど時間が掛かるのは披露宴で、挙式自体は三十分ほどで終わる。

 わたしは三ヶ月ほど前に自分の婚姻の儀があったので大体の流れは覚えています。侯爵家次期当主とその妻となる女性、それも現伯爵家当主の婚姻の儀となると規模が比べ物になりませんけどね。


 普通は公爵家の婚姻の儀の方が規模は大きいのですが、わたし達は契約だったので最低限で済ませたのです。ここにいるほとんどが両家の関係者だと思うとすごいですね。当然のことながら、牢にいらっしゃるお父様とお継母様は参列されていませんけど!


 今日のわたしはブルードレスを着ています。少し前に『ノエル』で依頼して仕立てていただいたものですね。髪型はいつもと同じで、サイドを編み込んだハーフアップです。付けている飾りが式に合わせた物なので、髪型が同じでも雰囲気は違って見えるでしょう。旦那様は説明するまでもないですね。とりあえず『相変わらずお美しい』。感想は以上です。


「さすがお姉様、綺麗だわ……」

「そうだな」


 ちょっと旦那様、『そうだな』なんて言っていますけど、全然見てないですよね……?


 お姉様は黒髪にわたしと同じ紫の瞳を持った美人。『かわいい』というよりも『綺麗』という言葉が似合うタイプ。あの両親の元に生まれて、よくこんなに綺麗に育ったなーって思いますね。お継母様も若い頃は綺麗だったのでしょうか? まあどんなに綺麗でも、傾国の美女と言われたわたしのお母様には敵わないでしょうけど。

 お義兄様……ラファエル様はお姉様と同じ黒髪に緑色の瞳を持っています。ちなみに、お義兄様は知的な雰囲気の美形ですが、頭が良さそうなイメージのある眼鏡はかけていません。


 愛する人と婚姻の儀を迎えたお姉様とお義兄様はすごく幸せそうな顔をしています。わたしと旦那様も同じように見えていたのでしょうか? 契約結婚だったので愛する人ではありませんが、あの家から出られるという意味ではわたしも幸せな顔をしていたかもしれませんね。

 恋愛というものをしたことがないわたしからすると、今のお二人はすごく輝いて見えます。きっとここに来るまでたくさんの苦労があったのだと思いますが、それを一緒に乗り越えてきたからこその今なのでしょう。


 今までずっとわたしを一番に考えてくれていたお姉様と、そんなお姉様のことを理解して一番の支えであってくれたお義兄様。

 お義兄様からはお姉様のことでたまに相談を受けていました。内容は様々ですが、どれもお姉様を想ってのことでしたね。だからこそ、わたしはお義兄様がお姉様のことを心から愛しているのを知っていますし、信頼しているのです。お二人には絶対に幸せになっていただきたかった。そのための手助けなど、残念ながら何一つできませんでしたが、お二人の笑顔を見れば幸せなのはよく分かるので十分でしょう。


 これから幸せばかりではなく大変なこと、辛いこと、悲しいことなど様々なことがあると思いますが、どうかいつまでも幸せでいてください。わたしは姉として、義兄として、お二人を愛しています。何となくそうなのだろうと思うのではなく、これがわたしなりの愛だと自覚できるようになりました。


 ────明日も、一年先も、十年先も、これからずっと、わたしの大好きなお姉様とお義兄様が幸せでありますように。

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