129 三人の成長
「おかえりなさいませ。リーシャ様、旦那様」
「ああ」
「ただいま。イアン、この後レイとフォルトも一緒にわたしの部屋に来てください。旦那様、ルヴィ、シエル様も」
リジーは言わなくてもずっと一緒にいるから問題ない。急ぎではないけど、それなりに大事な話があるからと伝えれば、すぐに頷いてくださった。
私室に戻る途中でロゼにお茶の準備をお願いし、部屋に戻ったら楽なドレスに着替える。何枚かの書類とペンを用意して長椅子に腰を掛けると、ちょうどお呼びした皆様が来られたのでそのまま座るように促した。
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。話というのはユリウス公爵家の使用人と管理、責任者についてです。イアン、レイ、フォルト。あなた達が深く関わる話なのでそこに座ってくださいな」
「俺達に……?」
「し、失礼します」
深く関わるというか、普通にこの三人の今後の話なんですよね。多少は彼らの希望も聞こうと思いますが、すでに確定していることもあるので断らせることはない。
「では早速話を始めましょう。まずルヴィに聞きます。この三人の訓練の相手をするように言っていましたが、どの程度成長しましたか?」
「僕からは三人とも合格を出しました。全員戦闘面においてはそれなりに才能もあり、努力することもでき、自分で決めた目標は絶対に達成しようという強い意志を感じられました。僕との接近戦ならばある程度時間も持つでしょう。そのため、僕から合格を出すには十分だと判断しました」
ルヴィは弓の名手。弓矢が届く範囲での遠戦で彼に敵う人は中々いないと思いますが、元々ルヴィは力では負けるからと弓を始めたそうです。なので接近戦はあまり得意ではない。それでも騎士団一つ潰せるくらいではあるので、たしかにルヴィから合格を出すには十分と言えるでしょう。精神的な面や性格も見てくれていたようですね。
「そう、ありがとう。リジーはどんな感じ?」
「戦闘訓練はまだまだです。早くても半年はかかるでしょう。私は使用人としての教育もしていましたが、そちらに関してはもう完璧です。教えることはありません」
「三人とも?」
「はい。それから、ルヴィ様も同意見だと思うのですが、三人の中だとレイさんが一番強いです。お二人とは格が違うと言って良いくらいに」
「なるほど……」
戦闘面ではまだ合格が出せなくても、ルヴィから合格が出ているなら大抵の相手は倒せるでしょう。だからそっちはとりあえず良いとして、使用人としての知識や実力は問題ないんだね。
びっくりするくらいわたしの思い通りになっている。それは彼らを最初に見た時、何となくだけどこうなることを分かっていたからでしょうね。戦闘面も使用人としての実力も。
「良いでしょう。では本題に入ります」
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