128 ユリウス公爵家の使用人
「皆様、お疲れ様です。ただいま戻りました」
「おかえりなさい。もうほとんど片付いたわよ。後は私の部屋を整理するだけだからこれで解散かしら?」
「ええ。使用人の選別だけしてもいいですか? ここで働きたい人の中から選びます」
「いいわよ。残ることになった使用人以外は私が連れていくか、別の就職先を紹介するわ」
お姉様の言葉で残りたい人とそうじゃない人で分かれてくれた。半分ほど残ることを希望しているようで、思っていたよりも多くて驚きました。選ぼうかと思ったけど、この屋敷を管理するならかなりの人数の使用人が要りますね。フェルリアは百人以上いますけど、ここも同じくらい必要でしょう。
「では、残ることを希望する人は全員ここに残します。お姉様がノア侯爵家に嫁入りしたその日から、あなた達はユリウス公爵家の使用人です。全員公爵家の使用人に相応しい実力を持っていることは知っていますので、今まで通り働いてください。主人がわたしになるだけです」
彼らは実力以外でも信用できるので、情報漏洩などの心配も要らない。全員公爵家で働くのに相応しい人材です。元々わたしが管理していた屋敷なので人事もわたし自身でやることが多かったし、不要な使用人はお父様達を牢に送ると同時にここから出しています。なので誰が残っても問題ありません。
「ただ、明らかに人数が足りないので、また誰か良さそうな人を雇おうと思っていますからそのつもりで」
時間はかかりそうですが、と苦笑しながら言うと、ずっと黙って話を聞いていた旦那様が『我が家の使用人を何人か連れていくか?』と言ってくださった。
「それはすごく助かりますが、了承してくれる使用人はいますかね? 公爵家も困るのでは?」
「最悪、フェルリアはシエルとリジーだけいれば仕事は回る。十名ほど引き抜けば良い。それくらいなら仕事に支障も出ないだろう。うちの使用人にリーシャの誘いを断る者はいない」
「そうですね……では、お姉様の婚姻の儀までに誰を引き抜くか考えておきます。ありがとうございます」
「ああ」
わたしはフェルリア公爵夫人でもあるので、どうしてもこの屋敷にいられない時もあると思うんですよ。というか、どちらかというとフェルリアにいる時間の方が長くなるでしょうね。書類仕事なら向こうに持っていけば良いだけですし。
その不在の間に屋敷を任せる人はもう決めてある。陛下に屋敷と領地が返されると聞いた時から任せる人を決め、その人は無事に安心して任せられるだけの知識と実力、そしてわたしの信頼を得てくれました。帰ったらちゃんと話しておきましょう。
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