109 悪いのは基本、旦那様
「……暇じゃないですか? 暇ですよね」
「私は平気だぞ。君はもう少し大人しくすることを覚えた方が身のためだ。いつも四六時中動き回っているだろう」
「そんなことないですよ。休む時はちゃんと休んでいます」
現在の時刻、午前十時頃。それぞれいつも通り仕事や訓練などに戻っていき、わたしはリジーに絶対安静を命じられてしまったので大人しくベッドの中にいます。こっそり抜け出そうにも体が思うように動きませんし、寝台の隣に椅子を持ってきた旦那様が見張りを兼ねてずっとお仕事をしておられるので逃げることもできません。
悲しいですよ、わたしは。ちゃんと仕事をしてください、わたしの体。
「普段の君の一日の過ごし方は?」
「えっと……朝起きて旦那様と朝食、その後お昼まで訓練、昼食後は最近だと書庫に行って勉強をしていることが多いですね。それに加えて陛下と対談だとかお姉様に会いに行ったり……で、湯浴み、夕食、訓練、就寝という感じでしょうか。基本的にはこんな感じですね。ロードの任務がある日はそちらに合わせますが」
「それで、睡眠時間の平均は?」
「四時間くらい……? 意外と訓練に時間を取られることが多いのでそれくらいだと思います。これでも実家にいた時と比べれば休んでいる方ですよ」
旦那様と結婚する前、実家にいた時は忙しすぎて一睡もしていない日も少なくありませんでしたから。
体調を崩している時は別ですけど、そうじゃない時は三日くらい働き続けても平気なんですよね。ロードの任務と領地や伯爵家のことなど、やることが多すぎてわたしの体は忙しさに慣れているんです。
「……もう少し体を休めろ。疲れていなくても休息は取った方が良い」
「それはアルヴィン様にも言えることですよ。夜遅くまで起きているから朝が弱いのです」
「たしかに」
「朝が弱いということはないと思うが。それと、私はリーシャと違って日中でも休憩くらいはしている」
わたしとほとんど変わらないじゃないですか。休憩時間に関しては、体力の違いというものがありますので旦那様と一緒にしないでいただきたいですね。
普通は男性の方が体力があるのでしょうが、わたしの場合はちょっと違いますし。
「どっちもどっちです。アルヴィン様もリーシャ様も、仕事人間なのは分かっていますが、もっと体を労わりませんと体を壊しても知りませんからね」
「仕事人間ではありません! 旦那様と一緒にしないでほしいです」
「そこは大人しく返事をしておけば良いのでは?」
それはすみません。旦那様と一緒にされたくないので咄嗟に反論してしまいました。悪いのは旦那様なので許してほしいです。
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