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第8話 アウター・ダンジョンってなんだ!

 神社の奥にある茂みを抜けると小さなほこらがあった。

 本殿と比べると打ち捨てられた感があるような、若干のボロさがある。


 そのとなりには……。


「なんだ? この、うにゃうにゃしたやつ?」


「表現の仕方独特すぎじゃない? 次元の裂け目だよ」


「次元の裂け目?」


「かつて起きた宇宙規模の『次元の揺れ』のことは知ってるでしょう? ときにそれは次元の裂け目を生じさせ、その奥深くにダンジョンを形成するほどの強力なエネルギーを生み出したの。詳しい原理は謎。だけど……」


「構造も魔物も、お宝もふだん行ってるダンジョンとは《《レベチ》》ってわけ」


「う、うぉおおおお! マジか! そりゃあ、腕がなるなぁ」


「アウター・ダンジョンの存在すら知らなかったのに、ずいぶんな自信ね。ま、不安がられるほうが一番あれだけどねぇ~」


「ふたりとも、油断はしないでね。私もアウター・ダンジョンに入るのは5年ぶりだから」


「5年ぶり?」


「上位ダイバーになるとアウター・ダンジョンの存在や入り方を知ってる人はかなりいるの。それでも中々入口を見つけるのがむずかしいから。1回入ったことがあるからってまた裂け目を見つけられるかっていうのは……」


「っていうことは、めっちゃラッキーなんですよね!」


「そういうこと。さぁ入りましょう」


 姫島は次元の裂け目に入るための特別な術式を展開する。

 これがなければ入ったとしても次元の圧力でバラバラになってしまったり、別の空間に飛ばされて二度と出られなくなったしてしまうのだ。


 3人は注意深く裂け目を通って暗い道を行く。

 光が差し込むとそこに広がる景色にユウジは茫然した。


 星々の下に広がる白の世界。

 遺跡めいた建造物や劇画。彫像はどこか古代エジプトの荘厳さと古代ギリシャの力強さを思わせる。


 最初に目に映る、じゃばじゃばと音を立てる噴水広場。

 水面は真っ赤なバラの花びらで埋め尽くされていた。


 地上の荘厳さ、天空のきらびやかと反するように、その狭間で浮遊する石棺の数々が不気味な空気をかもしだしている異様な空間だ。


「ここが、アウター・ダンジョン?」


「きれいでしょう? まるで最近まで王家の人間が住んでいたみたいな清潔感とそれらしい世界観。遺跡みたいなダンジョンはいくつもあるけどこれほどまでじゃないわ」


「うわ~これだったらめっちゃ映える! 最高記録更新しちゃうかも!」


「よ、よ~し。目指すぜ視聴者数100人!!」


「え、ひっく」


「え?」


「せっかくのアウター・ダンジョンなんだからもっと高望みしてもいいんじゃないかしら? ふふふ」


「そ、そうっすかね! 俺もこれを機に超有名ダイバーになる!!」


「ふふふ、頑張りましょうね。さぁ配信開始まで残り数分。準備、できてる?」

「いつでもいいよ~♪」


「おっしゃあ! ド派手に決めるぜ!!」


 姫島はD・アイを起動するとおなじみの挨拶をし始めた。


「はいどうも~ごきげんよう。ヴィリストン姫島でーす♡ 皆元気してたかしら?」


「みなさーん、ハロハロ、キララだよー! 今日はヴィリストン姫島さんと津川ユウジさんと一緒に、アウター・ダンジョンに挑んじゃいます!」


「おっす! 津川ユウジ、またしてもダンジョンに挑むぜ! 今日は記念すべきコラボ配信! てなわけで今日はレア中のレア、アウター・ダンジョンまでやってきた!! 見てくれ、この……なんかすごいエジプト感!」


「あはは~、旅番組みたいな配信方法だね」


「クイズでもやるのかしらねぇ?」


 ユウジの言葉にふたりは彼に笑みかける。

 コメント欄も「草」などの反応が見られた。


「あははは、なんか恥ずかしい」


「さぁ、そろそろ進みましょう。未知の冒険が待ってるわ」


「そうそう、こんな機会めったにないんだから。行きましょ行きましょー!」


 こうしてアウター・ダンジョン『星雲の古代宮殿』の探索配信が始まった。


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