第49話 キララとの連絡!
『もしもし、ユウジどうしたの?』
「いや、どうっていうか、謝りたくてさ」
『謝るってまさかあのときのこと? なに言ってんの。あれはアンタなんにも悪くない。ショック受けるのは当然だし、ちょっと距離感バグっちゃうことだって、普通にあることだと思うし。別にアタシはユウジのこと責めるつもりなんてないよ!』
「それじゃあ筋が通らない」
『筋って、もう』
「ずっとそうやって俺との距離感大事にしてくれてたんだろ。悪かった」
『そんなのいいって。それに今回の件、姫島さんにも助けられたんだ』
「姫島さんに?」
『姫島さんってさ、これまでにも人が死ぬところもけっこう見てきたらしくてさ、こういう場合の対応とかすごく知ってるの。何度も相談しちゃった。えへへ』
「余計に謝らなくちゃいけねえじゃないか! 俺のせいですっげぇ気ぃ持たせちまってんじゃん!」
『もういいっていいって! アタシが不慣れだったの!』
「わかったっての。あのさ、また皆で集まろうぜ! そのときにまた話したいんだ。今回のことも直接謝りたいし、皆の近況とかも知りたい」
『また皆で? うん、わかった! アタシも仕事パパっと終わらすから、また皆でさ、ごはん食べたりダンジョン潜ったりしよ!』
「おう、わかった!」
『あ、ところでさ』
「なんだ?」
『クロトなんだけどさ。あれから会ってたりする?』
「クロト? いや、出会ってないけどどうかしたか?」
『ううん、なんでもないの。アイツウチらにバレてからさ、余計に距離置いちゃって。学校で声かけてもサッとどっかいなくなるし』
「う~ん、俺のせいかもな。あの話し合いの日最後らへんムスッとしてたし」
『でも気をつけたほうがいいよ。財団とか実働隊がどうとかの話がガチっぽい以上どっかで見てるかも』
「わかった。でも心配すんな。敵ってわけじゃないだろ? 襲い掛かってくるわけないだろうし」
『だといいけどね。……でも変にコソコソされるのもいやだし。よし』
「なにかイイ手でもあるのか?」
『まぁそれはまた集まってからのお楽しみ♪ じゃあ、もう切るね。ユウジも無理しちゃダメだよ』
「おう、またな」
時間にしてほんの数分。
にも関わらず心温まるには濃密だった。
「うし、今日は反省配信だな。皆にドン引きさせちまったし」
雑談配信も少しずつ増やしていった。
そのおかげで新規もかなり増えてきた。
SNSで配信のお知らせをする。
時間までに約5万人ものリスナーが待機していた。
「えー皆さん、こんばんわっす! 津川ユウジです!」
"おー!"
"きたか"
"ビール飲みながらきくわ"
「今回サムネイルでもあるように、ちょっと反省を込めて、ここで配信させていただきます」
熱くなりすぎてその場にいたチームダイバーとリスナーをドン引きさせてしまったことなど、いちダイバーとして冷静さにかける行いをしてしまったこと詫びた。
"気にしなさんなって"
"あんなことがあったばっかりだもん"
"ユウジの強さは皆知ってる"
"ちょっと怖かったけど、腕を上げたなっていうのがわかった"
「ありがとうございます。んで、今回、あのレジェンドって言われる…………」
"マドカ・メリージェンヌお嬢様ですわぁあぁあああああああ!!"
"神回でしたわぁあああああああああああああ!!"
"ユウジチャンネルがバラ色一気にでしたわあああああああああああ!"
「だー! 絶対こういうコメントつくと思った! そうマドカ・メリージェンヌと出会いました! それで…………」
反省配信からお嬢様の話題で大盛り上がりなったのは言うまでもなく、なにより本人がコメント欄に現れたことでさらに大騒ぎになった。
「…………」
その配信を、あの紫吹マナが見ていたことはまた別の話。