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第46話 今度はまともなお茶会だ!

 夕陽をバックにお茶会。

 言うまでもなく優雅で、風流すら感じてしまう。


 血の海をバックに茶会をするよりずっと倫理的で健全だ。


「すごい、全部手作りなんだな」


「下手の横好きでやっているだけなので、よそ様のお口に合いますかどうか」


「いいや、すごくおいしい。なんか久しぶりにホッとする」


「それはよかったです。……申し訳ございません。あのとき、出しゃばるようなマネを」


「いや、いいんだよ! そのおかげで俺は助かったんだ! あの子たちもな」


「……こんなことを言ってはなんでしょうが、ほっとけなくて」


「ほっとけなくって、俺が?」


「えぇ、なんだか焦っているようにみえて」


 図星だ。

 

「ふぅ、強くなりたかったんだ。すぐにでもな」


「……あの一件ですね? エミ・アンジェラの」


「たははは、ダメだな。アイツの言葉を守ろうと、そのために強くなろって思ったけど、見当外れなことしてたみたいだ」


「力が入りすぎていただけですわ」


 マドカとの会話は続く。

 彼女はユウジの一切を否定しなかった。


 本心から彼を包み込むように、適切な言葉を選んでユウジに与える。

 彼女の優しさがユウジの心に穏やかさが戻していった。


「アンタ、いいやつだな」


「はい、わたし、いいやつです。ふふふ」


 たまにおちゃめな笑みを見せる。


「ふぅ、改めて自己紹介させてくれ。俺は津川ユウジ。アンタと同じダイバーだ」


「ではわたしも。……ごきげんよう津川ユウジさん。マドカ・メリージェンヌと申します。以後、お見知りおきを」


「おお! なんか、本当にお嬢様って感じの挨拶だ! やっぱこういうのなんだろうな本物ってのは」


「ふふふ、わたしなどはまだまだ。それに本物というわけではありませんよ」


「え˝、マジで!?」


「かなり勘違いされる方は多いですが。多くは語らないでおきましょう。イメージダウンはいけませんでしょうし」


「ハハハ、そうだな。それにしても、アンタすっごく強いんだな。ほら、さっきの無刀返しとか、あの体術とか。一体なんなんだ?」


「あら、わたしに興味を持ってくださいましたのね。ならあとでチャンネル登録をしていただけると……」


「わかってるって。ちゃんとアーカイブも見るよ。でもその前に、やっぱりアンタの口から直接聞きたい」


「わたしのことですね。えぇ、お話しますよ。……アナタのことですから、わたしの技がどういうものなのか知りたいのでは?」


「おお、わかってくれてたのか」


「ふふふ、だってアナタの目、子供のようでしたので」


「へ? こ、こどもって……」


「先ほども申しましたとおり、あれはわたしが考案した《《平法》》の極意であり理想。しかし未だその理想には届かずなのです」



 ────奥義・無刀返し。

 緑色の覇気をまとわせながら相手にぶつけることで、武器を強制的に弾き飛ばすことができる。


 マドカは武器を持つ腕に直接当てていたが、実際は身体のどの部位に当ててもいい。

 コンマの差はあれど、武器外しができることには変わりはないのだから。


 しかし驚くべきは、触れた部分から腕にかけて大いなる痺れをまとわせることで、満足に攻撃ができないようにするという二段攻撃にもなっているところだ。


 これがマドカ・メリージェンヌの奥義にして代名詞。

 その正体に、ユウジもまた舌を巻いた。

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