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第13話 チャンネル登録者数爆上がり、キター!

 あれから数日の間に、津川ユウジのチャンネル登録者数は一気に爆増。

 夢の10万人達成に室内で歓喜の声を上げる。


「おっほぉおおおおおお!! 嘘みたいにバンバン増えていきやがる! コメント欄もなんか盛り上がってきた」


 コラボの一件から注目を浴び続け、ファンも増えた。

 しかもヴィリストン姫島とキララの大物ふたりと連絡を取り合える仲になれたのは、僥倖ぎょうこうというもの。


「カメラワークとか教えてくれたから前よりずっと映えるようになったな。お、このシーンけっこういいんじゃね?」


 などとウキウキ気分もつかのまだった。

 

「このままいけばもう100万人いっちゃうかもな~いやぁまいっちゃうなぁ。そこまでいったら俺も超人気者に、ハッハッハッハッハッ! いや、でもまてよ。このままでいいのか? もっとこう派手なことしたほうがいいんじゃあねえか?」


 ふとよぎる不安にいくつもの怪しいアイデアが脳内をかけめぐる。

 そんなとき、姫島からメッセージが入った。


『今時間空いてるかな?』


「……"めっちゃ大丈夫です"っと」


 即答して数秒後、電話がかかる。


『夜にごめんなさいねユウジ君。疲れてない?』


「全っ然大丈夫っす! あの、なにが用事でも?」


『用事ってほどじゃないのだけれど、おめでとうって言いたくて。……チャンネル登録者数10万人おめでとう』


「うっす! ありがとうございます! これも全部姫島さんやキララのおかげです!」


『そんなことないわ。これはアナタの実力』


「いや、ああしてコラボに誘ってくれてなかったら、ずっと埋もれたまんまでしたし……」


『でも今は大盛況ね。あ、ちょっと見ない間にまた増えてる。すごいじゃない』


「へへへ、慣れない現象にワタワタしてますよ。あの、姫島さん。ちょっとした相談なんですけど、いいっすか?」


『ええ、どうぞ』


「こうして増えていってくれてるのは嬉しいんですけど、ずっとはそうはいかないだろうし。この場合、今からでもテコ入れしたほうがいいんですかね? たとえばちょっと派手なことをしてみるとか」


『ん~、どんなことをするのかわからないけど、それはちょっとやめたほうがいいかな。リスクが大きすぎるかもしれない。変に盛り上げようとして炎上したり人気が低迷した先輩は多く見てきたから。君にそんな道をたどってほしくないわねぇ』


「あ、そうですか」


『こういうのは地道な作業よ。私も最初は手さぐりだったし。ダイバーの数だけスタイルは違うから自分なりの流れをつかめばいいと思うわ』


「そういうもんすか」


『地道にコツコツ。これ、大事よ。焦らないで。今は配信を続けていくこと。なんだったら今より難易度を少し上げたダンジョンに挑むのもいいかもしれないわ。変に奇をてらうのはダメね』


「なんか、ありがとうございます。おめでとうって言ってもらっただけじゃなくて、こうもアドバイスもらえて、なんか至れり尽くせりって感じで」


『そんなことないわ。アナタには感謝してるんだから』


「俺にっすか?」


『だってアナタ、本当にあのこと言わなかったもの。約束を守ってくれてる。もしもあのとき心ない人が来てたとしたら、私は今の生活を続けられなかったかもしれない。助けに来てくれたのが、アナタでよかった』


「姫島さん。俺はどんなことがあってもあのことは言いません。ずっと約束します。仮にもしも、ほかにあの現場見てた奴がいて姫島さんをゆすってきても大丈夫です。俺に言ってください。俺がそいつをブッ飛ばしてやりますから」


『ふふ、たのもしい限りね。でもそんなことしちゃったら……』


「いや、いいんす。ひとりのダイバーである前に、アナタは俺の推しですから。それにもしもの話です。あの場所には俺と姫島さんしかいませんでしたしね」


『そうね。うん。ありがと。ふふふ、私って君に感謝されっぱなしね』


「感謝したりません!」


『ありがとうね』


「あ、そういえば姫島さんのチャンネル登録者数も増えましたよね。おめでとうございます!」


『これもユウジ君のおかげよ。こないだのコラボで手に入れたあの魔導書がすっごく役に立ってるの。術の幅も増えたから、よかったらまた切り抜きとかアーカイブ見てみてね』


「うっす!」


『ふふふ、元気がいいのはよきことかな。……あ、そうだ。いいこと思いついた。ねえ、テコ入れするかどうか悩んでるのよね』


「はい、まぁ」


『だったら"衣装替え"なんてどう? ユウジ君いつもラフなの着てるから、ちょっとオシャレしてみるの』


「衣装ですか?」


『私もけっこうやるわよ。観てるんだから知ってるでしょ?』


「知ってます」


『即答したわね。じゃあやってみたら?』


「でも俺、ファッションとかコスプレとかそういうのわかんないし。どうしようかなあ」


『これもひとつの研究よ。できるなら手伝ってあげたいけど、今週は予定がいっぱいだからねぇ。それに男性ファッションに関しては私も不勉強なところもあるから……』


「そう、ですか。姫島さんが選んでくれるなら俺は全部大歓迎ですけど……」


 あはは、と乾いた笑みをこぼす姫島はキララを思い出した。


『キララに手伝ってもらえるかどうか聞いてみたら? 連絡先は知ってるでしょ?』


「キララっすか? あぁ、確かに。ちょっとメッセ送ってみます」


『うん、そうしてみて。……夜遅くにごめんなさいね。じゃあ、おやすみなさい』


「はい、おやすみなさい」


 通話を切ったあと、キララにメッセージを送ってみる。

 相談があることと、返事は明日でもいいと付け加えたのだが、速攻で既読がついた。


 しかも即時通話画面へ切り替わる。


「ちょ! 早い早い早い! しかもなんで速攻通話状態!? まぁいいや。……もしもし、キララか?」


 ふたりの会話が始まった。


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