表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お嬢様とパンピ

作者: 前田エマ

両片想いの人達って、端から見ると分かりやすいんですが、本人達はいっぱいいっぱいなところが、好きですね。

 え? 大学のお友達に、どんなティーカップで紅茶を飲むか、聞いただけなのに。


「どんな? ってどういう事? 実家は来客用に2客しかないよ。あんたんちみたいに、紅茶専門店が出来るほど、持ってないよ。」

「我が家にはマグカップしか、無い。」

「そうそう、うちの実家も。ティーバッグを使う。」


 ティーポットは、あまり使わない?


「うちは、ガラスの古いのがあるけど、これもお客さんが来た時限定で、使う。」

「おじいちゃんの家にあるから、行けば使うけど。」

「だから、マグカップにティーバッグだってば。」


「大体茶葉はNBストアまで行かないと。うちの近所のスーパーは置いて無いな〜。」

「それな〜」

「マジそれな〜」


 じゃ、皆はどんなお茶を飲むの?

 緑茶とか、ほうじ茶は?


「スティック。粉末タイプを、溶かして飲む」

「そうそう、カフェオレとかラテも」

「どんなっていうほど、お茶買わないよ。お客様用に、一応あるだけで」


 急須に、湯呑みは?


「うち、無いよ。お祖母ちゃんちはあるけど。」

「うちもー。麦茶をペットボトルで、買う。」


 麦茶は、夏作って、冷蔵庫に入れてくれるけど。

 あ、コーヒーは?


「それも、スティック」

「うち、インスタント」

「うちも、普段はインスタントだなあ。あんたの家は? 」


 パパが、豆買ってきて、毎朝挽いて淹れてる。


「うちの伯父さん、キャンプの時は、豆挽いて淹れてたけど、…普段はインスタントだよ。」

「はあ…。りなちゃんのお家は、凄いねえ。」


 ええと…皆の家は、スプーンにどんな柄が入っているの?


「無地だよ。あんたのうちみたいに、百合とかバラとか、小さな水玉模様とか、入っていないから。」


 そうなの? 小さい頃から、それしか使った事が無いから。


「あんたは、お嬢様だから」


 違うよ。両親が結婚する時に、貰った物だってだけで、普通の家だと思うよ?


「普通の家には、グランドピアノは無い。ワンチャン、アップライト」

「白いコンサートグランドって…ピアニストかよ」

「「それな〜、マジそれな〜」」


 おじいちゃんが生きている時に、買ってくれただけだよ?

 それより、相談があるんだけど。

 鈴木君って、彼女いるかな?


「りなが」

「鈴木君」

「やめときなよ」

「「「お見合いセッティングしてもらった方が、良い! 」」」


 嫌なの。

 このままじゃ、婚約者を無理やり決められちゃう。

 私は、恋愛結婚したいの。


「うーん、考え方にもよるけど、環境が違い過ぎる相手との結婚は、大変だよ? 」

「そうだよ。お見合いも、合コンも、知り合いの紹介っていう意味では一緒だよ? 」

「親御さんに、何人かお知合い紹介してもらって、何回かデートしたら、見つかるんじゃない? 」


 ええ!? ダメ元で、1度で良いから、恋人になって欲しいんだけどな。




 一方、その頃。

 りな達4人組がいる大学食堂の、通路を挟んで反対側に、男子学生4人組がいた。


 はあ、りなちゃん、マジ可愛い。天使。


「お硬そう」

「ヤレなさそう」

「仮に付き合えたとしても、どこ連れてくの? 」


 君ら、何て事言うんだよ!

 良いんだよ。遠くから見つめていられるだけで。

 はあ…、目の保養。


「鈴木は、古郡(ふるごおり)りなと付き合えたとして、将来どうしたいの? 」

「身分違いの恋に、酔ってるんだよ。見るからにお嬢様だよ? 」

「目ぇ、覚ませって。見た目可愛くても、性格最悪かも知れないじゃん? 」


 そんな事無い。

 教室の廊下で、お掃除のおばさんにお礼言ってたの、見たし。

 ご飯の食べ方は、綺麗だし。

 周りの友達も、良い娘だよ。


「あー、青木は確かにサバサバしてて、おもろかった。話したら、良い感じだった。」

「斉藤さんは、ゼミで一緒だけど、課題忘れた事無いし。グループ学習の時、皆の意見聞いてた。反対意見聞いて、目ウルウルしてたけど。」

「田中理央は、生脚がきれい」

「「あのさー」」


 とにかく! 僕は、りなちゃんを遠くから見つめていられるだけで、幸せだから、良いんだよ。


「ヘタレ」

「ムッツリ」

「ストーカー」


 やめて! ストーカーはしていない!


「でも、一歩間違えたらアウトだぞ? 」

「恋愛経験ゼロの変態」

「童貞か! 」


 やめろ! 本当の事を言うな! 泣くぞ!

 でも、もしできるなら。

 1回で良い、会って話をしてみたいな。

お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ