表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の世界とアガーレール! 第一部 ―カナリアイエローの下剋上―  作者: Haika
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/41

後日談② 熱血・神の子、無双します!(後編)

※こちらは番外編です。

 本編 第一部「カナリアイエローの下剋上」完結後の時系列となります。

 ドドドドドドド…!


 「!?」

 なんて余韻に浸れない。

 マニーが即座に、その場からジャンプをし、虹色蝶に紛れて再び姿をくらました!


 ズザザザザザザザ!!


 その地面へ、氷柱(つらら)のように大きな棘が、斜め下方向へと無数に突き刺さった。

 別の刺客が現れたのだ。と、そこへ、


 「おまたせー♪ やっぱこの山にはまだまだ沢山の鉱石が… て、氷スライム?」

 マリアが笑顔でかけつけてきた。

 てゆうか、一体どこへ行ってたんだよ君!? また何か珍しそうな石ころ拾ってきて。


 戻ってみるとその視線の先には、地面に氷柱を飛ばしてきたスライムが2体。

 しかも、彼らはスッチャスッチャと跳ねて移動してくるたびに、触れた地面が凍って(しも)が出来ているのである。


 その間、すぐサリイシュ達の元へと降り立ったマニーが、再び臨戦態勢に入った。

 「北の凍土から流れてきたんだな。この山が落ち着いてきたから、縄張りが広がったのか」

 「なるほどね。ここは私も相手するよ! この石達、預かっといて♪」

 そういって、マリアが臨機応変にサリイシュへと石を渡した。


 そして1人、マリアがスタスタとスライムの元へ走っていくと、

 「どりゃあー!」

 ドーン! バリバリバリ~!

 再び氷柱攻撃をしようとした氷スライム達へ、豪快なジャンピングかかと落としと同時に、大きな落雷をお見舞いした。

 鼓膜が破れそうな程の音を鳴らすそれは、スライム達の体を、真っ二つに勝ち割った。


 「隙あり!」


 続いてマニーが、真っ二つになって感電し、身動きが取れなくなっているスライム達へと、風圧を利用した重撃を食らわせた。

 スライム達はその名に似つかわしくない、パリーンという音と共に、粉々に砕け散った。



 氷スライムも、草スライム同様、木っ端微塵(こっぱみじん)に散らばったのである。



 ストッ

 「二人とも、ケガはないか?」


 マニーが着地し、近くの岩山へと身を伏せていたサリイシュを気にかけた。


 「うん。大丈夫」

 「なんとか」

 先住民2人は無事だ。マリアとマニーは安堵した。が、


 ズルズルズル~

 「「…!!」」


 サリイシュが、その「背後」の異変に気付く。

 なんと、散り散りに倒れたはずのスライムの欠片たちが動き出し、どっかのサイバーネットSF映画の如く、どんどん1箇所へと寄り集まっていくではないか!

 だが、その時。




 「爆炎(バースト)!!!」



 ドカーン!


 僕が急いでこっちへ走ってきて、そいつらに熱い衝撃波をお見舞いした。


 地面に剣を突き刺す要領で、それはまるで隕石を落とすように、降りた場所から小さなクレーターを形成する。

 それだけの熱風と衝撃を与え、スライムの破片たちを一瞬で蒸発させたのであった。




 「はぁ… はぁ… 間に合ったぁ。みんなお待たせ」


 ――ヒーローは遅れてやってくる――。

 僕はそれを何とか体現し、焔をフェードアウトさせたのであった。


 急いで戻ってきたから、ちょっと息が荒くなってるけど、まぁいいだろう。

 我ながら、少しは良い所を見せられたかな?




 「お、おかえり… す、すごい。い、今の、すごく恰好よかったよね!?」

 「え!? うん。あとの2人も、無事で何よりで。お、おかえりなさい!」


 なんて、喜びと緊張、そして感動が交錯するサリイシュの反応。

 それだけ、僕達の戦闘スケールのデカさに驚いたのだろう。

 ここで、マニーがスライム達からドロップされたゼリーや枯草みたいなものを拾い、こう肩をすくめた。


 「…そろそろ帰るか。これだけマモノ素材も多く残ったし、持ち帰って生薬を作るとするよ。敵であれ、彼らの命を無駄にはしない」

 「だね~。珍しい鉱石もまた新たに見つかったし、アゲハもきっと喜ぶだろうなぁ♪ その石たち、預かってくれてありがとね~二人とも!」



 と、マリアもマニーの後をついていくように、サリイシュから受け取った石を持ってウキウキの笑顔だ。

 僕も最後の最後で、彼らにいい所を見せられたし、剣術の手腕が鈍っていない事も分かったので、今日はこれで満足である。


 「いこうか。あっという間に夜だよ」

 そういって、僕はサリイシュに鼻で帰路を誘った。


 「「はい!」」

 サリイシュは潤んだ笑顔で、僕たちとともに山脈を後にしていった。

 ケガもなく、迫力のある戦闘シーンが見られたのだ。いい思い出になったに違いない。



 ――僕も。

 ――私も。


 ――いつか、勇者様たちと同じくらい、戦えるようになりたいな。


 そんな若い男女2人の心の声が、(かす)かに、聞こえてきたような気がした。




【クリスタルの魂を全解放まで、残り 18 個】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ