9 お礼
一話一話が短いですが、許してください
警察沙汰を想像していたがこれも杞憂だったようだ。
どうやら彼女の話によると、助けてもらった恩人だから両親に紹介しておきたいとのこと。
もちろん俺はそんなところに呼ばれるような大層な人間じゃないと断ったんだけど……
俺は今、彼女の家の門の前にいるのだ。
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彼女の両親はとても優しそうな笑顔だった。鷹司さんのお父さんってそう簡単に会えていいはずがないのだが……
「話は娘から聞いたよ。君が助けてくれたんだってね。本当にありがとう。」
「いえ、そんな……頭を上げてください。そんな大層なことはしていませんから。」
「いや、娘が無事でなによりだ。感謝してもしきれないほどだ。」
ここまで人に感謝されるのは初めてだな……
親から感謝など到底されたことのない奏人にとって、これは初めての体験であり、とても嬉しかった。
「ときに奏人くん。なにか困ってることはないか?お礼としてなんでも言ってくれ。」
お金持ちのなんでもって……スケールが大きいな。困ってる事ってなにがあるかな。むぅ……思い浮かばないな。
「そんなにすぐは決められないか。今日は遅いからうちに泊まっていきな。そしてゆっくり決めればいいよ。」
かくして、鷹司 栞の家に泊まることになった。
どうしてこうなったぁぁぁ
奏人の叫びは夜の暗さに溶けて消えていった。
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