63 久しぶりの学校
少しずつ……頑張ってます
月曜日の朝、奏人は自分の部屋──ベッドでニヤつきを隠せないでいた。
そう。奏人が今見ているのは昨日、寝ぼけている栞を撮った動画である。
「かわいい」
そうして栞の知らないところで奏人は癒やされていた。
「鷹司さん、おはようございます」
「おはようございます」
今日も沢山の生徒から声をかけられている栞だったが、一つ考え込んでいることがあった。
「奏人くんが……今まで遅刻も欠席もなかった奏人くんがまだ来てないなんて。もう一時間目が始まっちゃうのに」「連絡したほうがいいのかな?」「体調悪いなら連絡しないほうがいいよね?」というなんとも可愛い脳内会議が行われていた。
その時、教室の扉が静かに開けられた。
教師が入ってきたのかと一瞬身構えていたクラスメイトだったが、入ってきたのが奏人だた分かると安心してまた、騒がしくなった。
奏人と栞は隣の席というわけではないものの、結構近い席である。
入ってきたのが奏人だとわかり、栞は安心と喜びが一気にこみ上げてきて無性に恥ずかしくなったので顔を伏せていた。
奏人が教室に入ると、一瞬教室内がしんとした。おそらく教師が入ってきたと思ったのだろう。
いつもどおり自分の席に向かおうとすると机に伏せている栞の姿が目に入った。
「栞、おはよう。体調悪い?大丈夫?」
そう聞くと、栞は顔を上げた。栞の顔はとても紅潮していた。
「熱なら保健室行く?連れて行くよ?」と聞いたが「大丈夫。おはよう。」といつもどおり返ってきた。
栞の動画を見ていて遅刻したなんて誰にも言えない。
勿論栞も奏人の顔を見て照れて顔が赤くなってしまったなんて誰にも言えないのである。
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