46 正反対
「俺が店員だ。俺の言うことが聞けないなら帰れ。他の店員をだせ?舐めるなよガキ。」
他の店員を呼んでほしいと言ったことで、また激昂してしまったようだった。この状況で店員を止めることができるのは同じ店員。または上の人間である。一応上の人間とは知り合いなのでどうとでもできるが、それはこの場もこれからのその人との付き合いも気まずくなってしまうだろう。
完全に被害を受けているものの、大事にしたくないのに店員は変わらず怒っている。
「そこの店員さんや、その人はさっき店にいたのを見てましたから大丈夫だと思いますよ。」
ちょうど通りすがった心優しいご老人が言ってくれた。中にいた第三者が言ってくれると、証拠になり得る。激昂している店員も思わずご老人の方を見た。
とても落ち着いた声だったので、一瞬黙り込んだものの、
「ジジイの目が狂ってたんだろ。関係ない奴はすっこんでろ。」
と逆ギレした。彼もここまで来ると止まるに止まれないのもあるのだろう。決定的な証拠もないし……と考えていると待っていた人物が来た。
「お客様、どうされましたか?」
さっきのご老人の落ち着いた声とは違い、はっきりと通る声だった。またもや第三者が来たということで店員の怒りは最高潮に達していた。
店員
「他の 奴 は黙ってろ!」
あちゃぁ……彼は最後のチャンスを捨てた。もう取り返しはつかない。
「君、店長に向かってそんなこと言うんだね。お客様にもそんなことして……」
さっきまで激昂していた男の顔はきれいなまでに青ざめていた。騒ぎを聞きつけてやってきていたのは店長だった。ご老人は逆ギレされたにも関わらず、店長を呼んでくれたのだ。
「あ、ああ……いや、これは違うんです……勝手に店内に入ろうとしたから止めただけで……」
焦った店員の男は誰の目にもわかる言い訳を始めた。そもちろんそんな言い訳が通用するはずもない。
「そのお客様ですが、25階のお客様だったはずですよ。でしたよね?」
店長はとても有能だったようだ。案内してくれた店員は別の人だったはずなのにきちんと客の顔まで覚えていたとは。
「はい。25階です。」
店長は少しホッとした表情をして、すぐに謝罪をしてくれた。彼はきちんと店で対応し、今回の食事代金はいらないといった。
しかし、それはことにした。これで代金を払わないと栞と哲也さんには怪しまれてしまう。二人には何も言わずに終わらせるつもりではあるし。
店員の男は店長がでてきたことによって、少しおとなしくなったものの、どうせクビになるのだから。と開き直っていた。まさか本当に客だとは思っていなかったようだが、まだ逆ギレは続いていた。
「客なのはわかったけど、どうせ金かき集めて記念に来た貧乏人だろ。なんで貧乏人に謝らないといけないんだよ。」
彼は人を見た目と偏見で決める人間らしい。今日は哲也さんが払ってくれるとのことっだが、奏人だけで来ることももちろん容易い。それを知らない店員はいつまでも逆ギレをしていたものの、意外な結末で終わることになる。
「っ!?秀樹!?何があったんだ?」
何事かと様子を伺いに来た店内の客のうちの一人が声を上げた。
「あ、親父。今な、────────っていうことがあってよ。こいつらうざいからどうにかしてくんない?」
どうやら男の父親だったようで、彼はスーツ姿だったので、仕事中なのだろうか。みたところなかなか高級なスーツを着ているので、役員なのかもしれない。息子の男はそれを使って脅そうとしているようだ。しかし、
「馬鹿かお前はっ。早く謝れ。誠心誠意謝れ!」
・・・・・・
話が終わると、父親は怒鳴った。自分の息子に。
そして、こう続けた。
「お客様にそんな態度をするやつに接客はできんぞ。これ以上恥を晒す前に帰れ!」
お父さんはいい人




