40 不動産王
雪が……
俺はいつもはほとんど呼ぶことのない知り合いの運転手を呼び、ある男の元へ向かっていた。
今日は祐作さん協力のもと、栞と二人でお出かけである。今から会う男は奏人のツテなのだが、祐作さんは栞に隠し事をすることには何故か協力的なようで、祐作さんのツテということで口裏を合わせてもらっている。
今回ばかりはそこまでしておかないとバレる可能性が高いのだ。なんたって顔見たことのある人も多い有名な人物なのだ。
「奏人くん、あとどのくらいで着きそうですか?」
外はずっと同じような風景のまま、そろそろ10分が過ぎようとしている。俺も最初はずっと変わらない風景に戸惑った。
「一応もう着いてはいるんだけどね。いかんせん庭が広すぎてね……」
そう告げると、予想通り栞は目を丸くして驚いた。
「こ、これが家の敷地ですか!?」
そんな可愛い反応がみれたところで大豪邸が見えてきた。
その豪邸は洋風に作られており、別の国に来ているかと思わせるような異国の雰囲気を漂わせている。聞くところによると第二次世界大戦よりも前に作られたとか。これだけ建物が大きく価値も非常に高いと判断されたため、攻撃してはならないと命令されていたため、こうしてきれいに残っているんだとか。
しかし、その壮大な歴史故に秘密裏に世界遺産に登録されかけたり、実はマニアックな国宝が多く眠っている重要文化財だったりする。
そのため、ここの主人──今から会いにいく人物は隣にもう一つ同じような外見な大豪邸を建てて住んでいる。
建物が見えてから5分ほど経ち、やっと玄関の前までたどり着いた。
今乗っている車は音がとても静かなことで定評のある車なのだが、そんなことはお構いなしに十数人のメイドが出迎えをしていた。流石としか言えないほど統率されていた。
「ようこそお越しくださいました。」
メイド長であるメアリが代表して出迎えてくれた。彼女は純日本人というわけではなく、母親がフランス人だ。
メアリの場合、母親の遺伝子を色濃く受け継いだようで、とてもきれいな金髪をしている。とても静かではあるが、仕事以外のときにはとても感情豊かな高校生である。
そう。高校生なのである。
昔、彼女の家は比較的位の高い地位の家だった。絶対王政などと呼ばれていたほどなので、権威も凄まじかった。
しかし、革命が起きた。
そのため彼女の家はどうすることもできず、職を転々とする家庭となり、それが長い間続いた。
あるときこの家の主がフランスへ出向いたときのこと。従者のうちの一人が現地で恋に落ちてしまった。それが片思いならばよかったものの、お互いすぐに愛し合ってしまった。そのため、引き離すのは可哀想だと思った主はこういった。
「俺が盛大な結婚式を挙げさせてやる。夫婦揃って俺のもとでゆっくり働け。」
と。それに感動した二人は現地で盛大な結婚式を挙げ、主のもとで働くようになった。そして二人から生まれてきたのがメアリである。
彼女は幼い頃からこの家に両親と住んでいたため、一緒に働くこととなったのだ。彼女の両親は高齢になったため、仕事をやめてしまったものの、メアリはそのまま働き続けることを決め、今に至る。
「久しぶりだな、メアリ。」
「ええ、奏人。久しぶり。」
「え?ええ??」
栞は当然そんなことを知らないので、大豪邸のメイド長を呼び捨てにして話しているようにしか見えない。
それに加えてメアリは物静かな雰囲気、大人びた顔立ちから大人と勘違いされることもよくあるため、栞からすると大人に馴れ馴れしく話していると思われている可能性も高い。
しかし、寝顔を撮られた分、仕返しはさせてもらう。
「栞にはまだ紹介してなかったね。彼女はメアリ。同い年にしてメイド長をやっている、俺の大切な人だ。」
そう言うと、メアリは頬を赤らめて俯いた。
修羅場の予感……
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