35 やばい
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「さて、じゃあ奏人くんを呼んできてくれるかな?」
秘書にそう頼み、祐作は少しため息をついた。そうすると同時に部屋の扉が開いた。
「パパ、おはよぉ ふわぁ」
・・
そうやってあくびをしながら部屋に入ってきたのは祐作の一人娘……の扱いである栞である。
普段人に見せている姿とは違い、ふわふわしたレースのついたパジャマと少し乱れた髪をしている。
「髪とか整えておきなさい。もうじき奏人くんがくるからね。」
「ふぁい ふわぁ……眠い」
栞はまだ寝起きなようで頭が回っていない。目も少しずつ閉じては開けてを繰り返して眠たそうにしている。
・・・・
祐作は手を「ぱんっ」と一度叩いて、「来るのは奏人くんだからな?」と念押しして部屋を後にした。
数分後、執務室から叫び声が聞こえたのは言うまでもない。
俺ーー冷泉 奏人は栞の父親である祐作に呼び出された。
彼が呼んでくるというのはとても珍しいことで更に、とても珍しい指定をされた。
「持っている服の中で、一番の正装をしてくること。」それを伝えられたときにはなんのことかと思ったが、一応一番高いスーツを着て、迎えの車に乗る。
家から出たときはなぜか出迎えに来ていた秘書に驚いた顔をされたものの、問題はなかったようだ。
栞の家に着き、客間に通されるかと思っていると、執務室に通された。
「ここに部外者を入れて大丈夫なんですか?祐作さん。」
執務室の椅子には祐作さんが座っていたが、特に仕事をしている様子はなく、まるで俺が来ることをずっと待っていたようだった。なぜか、こっちを一瞥して驚いた顔をしていた。そしてしばらく考え込んだ後、納得したような顔をしてから口を開いた。
「奏人くん。今日は一日開いているかい?」
特に出かける用事も無ければ予定も立てていなかったので肯定する。
「では今日は僕と一緒に来てもらうよ。跡継ぎになるには仕事にも慣れてもらわないとね。」
「仕事?」と頭の中で?が出たきた。何かのパーティーに行くのかなどと考えていたのであまり気乗りしないな。と思っていたのだが一瞬にしてやる気で満ちてきた。
誰もがしっている企業タカツカグループ。下手に目立ってはいけないので接触していなかったのだ。しかしそれが私事なら問題ない。「いつかは見てみたい」と思っていた場所に行けると思っていた奏人はとてもワクワクしていた。
それが奏人にピンチを招くなどと知らずに。
しばらく座って待っていると、扉がノックされた。秘書が迎えに行ってからしばらく経ったのでそろそろだろう。入って来たのは予想通り奏人くんだった。
指定したのは僕なのだが、奏人くんのスーツ姿というのは思っていたよりしっくりくるものだった。スーツの着こなしというのは一見簡単そうに見えるがそうでもない。
いまから会う相手も相手なのでしっかり教えようと思っていたのだが何一つとして言うべきところがなかった。
「そのスーツの着こなしは誰かに教わったのかい?それに水玉のネクタイなんて……まるでビジネスマンみたいだよ。」
と褒めると奏人くんは何故か忘れ物をしたときのような「しまった。」という表情をした。
「はい。だいぶ前に父の着こなしを覚えていたので。」
奏人くんはそんな表情を浮かべていたもののすぐに普段どおりに戻り、冷静に答えた。だからこそ少し意地悪をした。
「そのスーツとか結構高いでしょ?着こなしもだいぶ位の高い人のやり方だね。それも普通は見えない場所のマナーなでできているとは……すごいね。」
奏人くんは狐につままれたような顔をしていた。
「奏人くん?」
そう呼びかけるとやっと気づいて答えた。
「あ、ああ。ネ、ネットで見たので知らなくて。」
「すまない、少し意地悪をしてしまったね。では行こうか。」
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