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砂糖と恋は甘すぎる  作者: あぶさん
第1章  謎の出会いと日常(?)
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3 消えた家族

感想とかブクマ貰えるとモチベup


 俺の家はなんの変哲もない平凡な家な……はずだった。






 いつからだろうか。両親は帰りが遅くなった。しかし、仕事の帰りというわけではなく酒を飲んで酔っ払っていた。俺はまだ小学生だったから親があまりいないのは寂しかった。


 夜遅くまで親を待っていても帰ってくる返事は「ただいま」だけで何もかまってくれなかった。







 ある時俺は小学校の担任の先生に呼び出された。「給食費が収められていない」と。


 親たちはついに育児放棄をしたのだ。祖父と祖母にもらったなけなしのお小遣いでなんとか小学校は卒業した。


 しかし、ついに最悪の事態が起きてしまった。



 忘れもしないあの夏の暑い日、俺の親はいつまで経っても帰って来なかった。家にあった金目のものはすべて持っていかれていた。






 あの日、家に帰ると、いつも通り誰もいなかった。


 彼らはお金を稼ぐことを半ばあきらめ、バーなどで一日中酒を飲んで過ごしている。正直いっていないほうが楽だ。


 家にいられるとまず、酒の匂いが半端じゃなかった。親が家にいない以上、奏人は一人で家事などをこなさなければならない。家事に使うお金だけは最低限くれていたが、金遣いもどんどんとエスカレートしていき、しまいにはその費用すらも出してくれなくなった。


 奏人は自分の時間を削り、新聞配達をしてお金を稼ぎ、少しずつ貯金もしながらやりくりしていた。


 そんな生活は約半年続いた。そのころにはもう、親達は週に一度帰ってくるか来ないかだった。奏人は仕事にも慣れ、普通と比べると随分と酷い環境ながらもいい生活ができるようになってきていた。


 今日は5日ぶりに親たちが帰ってきた。今日も酒臭く、嫌な顔をしたがいつもどおり無視された。今日は何故か「大事な話をするから一時間ほど外にでて散歩でもしておけ。」と言われ、追い出された。


 彼らは自分の家で自分の息子だから何をしてもいいと思っているような人だ。なにか嫌な予感がしたのだが、家の前に立っていると、見つかってしまい、遠くに言ってこいと怒鳴られた。




 30分ほどして、一旦様子を見に家へ帰った。そうすると既に部屋の電気は消えていた。


 もう行ったのかと思い家の中に入ると、酒臭さと同時に汗の蒸れた臭いがした。部屋は荒れていた。あったはずのなけなしの家具はなくなり、この家唯一の食器達もなくなっていた。彼らが盗ったのだ。急いで襖に隠していた現金の貯金を確認する。


 「ない……?」


 彼らは自分の息子の育児を完全に放棄した挙げ句、あらゆる金になるものと、人が稼いだ金。これからの人生のための貯金すらも奪っていったのだ。


 「許せない。許せない……なんで。グスッ……なんで俺だけこんな目に遭わなきゃいけないんだよぉ……」


 奏人は、泣いた。恨んだ。自分を滅茶苦茶にした親を憎もうにも誰にもその想いをぶつけることができず、頼るひともおらず。ただ一人、荒れ果てた部屋で泣いた。










 

 このときである。俺が大人を信用しなくなったのは。


 大人は…ひどく自分勝手な人間だ。そう考えていたとき、俺の意識は深い闇に消えていった。


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