2. 私立中条学園
私立『中条学園』。全国の中高生から絶大な指示を集めている、人気高校ランキング不動の一位である。
自由度が高く、生徒自身の判断を大切にしており、噂によると議会で予算を決めるとか…
入試倍率は20倍を超え、入学には熾烈を極める。その代わり、入ったからには大企業に入る確率は9割を越えると言われている。
当然そこには社長令嬢や財閥の跡取りは勿論、数学オリンピックのメダリストもいるとか……
そんな学校に俺──冷泉 奏人はいるのだった。
「眠い。」
俺から出る言葉はそればかりである。
自由度が高く、恋愛が多いのは事実だが、それも一部に限る。金のあるやつはモテるのだ。金のないやつはモテない。
事実、何処の財閥の跡取りでもなく、目立った功績もない人間は恋愛とはかけ離れた存在。
しかし、最近何故かカップルを見ると、胸が苦しい。
元々恋愛目的で入った訳では無いものの、クラスのカップルをずっと眺めていると彼女が欲しくなるのも無理はないだろう。
この学校は自由。これは良くも悪くも、だ。学校側は生徒の行動にほぼ干渉しない。だからといって好き勝手する生徒は現れない為、結果的には生徒達の協調性や自律性を高めている。
「恋愛は学校に必要ない!」などと生徒を無理やり縛る先生も当然おらず、成績優秀で将来安泰な生徒や金持ちが多く、恋愛は他と比べても圧倒的に多いといえるだろう。
「さて、どうしたものか。」
俺は少し戸惑っていた。自分の中に恋を求める感情があるなんて、と。
生まれてからいろいろあった訳だし、恋愛どころではなかったのはあったが、俺はまだ恋というものを知らない。
親も、友達も必要ない。一人でも大丈夫だと思い、思い込み、過ごしてきた。
が、もしかすると俺は……寂しいのかもしれない。
次は主人公の過去について少し触れようかなと思います。ヒロインの登場はもう少し先になるかもしれませんがお付き合いください。
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