4秘密の逃げ場
「君だれ?」
今の僕よりも高い声でそう問いかけてくる過去の自分
その光景に頭が真っ白になりつつも慌てて自分の身の潔白を示す。
「林美郷…15歳だ。
何故か分からないがここに来てしまったんだけど_」
自分でも馬鹿馬鹿しい事を言っているのは分かる。それなのに子供じゃ__
「みさとっていうんだ!あんたと同じ名前じゃん!」
ポニテの女の子の声にビクッとした7歳の僕はこちらを恐る恐る見ながら尋ねてくる。
「みさと…くん?
僕もはやしみさとっていうんだ。よろしくね」
よろしく、と僕も言葉を返すと嬉しそうに微笑んだ。
「私、にしはらおり。
好きなように呼んでね!!」
おりちゃんが元気よく自己紹介をしてくれる。
「はぁ…
俺はかぐやりひと。あんまり関わらないだろうけど…。」
「私…すみだわかな。よ、よろしくお願いします。」
全部全部、聴いたことのある名前
確かに8年前に一緒に呼び合っていた名前。
今はもう皆それぞれの道を歩きはじめている為、もう当分聴くことはないと思っていた。
不思議な光景が瞳に映っている。
あとの二人は完全に警戒している
無理もないが。
だが、みんな傍から見れば僕は怪しい人
なのにこんなに和気藹々としている。
___子供ってすげぇな。
「ちょっとまって!どうやって来たか分からないのなら
今夜どうするの?」
一人で感心しているとわかなちゃんの急ぐような声が響いた。
確かに、今夜どうしようか…。
「えっ?ここで一緒に寝るんじゃないの?」
えっ
僕含めた他4人が驚きの声を上げた。
避けたいが、他に宛もない。
それより…
「っていうかこの材木で作ったものは…」
ずっと気になっていたことを口に出すと、4人が目の色を変えた。
そして、過去の自分が代表して口を開いた。
「ようこそ、僕達の秘密基地へ。
リーダーはこの僕、林みさとです。」
「ここは鬼から逃げてきた子供が集まる場所。」
「まぁ今はこの4人だけどね!」
「そんなところです。」
秘密…基地……。
そんな物昔作っただろうか。
作った気がするような…しないような…
僕の記憶は曖昧だ。
「さぁ、もうひとりのみさとも現れたことだし、
今夜は宴だぁ!!」
おりの声を合図にしてみんな再び中へ入っていく。
その後ろに続いて入っていく。
鬼…か…。