2 未来からの招待状
嫌になる程に暑い夏
終業式も昨日で終え、林美郷は母に言われて部屋の片付けをしていた。
それなりに綺麗なはずなのだが。
クローゼットの中を一通り掃除し終えた後、今度は机の横に置いてある鍵のかかった引き出し付きの棚に手を付けた。
ここには三年前まで使っていた紺色のランドセルや教科書たちが並べられている。
少しだけ_
と思いつつ、懐かしの教科書達に触れた。
ほのかに来る風の匂いに何だか懐かしい気持ちになりつつも、算数の問題に書いている沢山の赤印が目に入り、こんな所で躓いていたんだなぁと昔の自分をからかった。
しばらくの間パラパラとめくっていると、後ろの方のページに挟まっていたA4サイズのコピー用紙を折ったものが落ちて来た。
少しワクワクしながら開くと、そこには今の僕宛に書かれたよくタイムマシンとかに入れるような内容が記されてあった。
自分で書いた記憶は正直に言うと全く無い。
(誰かが入れたのか_それとも僕が覚えていないだけなのか_)
戸惑いながらも全て読み、書かれている人物名も昔よく遊んだ友達の名前と全く同じだったため、後者の方だと考えた。
ひと通り読み終わり、作業に戻ろうとしたところで一階の母からお昼ごはんの合図が聞こえた。
それに返事を返しつつ一階へ降り、リビングの扉を開けた
はずだった。
「______は?」
長い硬直の末、ようやく喉から溢れるように出た言葉は
僕の声とは思えないほどに裏返っていた。