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夏の風(3)


 店に入ってきたお客さんがようやく落ち着いてきた。

 しばらく忙しさで忘れていたが、一番最初に入ってきた2人の方に目をやった。

 2人とも注文したものを食べ終えて雑談に入っているのがここからでも伺える。


 「よし、それじゃあお客さんも落ち着いてきたし。行ってきていいよ?向こうに」

 「へ?いいの?でも、まだ厨房の方が、、、」

 「いいよいいよ、厨房はお父さんとなんとかするからー」

 「わ、分かった。」


 今回は、そんなお母さんのやさしさに甘えることにした。


 「二人とも楽しんでいるかい?」

 「おお、隼人!終わったのか?」

 「いや、終わったというか休憩みたいな?」

 「なるほどなー。お!そうそう!ちょうど今、晴香が・・・」

 「ストープッ!は、隼人君疲れたでしょう!k、こっれ飲んで!」


 そういいながら慌てた様子で、自分がさっきまで飲んでいたであろうオレンジジュースを渡してきた。


 え、いや。ん?これってつまり、、、

 俺もあたふたしていると、向こうも今の状況に気が付いたのか、顔がまるで旬のサクランボみたいに赤くなっていた。

 

 「あ、あ。いやこれは。お美味しいよねオレンジジュース」

 「う、うん。美味しいよね。俺も、もらってこようかな」

 「そ、それがいいよ、ははは」

 「わかった。もらい行ってくるね。ははは」

 「はあぁ、こいつらは。ほんとに」


 そんな、深い親友のため息を聞きながら厨房に入っていった。はあ、何しているんだか。心なしか手に取ったジュースがいつもより冷たく感じた。


手に取ったジュースを一口で飲み干してから結沢達のところに戻った。しかし、そこには気障野郎の姿はなく、結沢だけが座っていた。

 

 「あれ?あいつは?」

 「あー、諒君なら用事があるって支払いして帰ったよー」

 「そうなんだ、帰るなら一声かけてけばいいのに。」

 「なんか、急いでいたみたい」

 「なるほどね、、、」


 しばしの沈黙が流れる


 「あ、あのさ。隼人君?」

 「ん?どうしたの?」

 

 少し間が開いて、なんだか不安そうにしている結沢が大きく息を吸って


 「今日の夜とか空いてないかな?」

 「え??」


 一瞬聞き間違えかと思ったが、確かにそういっていた。んんん?なんで俺が?結沢に誘われた?

 内心、心臓バクバクだったが悟られないように、どうにか言葉を出すことに成功した


 「あーうん。特に用事はないから空いてるよ。どうしたの?」

 「い、いやーもしね!もしよかったらさ、、、」

 「う、うん」

 

 結沢の緊張が伝わってきた。もちろん俺もかなり緊張しているのだが


 「今日ある、町のお祭り一緒にいかない?」

 「・・・・・・へ?」


 この日一番、思考と体が固まった瞬間だった


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