夏の風(2)
季節が過ぎていくのは早いものだ。
なんて、この前まで季節の変わり目がどうとかいっていたやつが、こう言っているのだから面白い。
こんなことを考えながら、内心ではもう夏休みの半分を使っていることに気が付きかなり焦っていた。
「このままではまずい、、、」
つい先日、ある一人の女の子を好きになったのはいいが、行動に何一つ移せていない。
そんなこっちの気なんて知らずにその子は毎日、クラブの帰りに俺の家が営む食堂に足を運んでいた。
一応毎日手伝いをしているため、来て何を食べていったとかくらいはわかるが、なにせ夏休み前(1か月前)のことで、前々からあの俺と結沢の絡みを見ていた人からは「喧嘩したの?」なんて聞かれたが、お互い喧嘩しているわけではないので否定していた。
時間はお昼時
「いらっしゃいませー」
この時間になると俺はホールとキッチンの両方の手伝いになる。
「お客様何名さま、、、って結沢か。今日はお昼なんだね。」
「う、うん!お昼からスタミナつけようと思ってねーははは」
「なるほどね、まあ。ゆっくりしていってよ」
「うん!ありがとう」
「それじゃあ、いつもの席でいい?」
「うん!」
結沢に案内したのはいつも結沢たちが好んで座っている席。入り口から入って左から二番目の窓際だ
「じゃあ、決まったら言ってー」
「わかったー」
メニューを開き始めたのを確認して、入り口に来た次のお客さんの対応にはいった。
しばらくしてから、結沢のメニューが決まったかと思い見に行ったが、すでにお母さんが対応していたことにちょっとだけ肩を落とした。
「おー相変わらず忙しそうだなー」
聞きなれた声がしたので顔を上げたら、その声の発声主はニヤニヤ笑っていた。
速水 諒基本、学校では二人でいる。これまた気障な奴だがいい一面もあるため
周りからもなかなかの立ち位置である。結沢とは同じバトミントンのクラブに入っている。
「なんだ、諒か来るならそういってくれればよかったのに」
「いや、急に暇になったんでな誘いに来たんだよ」
「ん?急に暇って今日クラブじゃないの?昼からの」
「え?いや、もともと今日はオフの日だぞ」
「え、、、じゃあ、なんで結沢がここに?」
「ん?結沢?」
二人して結沢の方を見た。当の本人は美味しそうに特性焼きそばに夢中だった。そんな結沢を見た諒
が、新しいおもちゃを手に入れた子供のような表情をして
「俺もあの席で!じゃあ、後で注文するは!」
そういって、全力でかけていった。着いて結沢の肩をトントン叩いていた、それに反応して振り向いた結沢が青ざめていたのがこの位置からでもわかった。話を聞きに行きたがったが、前には案内待ちのお客さんが列をなしていたため諦めて案内の回った。




