友&愛~『俺とお前』~第13話
「あ~!やっと終わった、もう天国気分!」と地獄の勉強会が終わり、店員達は皆、それぞれが安堵感と歓声を上げながら帰宅の途に着く。私、のがみにしても「何とも異様過ぎて屁が出らぁ!」っと言ったかどうかは定かでない(←「絶対言ってます!」)にしろ、小田ちゃんの不安の原因も分かったことだし、もう安心!心置きなく美味しいうどんが堪能できるぞ!ということで、いつもの店に猛ダッシュ!さて今日のトッピングは、イカようにタコするか悩んじゃう、能天気作者が昔の原稿引っ張り出して投稿する、巧妙かつイヤらしい手抜きマン的手法で…!くどいようですが、舞台は、1995~1998年頃の話です!え~と今回の話は、え~と…え~と!アレ?無いぞ、無い!原稿どこ行った?そんな所、隠れてないで出ておいで!…ってペットじゃないんだから…ホント物の管理が悪過ぎ!昔から、こんな感じだから、また似たようなヘマやらかしてんじゃないの?って…ウ~ン、鋭い!図星です、ハイ!
第13話『一触即発?そして美少女の素顔を知る!』の巻
4ヶ月目に入り、小田ちゃんとも前半、後半とも一緒に店番する機会が多くなった師走初めのこと、突如として事件は起きた。俺はいつも通りレジに立って彼女と親しげに世間話をし、客が居ないことを良いことに二人してレジの中でケラケラ笑ってると、それを見た課長の杉田が怖そうな形相でつかつかとレジまで歩み寄って来た。
「あのねぇ!仕事しているんだからさぁ…もっと真剣味を持ってやってくれないと困るんだよねえ?君ねぇ、腕組みしてないで…サッサと体動かしたらどう?“割引カード”のスタンプ押したり、“会員カード”申し込み用紙の準備とか、他にもやる事いっぱい有るでしょうが?」
「あ~ハイハイ!どうも、すんませ~ん!」
俺も小田ちゃんも叱られた弾みと言うか、反動でシュンと小さくなり、2人とも無言のまま、言われて通りの作業をレジ打ちと同時並行で取り掛かろうとするや否や、またも課長の杉田は、怖い眼つきで、こう怒鳴って来た!
「何、その謝り方?やる気が無いんだったら、とっとと辞職て貰ってイイんだよ!一体何しに来てんの?」
俺は、この時無性に腹が立った。なぜって課長の目は、明らかに俺だけを睨み、俺ひとりに向けて怒鳴っていたのが分かったから…。それと、もうひとつ!副社長の口癖を真似てんのか、どうか知らないけど…事あるごとに「辞めろ!」コールを繰り返す、この会社の体質に相当嫌気が差した俺は、込み上げる怒りをとうと我慢出来ず、わなわなと震え出し、もう居ても経っても居られない状態に達していた。
杉田は、そう言うと透かさず、そのまま店内奥の休憩室に戻り、俺は、俺で用も無く、課長の後を追うよう同じ感じで、そこへ入り、洗面所で手を洗う振りして、向こうが再びこの俺に文句を言うのを待っていた。すると課長は、案の定、俺の思惑通り俺を見るなりさっきの説教の続きを始めた。
『シメタ!上手く行ったぞ!』
「この間といい、今日といい、僕は以前から君のそういう態度が気に入らない!全然素直じゃないって言うか、僕に対してかなり反抗的だし、第一口の利き方がなって無いんだよ!」って面と向かって言いたい放題、こうなりゃ、こっちだって黙ってやるもんかってことで…口喧嘩選手権予選ラウンド、開始!
「あっ、そーですか?それは、それは、ご丁寧に…イヤミたっぷりおっしゃって頂いて…!まぁ、貴方が私のことをどう思うと全く構わないんですけど、『辞職て貰ってイイ!』だなんてお宅にイチイチ言われる筋合いは無いんですよ!最初っから…!」
と応酬すれば奴さんは、顔を真っ赤にして猛反論!
「でもねぇ、仮にも僕は、君の上司であって…そこら辺の友達じゃ…!」ってネチネチ!
こうなりゃ単なる子供の痴話喧嘩そのものでして…治まるにも治まる気配は見当たらず、一方的に言われるまま…睨み返すのが関の山の俺!課長もあれでいて一応は、課長だから弁が立つというか、屁理屈理論を引っ提げて俺の事を「客応対が悪い!」だの「接客が下手だ!」散々口汚く罵りやがる始末。元々喋るのが苦手と言うか、下手な俺は、これ以上、課長と幾ら言い争いしても埒が明かないと悟るや否や、課長に謝ることなく、ただ一言…
「まだ仕事の途中なんで売り場へ戻ります!」とだけ言ってそのまま一方的に休憩室を退出することに…。全く後味の悪い喧嘩だったけど、その後、課長と口を利くことは一切無かった。
その日の夕方、早番を終えて退社する際、化粧品販売の森さんに今日の出来事を事細かく陳情して分かった話だが、この俺より3,4歳年上の杉下って課長は、実を言うと前々から有ろうことにか、あの小田ちゃんにご執心!そう、早い話が“ぞっこんLOVE”ってことらしいんだと…。課長自身、彼女には列記とした大学生の彼氏が居るのを知ってか知らずか、“身の程知らずは、一体どっちなんだよ?”ってツッコミたくなるような話でして…呆れること、この上なし。以前の森さんが言っていた「彼氏が居ようが、居まいがそんなの関係無いじゃない!奪っちゃえ、奪っちゃえ!」の一言がフラッシュバックして殊の外、空しくなった俺!その感覚が、未だ理解できないがゆえに…解決策は見いだせず!
「通りで彼女を叱らない筈だよなぁ!それよりも何よりも仕事に私情を挟める〇ソ野郎が堂々と大手を振って昇任できる社会の仕組みって一体…?これも❝世の常で何処の世界にも有る話だ!❞って割り切れば、少しは気持ちも楽になるんだろうけど…だ、ダメだぁ!到底俺には理解不能、ついて行けねぇや!「また例のうどん屋で一杯引っかけて考えるとでもするか?」ということでお酒は飲みませんが、サイダーで乾杯して今日1日を労う子供、子供の私でした。因みに食べることのみに熱中してそんな事など、一切どこ吹く風?ってな感じで忘れ、漫画雑誌を読み耽るもこれだけは、絶対忘れはしなかった。そう、その一言とは、ズバリ…これだ!
「大将!替え玉御代わり!トッピングは、ネギと揚げ玉、とろろ多めにヨロシクゥ!」
次の日たまたま偶然、“遅番”ってことで小田ちゃんと閉店まで働くこととなった、その日の夜、俺は休憩室で我が目を疑った。「見てはイケないものを見てしまった!」って言うと余りにも大袈裟過ぎて笑っちゃうんだけど…あのカワイイ彼女が何と其処で1人黙々とタバコを吸ってるじゃありませんか?って話!ま、二十歳を越えた(当時21歳だったかな?確か!)大人のすることにイチイチ異を唱えること自体、バカげているというか、そんな権利は、絶対無い。また全く赤の他人から文句を言われる筋合いすら無いし、別段法を犯している訳でも無いから、それがどうした?って話だ!今の時代そんなことに立腹して偏見、差別に満ちた考えを発言しようものなら、当然の如く世間から大バッシング?SNSなら大炎上って非難されるんだろうけど、当時の自分としては、ほんのちょっとだけショッキングな出来事であったことには変わりはない。…っていうのも何て言うか、俺自身彼女に対してある種、自分だけの固定観念?と言えば聞こえはいいが、やはり何処となく偏見を持っていたからだ。その偏見というのは…
~他人には他人に合ったイメージが有って、あの愛くるしい、笑顔の似合う彼女がカワイイ顔して煙草を吸うなんて…?~こと!
これはやはり自分自身、❝二世代前の生まれ❞という古い感覚がそう言わせるのではないかと…。イヤイヤ、これって明らかに自己弁護、自分勝手な言い草なんだけど、あの時代ホント❝男尊女卑❞から始まって女性のすること、成すこと全てにケチつけていたから堪んないと思う。❝今現在放送中の某国営放送の朝ドラ然り、何かにつけて「女性はダメ!」だとか「はしたない!礼儀作法がなって無い!」って一方的に決めつけ、罵倒と言うか、罵詈雑言の雨霰を浴びせて好い気になっていた男達の何とも不甲斐ない、自己チュー野郎の多いことか?❞って!これまた同放送局の女子アナさんに叩かれそう?その上、止めの一発、決め台詞と言えば「ボーっとケチつけてんじゃねーよ!」ってね!大好きな番組で今も毎週欠かさず観ているんですけど…。ハハハ!幼稚この上ない、❝〇コちゃん❞大ファンの私です。
おっと話を元に戻して人昔前の説教オヤジじゃあるまいし、面と向かって「若い女の子が煙草を吸うなんてみっともない!健康を害するから今すぐお止めなさい!」って注意する勇気も無ければ、取り上げることなんて無理、無理、無理!って悟った俺は、なるべく彼女のこと、じ―っと見ないよう、無関心装って平然と休憩室の椅子に座った。…とは言え、目線こそ合わせはしなかったが、片手に煙草を持ち、煙を吹かす彼女の仕草は、妙に悦に入ってて説得力があると言うか、凄く色っぽく、びっくりするくらい絵になっていた。変な言い方をすれば、いつの間にこんな大人に…って身内や親じゃないんだから…?と苦笑い。でも確かにそう見えたのは、俺の単なる錯覚に過ぎないにしろ、目は虚ろ、それでいて何処か、ちょっと寂し気な表情を見せる彼女は、まるで別人のように見える。その迫力に圧倒されてか、俺は終始ソワソワと落ち着かず、挙動不審状態。すると彼女の方から重い口を開くよう、ポツリポツリと何かを語り始めたではないか。ここから先は、尾崎〇さんの『ダンスホール』をBGMに読むとより一層、効果効能(?)が上がるかも知れません?よく分かりませんが…?
「私ね、今の彼と以前何回か喧嘩別れしたことが有って…それで煙草を覚えたの。何か、とにかく寂しくて仕方ないって言うか、遣り切れなかったのよね。それでその寂しさや悲しみを紛らすために何かが欲しくて…気が付いたら止めるに止められなくなって…。」
「彼氏君は、そのこと、知っているの?」って俺が訊けば、彼女は慌てたように早口で…
「とんでもない!もしこの煙草がバレでもしたら、また破局になっちゃう!」
「ご両親も当然…?」って全く余計なお世話とは知りつつ、興味本位で訊けば…
「えぇ、勿論そう。知らない筈…。だってウチの両親って、そういうことに凄く厳しくてもし私が両親に隠れてこんなことしてるって分かったら、きっと家を追い出されるに決まってるもん!だからお願い!絶対内緒にしてね!」って懇願されるもんだから俺は、慌てふためいて、しどろもどろと言うか、やっぱり早口で冷や汗?何やってんだろ、この俺は?
「言うも何も俺、小田さんのご両親も知らなければ、ご自宅の電話番号だって知るわけないし…彼氏さんにしたって、どんな感じの男性だったか、イチイチ覚えてないしさ。」
「あっ、そっか!そうよね、私ったら何言ってるんだか、意味不明!不思議ちゃんキャラ全開!アハハ!」
外観は、大人に見えても中身はまだまだ子供っぽい…そんな彼女がまた一服吸ってフ~と煙を吐いた後、途轍もなく寂しそうに、こう話を締めくった。
「実は、私の彼ね…大学卒業したら、アメリカに留学するの!」って…。
“今時の若い奴らと来たら…”言い方、大昔から(ま、子供の頃からだけど…)大嫌いで使いたくはないセリフだけど、若い女性の間でもし喫煙が流行っているとすれば、こう言った側面も強ち、無視できないなと俺は思った。ただ前回の話の続きになるけど、彼女の喫煙の自己分析の中に『勉強会』なる大ストレスが潜んでいる自体、❝自明の理❞で、ただ暗い表情だけで済まされず、恋人に愚痴を聞いて貰えば、何某かの救い或いは助けとなって、ここまで追い詰められることも無かったのではないだろうか?俺みたいな単純、鈍感が服着て歩いているのとは違って繊細な女性の心理を理解するには、後何百年掛かる事やら?所詮どう努力した所で土台、無理な話で100%、分かってやれないと思う!「1つ勉強になりました!」と反省しきり!この手のプロなら多分、こう分析し説明した上で本を一冊ぐらい出版するんじゃないのかねぇ?もち買いませんけど…!
「寂しくてやりきれない…それは人生に夢破れて深酒に溺れる男とて同じこと、皆一様に何かに縋りたい、何かに救いを求めたい。だからこそ、その欲求を満たす何かに興味・関心を抱き、また何とかして少しでも心の隙間を埋めようと努力する。それが或る者にとっては音楽や芸術そしてスポーツであり、また或る者にとっては酒や煙草と言った嗜好品に安らぎを感じる者も居るだろう。但し、ここで注意しなければならないのは、明らかに後者の方であり、一刻でも早く難を逃れたい一心から過剰摂取に走る過食症、体調を崩したり、或いは中毒症状化して○○依存症等を引き起こす結果となることも否めず、逆効果で後悔以外何も得られない。そして更に頼る心の拠り所が社会的に許される範囲に有るか、否かにも因る。大麻やコカインなどの所謂“クスリ”と呼ばれる覚せい剤を含む反社会的産物は言うに及ばず、宗教でも度を超せば、精神浄化作用を飛び越え、ある種❝洗脳❞と化し、これまた犯罪を引き起こす温床にもならないとも限らない。ありとあらゆる本来の自分とは懸け離れた精神的病が今後の人生に悪影響を及ぼす事例は数知れず、悪いとは分かってはいても、ついつい手を出してしまい、半中毒化して後は只管、破滅の一途を辿るだけという現実。❝悪いのは、自分じゃない。自分を追いやった全ての環境、運命、出会いと失恋がそうさせたのだ!❞と自己弁護に走ることで一時的な満足を得、日々自己を正当化し、他者が絶対悪いと言う、一方的な責任転嫁へと矛先を向ける。」
…とまぁ、読んでるだけでも頭が痛くなるような説教説話の類、「似非教祖様モドキですか?」って冗談じゃない、誰がそんな本、出版するかいな!そんな暇が有ったらだね、美味しいものたくさん食べて、思いっきり笑い、なるようになるさって開き直ることの方が大事じゃないの?
…って事で❝現実逃避❞決めて更なる、うどん屋の名店探しに奔走する俺!よくある事です!日常茶飯事って言うんだっけ?茶飯って❝お茶漬け❞のこと?それともチャーハンかいな?旨いの、それって?食い物しかイメージ無いっス!
一方2,3本吸い終わって気分的に落ち着いたのか、彼女の顔は、いつもの、あどけない、笑顔が素敵な小田ちゃんに戻ってて、俺は、ほっと一安心した。閉店後、俺たちは厳重に店の戸締りをすると店内駐車場にてお互い軽く手を振って挨拶、爽やかな感じで店を後にすることに。月明かりの静けさと星の輝きそして別れ際に見せてくれた美少女の清々しい笑顔が眩しいくらいマッチしてて、素晴らしい、ひと夜の出来事でした。終わり……じゃなかった。まだ後少し続きがアリストレス!(←「無視して下さい!」)
正に青春、真っ只中とも言うべきロマン溢れる展開で、さらりと締めたい、終わりたい!筈の俺は、車に乗り込むも…ドアが開かない…開かない?何で、どうして、どゆこと?why?最後の最後でまたもトラブル発生か?し、しまった!車のキーを休憩室のロッカーに忘れ来ちゃった!Oh,no!また店の防犯警備を解除しないと…かぁ―っ!面倒臭ぇ~!暗証番号は…ええと…何番だ?4桁(5963)?小田ちゃんに貰ったメモが有った筈?無い、無い、無い!…やっとの思いで見つけるもあれから1時間経過!冷や汗掻いて超凹み、自己嫌悪するボクなのでした!ドジなオッサン!嫌になるぅ~!
(つづく)
さて今日2024年4月28日(日)は、GW前半の3連休初日、皆様方はどうのようにお過ごしになられたのでしょうか?私、のがみは、金欠も影響してか、金の掛からないアウトドアライフを楽しもうとサイクリングへ出かけました!涼風浴びて景色を堪能、目の保養も兼ねて行けるとこ迄、足を延ばしてみました。もち弁当も持参して…ヘッヘッヘ!今朝方、TVで羽田やら、成田の出国ラッシュの映像を見ましたけど、羨ましいの一言!どこにそんな大金が転がっているの?…って横目で…情けない!ま、でもある意味、コロナ等の呪縛から解放されて本当に良かったなぁ!と思います。地震で被災された方々にも一刻でも早く安らぎが訪れることを切に願って…!どうか負けないで下さい!




