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『友&愛~俺とお前~』  作者: のがみつかさ
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友&愛~『俺とお前』~第12話

 ❝本音と建前❞じゃ全然違う、主人公の私!写真を見る迄、まるで無関心装うも美人ちゃんのそれ見て態度を180度転換!よくある話(?)です!そう言えば関西人って呼ばれる方々が食べ物試食の際「なんや、これ?めっちゃマズイやんけ!」と悪たれるも高級な値段を知った途端、手の平を返し「めっちゃ旨いがな!」って下りに似てません?え?似てない、似てない!こりゃどうも失礼しました!でも何度見ても笑える、大好きな場面(やりとり)です!さてそんな私が勉強会初参戦とは…一体どうなることやら?「真面目に取り組みましょうね!チャチャ入れちゃダメっちゃ!」(←「ラムちゃん風、早口言葉?」)

        第12話『❝勉強会❞という名の異常な世界』の巻


 早いもので早出してから、もう優に1時間が経ち、店内1階の通用門に集合した俺達新人C級レベルの面々は、先輩社員の指示に従い、売り場から一斉に階段を下り地下の一番暗い部屋へと案内された。因みにこのC級レベルのメンバーと言うのは、ABC3段階中の最も最下位レベルに位置し、各々が入社3ケ月から1年ちょっとが殆どで各店舗ごと男女合わせて総勢2,30人は居て、B級がキャリア2,3年目でA級となるとキャリア4.5年で店長、課長クラスに当り、到底自分なんかが関われる部類ではない。それから“勉強会”初参加の俺とは対照的にもう1人、今回実に9回目の参加になるのが何を隠そう、勉強会会場でこの俺が勤務しているお店❝羽生(はにゅう)店❞所属の紅一点、アイドル的存在の小田愛子ちゃんなのだ。因みに彼女とは今朝方、出勤の際に店の出入り口ですれ違い、こちらから笑顔で挨拶したにも拘わらず、見事に無反応!かなりムッとしてしまった。「オッハヨー!」→「…」てな具合で…虫、64、ハッパ…!下らないので先、進めます!


『ヤレヤレ!また例のプッツン現象が始まったかぁ?体調不良か将又(はたまた)彼氏君と喧嘩でもしたのか皆目見当が付かないが、挨拶ぐらい返してくれたっていいんじゃないの!全く我ら(って言っても私1人ですが!)が、お天気お嬢さんには、ほとほと参ったもんだよ!ちぇっ!』


 

 …ってボヤキながら俺を始め、勉強会参加の面々は、続々と用意された椅子に腰掛けていく。…で当の俺は初めての参加に物珍しさも加担してか、ちょうどテーブルの中央付近から不謹慎にもカワイ子ちゃんを探そうと当り一面見渡すが、容姿端麗なお目当ては居るにはいたが、誰一人として笑顔が無い。笑うどころか、皆眉間に皺を寄せ、さも大事件が起きたかの様、悲惨な表情をしている。またその一方で同じく会に出席している男性陣にしたってそう。真剣な眼差しでキョロキョロする輩は1人も居らず、腕組みして天井を仰ぐ者も居れば、仙人みたく悟りでも開かんとしたいのか、黙想して終始無言のまま。そんな中一人だけ陽気な感じで茶髪の女の子が隣席の同僚相手に女同士、途切れることなく❝キャッキャ!キャッキャ!❞と小声で何やら楽しそうに燥いでいたのが唯一救われた思いがした。ただその女の子が何処の店舗の誰なのかは、当然知る由も無く、何でそんなに明るく振舞えたのかも皆目見当がつかない。当たり前だ。今日初めて出席した訳だから…知ってる方が逆に変だし、プチ犯罪だろ?ヤバイ!


 すると突然、地下会議室の扉が開き、2名の男女が入室するや否や、さっきの彼女もご多分に漏れず、ピタリと私語を止め、他の社員同様、真顔になって、やや俯き加減に正面を向き直して姿勢を正す有様。この時の会場の様子と言ったら、もう最悪で、正に❝お通夜❞か、将又(はたまた)❝お葬式に参列した弔問客その者然❞とし、異様な雰囲気に包まれて会議は始まった。


「それでは、皆さん、姿勢を正して!これからCクラスの月例勉強会を始めます。まず初めに前回に引き続き今回も『漢方薬の効能と風邪の予防策』についてお話をしますから、各自しっかりとノートに記録して覚えて下さい。それでは、“漢方薬”について…。」


 最初に口火を切ったというか話始めた、この人物は、本社勤務で営業推進部所属部長の❝種光(たねみつ)❞という男で、同時並行して、この会議の司会も担っていた。…でこの種光部長、口調こそ割と穏やかで一見優しそうに見るが、会議中は至ってクールで無口、一切笑顔は無く訥々と事務的に説明を繰り返すだけ。またその一方で彼はいろいろと話をする傍ら、黒板を使って図を描き、分かり易い説明に終始する有様。…で彼の話が延々と続き、愈々説明の佳境に入ろうとしていた、正にその瞬間、突然天を(つんざ)くような甲高い声が響き、彼の言葉を制止した。


「ちょっと種光―ッ!いつまでのんべんだらりと説明してんのヨ!また前回の繰り返しやるワケ?時間の無駄から要点だけ喋って後はさっさとまとめればいいじゃない?大事なことは如何に上手く薬の説明が出来るようになるかって事じゃなくて、どれだけ熱心にお客様の購買意欲を唆れるかがポイントなのヨ!アンタがどれだけ上手に説明した所で、所詮この社員()達は、全部覚えられないんだから…!そんなことも分かんないの、全く…?頭を使いなさいよ、頭を…!」


『うへぇ~!驚いた。いきなり2人して部屋に入って来て椅子に座ったかと思いきゃ、まるで機関銃ぶっ放したよう大声で捲し立て、自信たっぷりに持論を展開する、この中年女性こそ誰であろう?“天下の副将軍水戸の…”と冗談を言いたくなるくらい社員たちの間じゃ有名な存在らしい。そう!更に勿体ぶって言わせて頂けば、薄茶色のグラサンを掛け、見るからにVシネマの俳優さんも顔負けのド迫力で毎回毎回若手社員らの心を“別な意味”で鷲掴み(?)しているかどうかは定かでは無いとしても俺から言わせれてみれば、正に恐喝まがい(←「あくまでも個人の見解です!」)の女帝、○暴夫人の…?ってちょっと言い過ぎですかな?驚く勿れ!前々回休憩室でこの俺様に(←「すいません!偉そうな言い方して!」)超下らない講釈まがいの説教を垂れた社長の奥さんで副社長様の“花輪テル子”氏本人でござい!


「ええい!静まれぇい!この極道(おかた)をどなたと心得る?(←「知ってますが…!」)恐れ多くも天下の副社長って…長いので省略!極道(ごくどう)の御前である!者ども()が高い!控え、控えおろう!」…って、もうイイですかね?すみません!どうしても誇張せざるを得ない難敵野郎だったので…恨み、(つら)みも十分ブレンドして…とか言っちゃって…!“根に持っちゃいけません!”って私自身頭ん中では十分、分かってはいるんですが、どーしても…?ええ!どーしてもですね!筆が走っちゃうって言うのかなぁ!心の奥底から「書け!書くんだ、ジョー!」って叫びが湧いて来るんですよ!今の若い人たちには、古過ぎる、正に化石とも言うべきボクシングアニメのそれです!ハハハ!よって今風に言えば、これまた過去の映画で恐縮ですが、❝世界の中心で❞…じゃないけど❝狭い心の中心で悪口を叫ぶ!❞って感じでですかね?』(←「What?どゆこと?」) 


 話が横道に逸れてすみません!本題に戻して、このご年配副社長は(←「パンチパーマじゃない分まだマシかな?関西系の…!」)司会進行役の種光部長が何か喋る度に威圧的とも取れる野次を飛ばし、挙句の果てには、司会者の了解も得ず?というか、有無を言わせず半ば強引に司会の座を奪い取る始末。…だもんだから気が付いてみると彼の立場はどこへやら?周囲の視線は一斉に彼女一人に集中し、会場は既に副社長の独断場と化する事態に急展開!(←「毎回らしいです!あとで同僚に訊いたら…ハイ!」)要するにやたらと会議を仕切りたがる、この❝ご意見番ボス猿顔面凶器野郎❞ってお方は、見るからにガラの悪いサングラスがお似合いのレディース総長?…てのもかなり無理があり過ぎるので、この○暴婦人さん?ストレートにただ喋るだけならまだしも演説(?)の途中途中で思い出したように1人1人名指しして説明内容を繰り返させたり、前回の勉強会で学習した内容を再びクイズ形式で問い正すもんだから会議中の私語は勿論のこと、迂闊にとか、ついうっかり居眠りでもしようものなら、(たちま)ち個人攻撃のターゲットに晒され、忽ち質問攻めに合い人前で恥を掻かされる始末に陥ってしまう。そして最終的止めの言葉と言ったら言わずもがな、お決まりの…


「ヤル気が無いのならさっさと辞めちゃいなさいっ!」と冷たく一喝。当の男の子でさえビビり捲り、殊更女の子に至っては、思わず泣きだしてしまい、「ハイ、サヨウナラ!」ってケースも日常茶飯事だとか。❝鬼の副社長、正に恐るべし!❞ってとこでしょうか?


 そしてまた❝イヤらしいことに❞この二人、上座に副社長そして下座に部長と言う席順で正に両端から出席者全員を挟み撃ちしするもんだから逃げる(?)に逃げられない状況に追い込む形の徹底ぶり。従って会議室は、当然の如く全員が窒息寸前の仮死(?)状態でR。(←「変換ミスではありません!少しでも場を和ませようと…?無駄な努力でしたね、失礼!」)そいで以てそれを午前10時から昼食後の1時間を除いて夕方の6時まで丸々8時間延々とやるもんだから誰一人とし生きた心地がしないのも当然と言えば当然、無理も無い話だ。


 …でトドのつまり、最終的夕方6時に会議が終了する頃には、ど―っと気疲れが押し寄せて来て今までの鬱憤を晴らすかの如く出席者は全員大声でワイワイガヤガヤと世間話を始める。そう!この日の嵐は漸く治まり、人々に平和が大手を振って訪れた形だと言えるだろう、大袈裟に言えば…。


 一方、俺は俺で生まれて初めて見た異様な光景に辟易して1分1秒此処に居たくない心境から、いの一番に店を退勤(とびだ)し、1人名物のうどん屋へ直行することに…!俺って案外打たれ強いのか、それとも単細胞の成せる業か、今日一日の出来事に悩むことは一切無く、あっけらかんとして美味しそうに大好物に舌鼓を打ってご満悦状態。正に至福の時を迎えつつ漫画読んで大笑い。だってサ!この俺にとって「深く考えろ!」って話自体、土台無理なことで俺としては、毎回行きつけの美味しいうどんが食べらればそれで良い訳で取り分け深い意味など何も無い。それにしても毎日食べても飽きないくらい、旨かったなぁ!最高!幸せ!


 翌朝、俺が早出するとちょっと遅れてあの小田愛子ちゃんが元気良く出勤し、若さ弾きれぬばかりの笑顔でこの俺にこう挨拶して来た。


「のがみさん、オッハヨーございマ-ス!昨日はお互い、本当にお疲れ様でしたぁ!小田愛子、今日も1日笑顔で頑張りマ―ス!えへ♡」ってな感じで…。俺は思わず嬉しくなって『女の子の笑顔って本当に良いもんだなぁ!小田ちゃんのそれは特別かも知んないけど…あんなニコニコとカワイイ笑顔で話しかけられたら彼氏と言えど、男ならイチコロだろうな、きっと!誰一人として不快な気持ちになる奴なんて居やしないと思うよ。ウ~ン!悔しいけど彼氏君が実に羨ましい。君は世界一の幸せ者だ―っ!ニクイぞ、ニクイ!コンチクショウ!』って…茶化してるけど、反面何か切ない気もするなぁ!因って今日もまた、例のうどん食べて帰るとするか!特別一番値段の高いヤツ注文して明日に備えて英気でもを養う!っと…?噓です!ただ言ってみただけの話!


 俺はこの日店内で子供みたく楽しそうに燥ぎ回る小田ちゃんを見て❝なぜ彼女が月に一度不機嫌になるのか❞その理由を今ここで自分なり解釈出来たような気がした。           

                                (つづく)



 何か本当にやたらと蒸し暑くなって来て…もう明らかに夏なんですかね?ええ!おっしゃる通り、初夏ですって、絶対!「初夏、しょうか!」って下らない洒落言いたくなるくらい、暑い!…ですから皆さん、くれぐれも食中毒に気を付けて下さいね!賞味期限、消費期限をよ~く確認して何か変なニオイやら酸っぱさ、妙味等を感じたら迷わず捨てましょう!『勿体ない!』では済まされないくらい怖いですからね!o-157にカンピロバクター、白カビ、糸引く滑り気(納豆みたいな)等!以上「事件は会議室で起こってるんじゃないんだ!野菜室なんだよ!」ってドラマが大好きな、のがみつかさでした!愈々明日から4月も下旬、頑張っていきましょう!

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