友&愛~『俺とお前』~第11話
のがみの向かうとこ、気に食わないヤツ、嫌味を言って喧嘩売って来る奴等が多い中、前回の水間店長さんだけは、唯一心を許せる存在であの店長とのやり取りをしていた時間が一番楽しかったです!実話なのでお名前以外は、全てホントの話ばかり、大したトラブルも無く、こっちがヘマしても親身になって手取り足取り教えて下さった、ご親切さには私自身、ホント頭が下がる思いでした!人間偉くなると保身に走り、常に上司の顔色を窺ってイイ子を演じ、気に入られようとする!それはそれで「勝手にしな!あっしには一切関りの無ぇことでござんす!」で良いんだけど、部下の前で威張り腐り、上司の居ない所でずる賢い所を平気で見せつける奴らには、未だ好きになれませんね、正直大嫌い!水間店長ってその面じゃ年は私、のがみの1個上でも精神的には何倍も大人だったような気がします!「偉い!そしてかっけぇ!」なんて若者言葉真似している、私は果てしなく子供!そう、ガキに違いありませんな!情けない!
第11話『悪友、再び参上!』の巻
あれから1週間が経った、例の『勉強会』当日、俺はここに入社して初めての参加とあって予定時刻より1時間早く店に出勤し逸る気持ちを抑えながら店内をうろうろしていた。ちょうどその時店の付近から俺の方へ近づいて来る2人連れの男女が目に留まり、じっと目を凝らして一瞬我が目を疑った。
「ん?ヤベぇ!誰かと思いきゃ木崎夫婦じゃね―か?何でアイツ、こんな所に居るの?まさかアイツも勉強会に参加すんの?マジで…?アイツ、まさか県庁を解雇になったんじゃ…?とか言っちゃったりして?…な訳無いか!」
そう想い乍らも今日の俺のテンションはHIGHと申しましょうか、“気合い十分、仕上げを御覧じろ!”ってな具合でやる気満々、“何処っからでもかかって来やがれ!”的意味不明状態+アドレナリン大量分泌で殊の外ウキウキしてまーす!って感じで半分ニタニタしつつも、いつも通りの作り笑顔を拵え、こちらからワザとらしく2人へ近づき声を掛けてみることに…?
「ヨォ、木崎!お前何してんだい、こんな所で…またこの俺に何か用か?」って訊くと奴さん、仏頂面してボソッボソッと一言!
「いや別に用なんか無いんだけど…ウチの家内がどうしても…ってことで暇潰しに因ってみただけでさ!」
「あっそう!それなら別に良いんだけど…!」って思いつつ、『今日こそ何か1つでも買って行けよな!』って俺は無意識に思ってしまった!そこは“流石、販売員の血が騒ぐ?”…って『うそぴょ~ん!ただ単に腹立たしい登場の仕方に嫌悪感、嫉妬等感じているだけって話!』
すると案の定と言うか、台本(?)通りの展開で木崎の奥さんが俺の方を向いて一言!
「どうも、ご無沙汰しております。この間優介さんと2人で来た時お話した、お見合いの件なんですけど…やっぱり意中の方じゃないとダメなのかしら?そう、川名さんでしたよね?実は今日お相手(お見合い)の方のお写真をお持ちしたんですけど、こちらも見ていただけないかしらって思って…ゴメンナサイ!出過ぎた真似をしてしまって…?」
そう言うと彼女は1枚の写真をバックから取りだし、丁寧にこの俺へと手渡してくれた!俺は木崎の奥さんから直接その写真を受け取ると思わすニンマリ!
『ど、どひゃ~!す、すげえ美人なお嬢さんじゃねぇかよ!髪は長いし笑顔がとっても似合ってて見るからに優しそう!』って本音が…!どっかのアイドルの生写真みたく上半身しか映っていない感じがまた郷愁を唆って…イヤ全然違うな、この場合!『ウン、合格!…って何が合格なのか?てんで意味不明なんだけど、魅力度バッチリのアピール写真には間違いなかったんじゃないかな!』と記憶しているくらい、正にそれは衝撃的な写真だった。
俺は、込み上げる喜びと今にも溢れ出しそうな鼻血をやっとの思いで押さえ、二人に対して正に感謝と尊敬の眼差しを以て、心中吐露すべく、こう視線を送った。(飽くまでも視線を送っただけの話でして決して口に出しては言ってはおりません!所謂心の声ってヤツです!悪しからずご了承下さい!)
『木崎君、奥さん!何とお礼を申し上げて良いやら…言葉が見つかりません!本当に今日は有難う!この私、若輩乍らお二人の熱意ある、ご厚意に打たれ、正に断腸の思いでこの結婚話(?)を御引き受け致し候!(←「何で侍言葉なんだ?」)こんな私で良かったら❝煮るなり、焼くなり❞好きにしてぇ~!最終的に蒸しても美味しいかどうか、そこまで責任は持てませんが…どうか末永くお幸せに…?って?ん?何か、ちよっと変だな?これじゃ、こっちが木崎達の幸せを祈ってる感じで本末転倒してるぞ!イケない、イケない!幸せになるのは、この俺ってことで、どうぞよろしくお願い致しま~す!』以上、心の声でした!
満面の笑みを称え、俺は二人に対して深々と頭を下げ、お礼を言うと即その場で写真を返すことに…。実のところ、前回このお見合い話に対して余り乗る気が無い態度を見せたのも、殆どが木崎には関わりたくない一心でつい口から出鱈目を言ってしまい、今考えると『何てバカなことしてしまったんだろう!』という後悔心がある。木崎とて人間の子、本当は根の優しい良い奴なのかも…?現に昔は、つまり高校時代は、今と正反対と言うか、全く逆で友達にイヤミやら相手を見下しバカにするような素振りなど全く皆無で、どっちかって言うと俺の方がストーレートに物事に対して本音を言い過ぎてしまい友人やら先生達を怒らせることが多かったので…う~ん!やっぱ何だろう?❝時の流れ?それとも職場環境悪化?人間関係に疲れて?❞とか勝手な思い込みやら憶測で彼を敵視していたのかも知れない。そう考えると俺って何て心の狭い人間なのだろう?と自己嫌悪に陥ってしまった。アイツの方がこんな俺より一歩も二歩も大人なんだろうなぁ!あ~やだやだ!今日を境に彼に対する見方を180度変えようっと思う!ポジティブシンキングって言うのかな?よし、それで行こう!じゃあ、心の声パート2!
『なんだよ、アイツ!案外お高く留まってるようで実は結構良いとこ、有るんじゃん!県庁に入って威張り腐ってイヤミしか言えねぇ、超ヤナ奴と思ってたけど、案外親切で面倒見が良い、さすが元親友?見直したぜ!それに木崎の奥さんが、あそこまで言うんだから先ず間違いないだろう?お見合いしても損はしないと思う。』
木崎の奥さん、そう正式には木崎晴美さんは、旧姓が石渡と言って俺達3人とも同じ高校の同級生である。中でも彼女は入学したての頃から成績優秀で選抜クラスに在籍してて容姿端麗、品行方正、加えて優しさや思いやりも人一倍あって正に申し分無い、我が○×高校のマドンナ的存在と言っても過言ではなかった。本当にアイツには『勿体無いくらい素敵なお嫁さん貰いやがって!』って友人らと羨ましがったこともしばしば。従って今回のお見合い話セッテイングについては、ほぼ、この晴美ちゃんに因る功績が大きいと思う反面やはり感謝すべきは、木崎優介だろうなぁ!
「木崎、本当に有難う!邪念無く前向きに考えてみるから後の事は宜しく頼む!」
…って言えば、アイツは前回同様、事務的にと言うか笑顔すら見せること無く、
「あっそう!」
と言ってそっぽ向いてた。まるでそのことに関して無関心装うかのように冷たい眼差しで…。心の声パート…?もうイイすっかね?くど過ぎますか?お約束とは言え…!
『何なんだよ、そのやる気の無さ、無気力そのものって言う、脱力感満載で嫌々面倒臭そうに…我関せず…かよ?相変わらず素っ気無い返事だなぁ!お前さぁ、それしか他に言葉が浮かば無ぇの?もっとさぁ、「分かった!この俺に任せといてくれ!」とか「心配するなよ、上手くやるからさ!」って言葉を考える余裕も無いくらい追い詰められてんのかね?と思いつつ、❝素敵な彼女に会える❞っていう嬉しさ、待ち遠しさが圧倒して終始俺はニタニタと鼻を伸ばし、眉は緩み放っし!何か知らないけど、自分自身無意識のうちに笑顔が零れて来てしまい、早い話がデレデレ状態!まだ全然お相手の彼女に会っていないと言うのに…第三者から見たら、かなり滑稽と言うか、異常に見えるだろうな!恥ずかしいけど、嬉しい!正直な気持ちとしては、恋愛初心者なんで〝さもありなん!“って事で、ここは見て見ぬ振りして下さい!』
それから10分も待たずして木崎夫妻は、表入り口からそそくさと出て行った。今更言う必要も無いことだが、何1つ買わずして…ま、良いけどね!此処は単なる、“べしゃりの場”ってことで…おっとそんな事よりより今日は『一体どんな勉強会になるのか楽しみだなぁ~!』なんてことは最初っから眼中に無く、○〇店、△△店、××店に1人づつ美人ちゃんが居ると公算して…『うひょー!全部で7人と恋が芽生えたら、どうしよう?断るにも随分苦労するなぁ!』とか『6股7股交際って可能かなぁ?』と絶対有りもしない妄想に耽っている所へまた例の“触らぬ山姥に…!”の彼女から怒号が…?
「ちょっと新人!そんな所にボケっと突っ立ってないで、さっさと品出し、しなさいよ!」
って怒鳴られ、「ハイハイハイ!」といつものように手伝う前にハッと気づいて俺は彼女に小声で…
「あのぉ…頑固一徹ババアさん!」とは口が裂けても言えず…、
「あのぉ…今日は勉強会で店内業務は出来ない筈なんですけどぉ…!」て遜って言い返すも彼女は、聞く耳持たずしてか即答で強硬プチ労働を強いるかの如く大声で…
「まだ始まるまで10分もあるでしょう…?そのくらいのサービス精神無いの、アンタ?」と強気!
「えぇ?で、でも…おトイレにも行かなくっちゃいけないし…会議中もし漏れたりでもしたら…?」って言うが早いか、天の助けか救いの声が背後から…この俺をバックアップ!
「あっ!それ私がやりますから…のがみさんは早く2階の会議室へ急いで下さい!」って助け舟を出してくれた女神が誰を隠そう、あの小田愛子ちゃんだったのだ。
「え?いいの?本当に…ゴメンナサイね!午後の勤務で必ずジュース1本奢るから勘弁してね!」って言うと嬉しそうに「ハイ!」と言って品出しを始めた彼女!!
『何てカワイイ女の子なんだろ?こんな娘をお嫁さんに出来る彼氏君が羨まし過ぎるよ!そうでなくても俺、こんな妹が居たら最高だろうなぁ、チックショー!』って想い乍ら筆記用具片手に足早2階へと階段上る俺!『愈々ご対面かぁ~!何か変な意味(下心)で緊張する~!』って燥いでた。そう遠足の前夜みたく大興奮して…変態?
一方俺の代わりに品出しを買って出てくれた彼女は、午後より何かの用事で休暇を取り、店内にはもう居なくなっていたこともつゆ知らず、俺は勉強会前の廊下で自販機と睨めっ子!「えぇと彼女の好きなのは炭酸水、それとも甘~いコーヒーの一体どっちだっけ?」って悩んでた。
(つづく)
「次回は…!」っていうとTVみたいで笑っちゃうんですが、お見合いとは、懸け離れて❝のがみの独り突撃喧嘩街道まっしぐら!❞を放送(?)致しマ~ス!ってな具合で、またまた何かひと悶着起きそうな予感がしま~す!あ!でもまだ前哨戦ですので本格バトルに発展するのは、次の次ぐらいかな?さて、この勉強会がのがみ本人に吉と出るか、はたまた凶と出るかは次話次第!次話次話~って会議内に不穏な動きが~?洒落分かりました?!(^^)!では、また!




