Twitterの情報を鵜呑みにして書いたウェブ小説でウケるとされる戦闘シーン〜勇者と魔王、迫真の最終回〜
「やっと……辿り着いたぞ」
俺は顔の汗を拭い、''それ''を真っ直ぐに見つめた。
憎悪、と言ってもいいドロドロとした真っ黒な感情。選ばれし者とされる''勇者''である俺も、そんな黒き闇に心が包み込まれてしまいかねない。
目の前にいる存在──魔王を目の当たりにすれば。
「ククク……ようやく辿り着いたか。首を長ーーーーーーーくして、待っていたぞ」
「あぁ。確かに今のお前の首は某銀行のCMに使われそうなくらいマジで長いけど、それは置いといて──決着をつけてやる、魔王!!」
首がブラキオサウルスの3倍くらいになっている魔王に向かって、俺は剣を抜いて構えた。
奴は首を元の長さに引っ込めると、魔王の玉座から立ち上がる。その風貌は魔王らしい威厳のあるもの……などではなく。
「フハハハハ! さぁ来い! ここがお前の死に場所だぁ!!」
とても威厳なんてあったもんじゃない、可愛らしい幼女の姿があった。その格好は魔王と言っておきながらどちらかと言えば魔法少女である。「ボクと契約して魔法少女になってよ!」とでもどこぞのゲボカスマスコットにでも言われたのだろうか。
それはともかく、魔王の方も空間から突如剣を召喚し、構えた。いよいよ……最終決戦が始まろうとしていた。
俺はすうっと息を吸い込むと──
「だあっ!!」
その掛け声と共に駆け出した。
ガキィンッ!! カチカチ……。
「ぐうっ……!」
「おぉ、この一撃の重さは流石勇者と言ったところか。だが……甘い!」
キィーンっ!
「流石は魔王、だが俺の力を見くびるなよ」
シュバッ!
「いつの間に後ろに!?」
「死ねぇー魔王ッッッ!!」
ガッキィーン! カチカチ……。
「おまっ、勇者が仮にも死ねとか言っちゃ駄目じゃないか! 選ばれし者がそんなのでいいのか!?」
キィンッ! キンキンキンキィィーン!
「うるせぇ!! こちとらお前を倒す為に鍛えて鍛えてオナ禁して鍛えてオナ禁オナ禁オナ」
キーーーーンッ!!
「そんな日々の繰り返しなんだよ! そりゃあストレス溜まって死ねとか言いたくもなるだろうが!!」
「くっ……人間の苛立ちの力を侮っていたか……。認めてやろう、お前は強い! 故に我も……全力で以て叩き潰してやろう!(´。✪ω✪。`)」
シュオオオオン……ボボボボボ!
「床から火球……魔法か!」
「あぁそうじゃ! これを喰らってくたばって死ねい!!」
シュゴオオオオオン!! ゴゴゴゴゴゴゴ!!
「床……いや空間を削りながらこちらに……! 上等だァ!! 真正面から切り返すッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「うおおおおおおっ!!」
バシュウッ!! シュオオオオオオオオオッ!!
「ぐ……ぐぐ……こんなもの……! こんな……!! こんな……こん……うあぁあああぁあああぁああッ!!」
ドォォォォォンピィンッ──……。
「ハーハッハッハッハッハッハッ!! 愚かな奴め、本当に真正面から受け止めて塵になりおったわ!! 不死身……不老不死……魔王パワー!! 我の完全勝利ぞーっ!!」
グ……ググ……。ガシャン。
「な、何!? 今の音は……!?」
「今のは痛かった……」
「き、貴様……! な、何故生きておる!?」
「さっき、俺言ったよな? てめえを倒す為に……鍛えて……オナ禁しまくったって……」
グググ……ムクムク……。
「なっ……あっ……!?」
「だからよォ……俺は死ねねェんだよ。あのまま死んだら……俺の性欲はどこにぶつけりゃ良いんだ……?」
ムクク……ギンっ……!
「──答えは簡単、てめえ自身だ魔王ーーーッッッ!!」
ガシャアアンッ!! ギンギンっー!!
「ぴゃああああぁあ!!? く、来るなケダモノーーーっ!! その聖剣を抜くでないわーっ!!」
「うるせェ!! どうせ消えるなら俺は勇者として死にてぇー!! 魔法使いにジョブチェンジなんて死んでもごめんだぁぁぁ!!」
「うわぁああああ!! く、来るなぁぁぁぁ!! 幾億の刃よ、我に歯向かう敵を滅ぼせーーーっ!!」
キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!!!!!
「な、何だ……と……!?」
「てめェ……何やってくれてんだ……おかげで──」
ギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギンギン!!!!!
「俺の聖剣が余計に元気になっただろぉがーーーッッッ!!」
「ぴにゃあああああぁあああぁああーーーーーっっっ!!!!!」
──この後、俺と魔王はどちゃクソに異種族間協定を結びまくり、5000兆年にも渡って繰り広げられた戦争に終止符は打たれ、人間と魔族の間には平和が訪れた。
オギャアー! オギャアー! オギャアー!
命の声が今日も高らかに歌われる平和の中で、俺と魔王は同じ声を聞いていたのだった。