論証の迷宮(4)・第六話
・柊恕
山滉穎や虎武龍麒達と同級生で、黒髪の佳人。社長令嬢で成績優秀、料理上手の上、優しく、包容力があり、学校内や召喚後も人気がある。
二年前の事件で両親を失い、一時期臥せていたが、龍麒と中学二年で出会い、傷は残りながらも元気を取り戻した。それもあって、彼に好意を寄せているが、龍麒は朴念仁のため、全く気付かれていない。
龍麒と同じマナタイプで、木、金、水の三属性も操るフォース(Ⅲ)と認められ、タートリア帝国の召喚者の中で二位の成績である。支援を得意とし、常に龍麒の傍らにいる。
「あっ、そうか!! 英霊達なら自分の契約者は簡単に見分けられる。召喚できた人は本物か。となると、翔祐は本物だな」
「いや、念には念をだ。稲垣、一時的解放か、聖句をやってみてくれ」
滉穎は顎に右手を添え、左手で肘を支えながらそう言い放つ。翔祐は鞘から刀を抜き、構えを取る。
「・・・・・・ああ、分かった。でもまだ上手くできる自信はないからな。《電閃》」
隕鉄刀が電気をまとい、輝きを増す。その輝きによって、辺りは照らされ、部屋全体の様子が明らかになっていく。
何もない灰色の空間の中心で、宝箱を中心に七人。奥に位置すると思われた宝箱は、どうやら中心にあった様だ。
そして、入り口と対照的な位置にニメートルの黒い扉。
「なあ、いつまで発動していればいい?」
「ああ、すまん。本物だと分かったし、解除して・・・・・・あ、待って、松明あるから《電閃》で点けてくれ」
「オッケー」
翔祐は目を瞑り、刀を振り上げ、再びその刀に一層強く電気を纏わせると、開眼とともに一気に解き放つ。振り下ろされた刀から放たれる電気は、空中を曲折しながら松明の先端に吸収される。松明は赤く燃え、電気を放った隕鉄刀は光を失っている。
「じゃあ、続いて松尾見せてくれ」
各々が自身の神格武器、またはそれに準ずるもので、本物ということを証明していく。四人の証明が終了した所で七分が経過し、残り半分となっていた。しかし、
「おいおい、そういえば山の神格武器は、メンテナンスフリーじゃないのか。どうやって証明するんだよ」
彼等の中には二人、神格武器を与えられず、証明方法がない者がいた。また、リーダーである滉穎自身の神格武器、「電影」は五神祭に向けて修理中だった。
したがって、本物と断定できない者が残り三人いる。
「さて、どうしたものか」
滉穎は、頭を掻きながら唸る。完全に瓜二つと思われる偽物暴きで、精霊達に頼れなくなり、八方塞がりである。
ここで、冬輝が、
「じゃあ昔の記憶とかは? さすがに記憶を全てコピーできないでしょ」
「仕方ない。それでいこう」
提案に対して、捷が賛同する。
「じゃあ、三人に質問するけど、ここでは答えずにこっそり俺に言ってくれ。
最後のテストで山がイヴァンに負けた教科は? 主要科目で」
「はっ?! 何だその質問は!」
滉穎は質問の内容に抗議をする姿勢を見せたが、即座に3人はそれぞれ捷に答えを言っていく。
滉穎達が受けた中学最後のテストではイヴァンと滉穎が点を競っていた。そのテスト返しで、イヴァンが英語しか勝てていないと、もちろん滉穎がいない場所で、嘆いたいたことを全員覚えていた。
「三人共正解だ」
「次は・・・・・・」
そうこうしている内に、残り三分となり、全員に焦りが出てきた。
「どうしようか」
「確率は三分の一だけど、万が一にも外したくない。偽物なんてどう判断するんだよ」
「なあ、臥龍、さっきからずっと黙っているけど、お前の目から見てどんな感じだ?」
「どうって言われてもな~」
臥龍達は、意味もなく歩き回り、打開策を考えるが、
「だあ、分からん。
臥龍、あの紙見せて」
「ああ」
臥龍はポケットから紙を取り出し、捷に手渡し、
「あっ!!」
「どうした?」
「分かっちゃった。偽物は山だ」
「「えっ!?」」
偽物が自分だと言われても平然としている滉穎は、間をおいて、
「理由は何だい?」
残り時間は二分になっていた。
・電影(弓)ー電気(雷)、(闇)
所有者 山滉穎
一度破損した四百年程前に作られたプロトタイプの神格武器。英霊(特化型精霊)が消滅したために使用されず保管されていた。
しかし、現存する当時のもので最高傑作であり、材料が特別製なので、再び修理された後、滉穎に使われることとなった。英霊とは未契約。そのため、能力はまだ未知数である。上記の属性は、先代のだが、英霊によっては変わる可能性がある。
また、基本は短弓の形をしているが、その姿は変わることも文献から確認されている。