表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月影のエレメンター~五神祭編Ⅱ~  作者: ハイエナ=エレメント
第一章・迷宮
4/83

日光と月光・第四話

虎武龍麒こぶりゅうき

 卓越した記憶力に優れた洞察力を併せ持つ。全国で一位を狙える学力に、山滉穎やまこうえい小栗臥龍おぐりがりょうなどの運動部員達にも匹敵する身体能力、運動能力、さらに芸術の才能まで見せる完璧主義者かつ完璧超人。見た目とは裏腹に滉穎こうえいよりも寡黙で、滉穎こうえい以外には自ら話しかけることもない。

 タートリア帝国に召喚され、たった二ヶ月半でコンプリートマナと認められた。エレメンター史上で類を見ない人材。将来の教皇候補として注目されているが、人格が問題視されている。

 しかし、滉穎こうえいいわく、「龍麒りゅうきは、音叉の様で、自分から音を発することはないが、必ず鳴った分だけは返してくれる人間」という。

 龍麒りゅうきの持つ神格武器は、「三尺の秋水」金、風、水(氷)、音属性の日本刀。台風をモデルにして作られた武器に、日本人精霊が入り込み、完成した。一時的解放は、《神風》で、風や水についての支配権を得る。

 フレア帝国の西、商業都市マーキュリーにそのエレメンターはいた。すぐ北にタートリア帝国との国境線が存在し、そこから南に下って来た。

 彼は、ショートの黒髪に黒い瞳、さらには全身黒一色に染めた服装であった。季節は夏なのに長袖であり、まるで気候というものを気にしていないのが、外見で分かる。百七十五センチメートル程の高身長に、ルックスの良さと整った顔立ちで周囲の人間に注目を受けている。


 その男の名は、虎武龍麒こぶりゅうき、漆黒を好む完璧超人である。




 龍麒りゅうきは足早で人混みを掻き分けて進む。その後ろには六人の男女が、龍麒りゅうきの後を追っていた。


「ちょっ、ちょっと待ってリュウ!!」

「はい?」

 龍麒りゅうきを呼び止めたその男に応じて、その足を止める。

「早くオリンピアに行きたいのは分かるけど、さすがに歩くのが速過ぎる。こんなに人もいるのに」

「すみません。以後気を付けます」

「それにしても、リュウをここまで搔き立てる原因って何なの?」

 手に膝を付き、上目遣いで疑問を投げかけたその女性は、同じく日本人の様だった。眉目秀麗なその容姿は、龍麒りゅうき同様注目の的となっている。

「そうですね。闇夜に輝く月、月光の様な人、です」

「えっ? 女性じゃないよね?」

「いえ。男です。暗くなればなるほど、その真価が見えてくる、という意味です」

「なるほど~。じゃあ、リュウは日光だね」

「いえ。私はそんな大層な人物ではありません。この例えを借りれば、私は影を作る存在になりますし」

「光を与える存在でもあるけどね」




「あの二人は今日も仲良いな。なんかうらやましいぜ」

そんな会話を続ける二人の後ろから、男はぽつりと呟いた。さらにその後ろの四人は、既に空気と同化していた。




 この七人は、タートリア帝国のβチームである。虎武龍麒こぶりゅうきを筆頭にした優秀なエレメンター達。

 一行は、いや龍麒りゅうきは商業都市マーキュリーで一泊もせず、次は軍事都市アレスを目指して駅に向かっていた。


 しかし、龍麒りゅうきとの会話を楽しむ麗しい女性の助言もあって、一泊はすることとなった。宿が決まった後も、龍麒りゅうきとその女性、柊恕ひいらぎゆきは先程の会話を続行していた。その全てがゆきから始まっているが。その二人の光景を五人はソファーから眺めていた。


「あの二人は本当に仲が良いよな」

「それさっきも言ったよな」

「聞こえてた?」

「ええ。とても羨ましそうな声で。まあ、正確には仲が良いではなく、片思い何でしょうが」

「どっちが!?」

「見れば分かるでしょ。ゆきがだよ」

「そっか。あいつも大変だな。あんな堅物に恋して」

「お前は誰からも好意を向けられたこともないくせに」

「うるせ。それより初戦の打ち合わせといこうじゃないか」

「リーダー抜きでか? 今邪魔したら多分、ゆきに殺されるぞ」

「それは嫌だ。じゃあ、その月光とやらの初戦を確認するか。あっ、賭けるか?」

めとくよ。確か、フレアのベータだよな。あのイヴァン=J=グランドウォーカーがいる。それにオルターもいたっけ?」

「イヴァンは知らんが、オルターは有名か。お前はそのイヴァンって奴を知ってるのか?」

「ああ。確か・・・・・・龍麒りゅうきが言う月光って奴と仲が悪かった気がするな。どっちもリーダーになっているな。これは、・・・・・・初戦から観戦も楽しめそうだ」

見物みものだな、って言いたいんだろ」

「その通り。まっ、あの二人よりは面白い展開にならないだろ」

 そう言って、男はゆっくりと後ろを向き、どっかの教室にいる烏間からすま先生レベルの堅物を発揮する完璧なエレメンターを見た。




「なあ、あいつの二つ名思い付いたわ」

「発言を許可する」

「Absolute Elementer.

完全無欠のエレメンター」

三尺の秋水ー金、風、水(氷)、音

 長さ0.9m  

 所有者・虎武龍麒


・共鳴(音)

 相手が音属性の攻撃をしても、吸収または共鳴させ、無効化する。その後、威力を増幅させて反撃可能。秋水最大の特徴で、常時発動、つまり音は絶対に通用しない。


・真空波(風)

 エアースラッシュ。別名《鎌鼬》。小旋風の中心に真空部分を発生させたり、真空の塊を放ったりする技。掠っただけでも皮膚を裂く。


・神風(属性解放)

 強風と豪雨、または雷雨を発生させる、秋水を媒介にする範囲魔法(領域展開魔法)。魔力を莫大に消費するが、風、水の支配権を握ることができ、軍一つを壊滅させる力がある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ○設定がよく作られている。 [気になる点] ○設定(説明部分)に対して本文が短い。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ